25日のスローライフ

ヒムネ

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海と出会い

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「すいません、友だちが待ってるので」
「そう言わずにさ~」
「おいっ、火野っ、どうした?」
「不二っ、後光ちゃん、この人が」
「誰だ?」
「あっ、いえっ、なんでも……ちぇっ」
 火野先輩をナンパしていたナンパ男は不二先輩にビビったのかそそくさと居なくなりました。
「不二に後光ちゃん、ありがとねん」
「大丈夫、でしたか?」
「うん、よくあるのよ、ああいうナンパ」
 良くあるって多分それは火野先輩だからだと思うけど、なにわともあれ無事合流してサービスエリアを抜けていきます……。

 ――ザブーンッ、波の音がします。私たちは海に無事たどり着かとこが出来ました。その頃には日が沈みかけて空はオレンジ色に染まっています。
「綺麗ですね~? 早梨先輩……」
「ええ、ここまできた甲斐があるって感じね」
 パシャッ、カメラのシャッター音がしました。茉莉さんも日が海に沈んでいく夕焼けを撮らずにはいられなかったようです。わかります、私もスマートフォンで写真を撮ってお母さんに送りましたから。
「はぁ~あーあぁー……、何か泳ぎたくなるわ~!」
「やめときなさい秋音、風邪引いちゃうわよ」
「わかってるわよ~、言ってみただけ」
「後光さん」
「はい、山本さん」
「夕陽、綺麗ですね」
「そうですね、なんというか……日が当たって、オレンジ色で暖かいはずなのに……どこか切なくも感じるのが、不思議ですね」
「おっ、なになに後光、詩人?」
「いっ、いえ~っ、正直な気持ちを表したんです」
「不二」
「火野、ったくあいつら~、こっちは疲れたって言うのによ」
「お疲れ様、夕陽どう?」
「まあ……悪く、ねぇよ……おおいっ、もう乗れっ、ホテルいくぞ~」
 そう言われて私たちは車に乗りました。泳げなかったのは残念でしたが、秋の海というのも肌寒さがして夕陽がちょっぴり寂しさを誘われてしまったのでみんながいて助かりました。

 ホテル海沿いにあって泊まることが出来ました。部屋は不二先輩と山本さんの二人男性二人、女性は私と茉莉さん早梨先輩に火野先輩と一緒になりました。
 部屋が決まり夜食にしようとみんなは集まりホテルの中にあるレストランで食べることにしました。
「いっただっきまーすっ!」
「あの~……火野先輩、そんな顔サイズのステーキ食べていいんですか?」
「へ?」
「だってグラビアアイドルなんでしょ」
「良いの、いいの♪」
 良いなと思ったんですが、おやつの時間にアイスクリームを食べてしまったので私はステーキの二分の一の大きさのハンバーグにしました。私も多少は体重を気にします。
「ねぇねぇ、夏美」
「どうした秋音、食べられなくなった?」
「まさか~……後光ちゃんとどうして知り合ったの?」
 私はホークを置いて口周りを拭きました。
「ええ~っと~……」
「私は覚えてますよ、高校入って間もないときでした」

 私がうっかり3年生の廊下を歩いていてそれに気がついた当時の高校3年生の早梨先輩が近づいて来てくれました。
「あなた、見ない子ね」
「あ、はい~……」
「……」
「……」
「……あなた、何年生?」
「はい、私は今年入学しました、後光一花です」
「私は早梨夏美、高校3年生、わかる?」
「はい、高校3年生のかたですね」
「そうっ、つまりここはどこ?」
「ここは、朱雀高校です」
「……あんたふざけてる? ここは3年の教室の廊下、後光さんの1年生の教室は向こうよ、わかった」
「わ~っ、そうでしたかすいません先輩」
 これが最初の、早梨先輩との出会いでした。この時は右も左も分からず歩いてみたという感じでした。

「――ははっ、思い出したっ、間違ってきた1年生なのにやけにポカーンとしてて『大丈夫この子』って、ちゃんと教室に行けたかちょっと心配したのよ」
「ポッ、ポカーンとしてたんじゃなくて、道が分からなかったんです」
「茉莉ちゃんだっけ、今は後光ちゃん大丈夫なのか?」
「不二先輩……う~ん、まだちょっとだけ」
「そんな、茉莉さ~ん」
「ハッハッハッハッ」
「火野先輩、笑いすぎです」
「んでさ、そのあと、後光にも言ってないんだけど」
「はい?」
「あたしが後光あんたを気に入ったのはこの後だったのよ」

 ――無事、1年の教室を見つけてホッとした私は授業の終わりにあの優しかった早梨先輩のお礼を言いにいきました。
「おいおい、3年の教室だぞここ」「度胸あるなあの子」
「早梨先輩」
「えっ、あっ、あんたっ、後光さんっ!?」
「3年生のみなさんこんにちは、後光一花です」
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