25日のスローライフ

ヒムネ

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夜空に降り注ぐ流星

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「早梨先輩、教えてくれてありがとうございました」
「ちょっとっ、こっちに」
「はい?」
 早梨先輩に腕を掴まれて階段を降りて、学校の出て入り口に立ちました。
「あんた本当にそんなことを言うために、わざわざ3年の教室に来たわけ?」
「はい」
「……普通は、3年の教室なんて恐がるわよ」
「そうですか……でも」
「でも、なによ」
「早梨先輩、優しかったから」
「えっ……」
「道がわからないで不安だったのを、早梨先輩が声をかけてくれて安心したんです」
「……」
「なんていうか、きっと恐い3年生もいたかもしれませんが、だったらなおさら早梨先輩で良かったと思います」
「あんた、それほんとうに……」
「はい、早梨先輩に感謝しています。ありがとうございました」
 この後、『そっ』と言って私を帰るように促してくれました。それからでした。早梨先輩は卒業するまで恥ずかしげもなく私に頻繁に声をかけてくれるようになりました……。

「――あんな素直な子がいるなんて、頭の中が真っ白になったわよ……でも、嬉しかった。私ね、結構学校の中じゃ恐がられてたのよ」
「そうなんですか、どうして……」
「夏美はクラスじゃあしっかり者なんだよ」
「不二先輩、良いことじゃないですか?」
「ああ、それが……夏美良いところだけどよ、それを妬む奴とか気に入らない奴は居るもんでよ、良く揉めてたな」
「まあ、ね」
「よくアタシに愚痴ってたし」
「秋音~……それでね、後光が現れて、いつもニコニコしておっとりしてるけど、しっかり自分を持ってるあんたを気に入ったわけ」
 早梨先輩が私を見つめてくれるのは照れるけど、そうやって感謝を言ってくれてとても嬉しかった。
「そんな言葉を言ってくれる早梨先輩にも、私は感謝しています」
 ポリポリと赤い頬を擦りながら笑顔を返してくれた早梨先輩は本当に良い先輩です。
 レストランでの夜食が終わって私たちは男性と女性で別れてお風呂に入り、気持ちよかったと出たあとのことでした。
「あのさ、あたしちょっと外に出てくる」
「茉莉さん、どうしてですか」
「上に用があるの」
「上ですか?」
 上に用事があると言って気になって付いて言っていいかと聞くと服を着込むようにと言われてそのとおりに着替えました。
「それではごゆっくり」
「ありがとうございます、後光さんこっちこっち」
「はい」
 上に用があると言いながら、何故かホテルから出る茉莉さん。ですがこのあと私は茉莉の上の意味が判明しました。
「これよこれ」
「うわぁー海と夜空ですか!」
「そっ、んでさっ、幸運なことに、オリオン座流星群が今日なのっ、しかも条件が良ければ1時間に10個くらい見えるかも!」
「ええっ、ほんとですかっ、これはみんなを呼びましょうっ!」
「えっ、でも、寒いし……って、後光さんっ、行っちゃった……」

「――おまたせ~、茉莉ちゃんなになに~、こんな夜に~」
「あっ、すいません皆さん……寒いので一人で見る予定だったんですけど」
「気にしないわ、星っ、見せてくれるんでしょ?」
「はい、火野先輩、空を見上げてればいずれ降ってくると思います」
 六人全員で夜空を見上げることにしました。これが中々大変で、見上げているため皆んなで首が痛くなっても我慢するしかありません。
「あっ、本当に見えましたっ!」
「どこどこどこっ!?」
「秋音、後光が見たらもう見えないに決まっ……あっ、みえた……」
「やったーっ、みえたって……うそ……」
「スゲーッ、たくさん降ってる……」
「ヒエー……、オレ初めてみましたよ不二先輩」
「ああ……オレもだ……」

 夜空に光る矢が無数に降り注ぐ、それは地球が彗星等の残した塵の帯を通過する際に、その塵が地球の大気圏に突入し燃えて光る現象。この塵は高速で大気と衝突することでプラズマとなり光り輝く。しかし私には地球はまだ動いている。まだ生きているという命の光にも感じました。
 パシャッ、パシャッ、パシャッと必死に流星群を追う茉莉さんにはもう私達が見えないのかもと言うくらい夢中で撮ってました。
「まだ降らないかな~っ!」
「茉莉さんありがとう」
「えっ?」
「私、実は流星群というのを直で観るの初めてなんです」
「そっ、そんなお礼を言われる様なことしてないよ」
「そんなことねえよ、サンキュー茉莉ちゃん」
「茉莉さん、ありがとう」
「最高だったわよ、茉莉ちゅわん」
「あたしからも礼を言うわありがとう」
「えっ、えっ……いいえ♪」
 この後も少し星は流れました。私はこれを知らずに生きていたのかと思うくらい、海と夜空も相まって最高に気分が良かったです。茉莉さんの笑顔も、今日は最高に可愛かった気がします。

 外出で一日が経つのは久しぶり、残りは17日……。
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