25日のスローライフ

ヒムネ

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最後の一日

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「――う~ん、朝……」
 朝、目が覚めました。ベッドから起き上がると朝日が差していたのでカーテンを覗くと変わらない天気のいい朝です。
 着替えても今のところ崩壊のような感じはしません。まあ、まだ今日は始まったばかりだけど。

 今日の朝ご飯は、ご飯に目玉焼きとハムで朝食はいつものお母さんのメニュー。それとおじいちゃんとおばあちゃんとも一緒の食事です。
「いただきます」
 ふと、家族は今日が最後と分かっていても普通の日常にしてくれているような雰囲気をしました。
「あっ、おじいちゃん」
「フンフーン」
「醤油かけ過ぎ~」
 お皿にできた醤油の池、見るからにしょっぱそう。
「一花、おじいちゃんは何度いってもこうなのよ」
「美味い食い方をしてなにが悪い、いただきまーす」
 お母さんは子供みたいと呆れてました。私は醤油を少量、たまに塩とかそのままとかで食べたりするけど今日は醤油にしようかな。

 朝食が終わると、お母さんやお父さんのスマートフォンに知り合いからの連絡が。そのあと続くようにおじいちゃん、おばあちゃんにも。やっぱり国民のほとんどは今日が最後だからと思い残さないように連絡しているようでした。
「一花、ちょっと来て」
「ん? なにお母さん」
 お母さんが私と話したい人がいるとスマートフォンを渡されました。
「もしもし」
「もしもし、飛娜ひなです。一花お姉さんですか?」
「飛娜ちゃんっ、ひさしぶりですね」
 一緒に山を登ったお母さんの同級生で照井史名しいなさんの娘の飛娜ちゃんでした。
「うんっ、あのとき山をお姉ちゃんと登った以来だね」
「そうですね、元気でしたか?」
「うん、体力つけるために運動してるよ」
「そうですか、すごいですね~!」
「お姉ちゃんは、人に会ったりしてたの?」
「はいっ、していました」
「楽しかった?」
「はいっ、たくさんの人に会えて楽しくて面白かったです」
 私も飛娜ちゃんに嬉しくて喋りだすと次からつぎへと思いついて言葉が止まりませんでした。
「ねえ一花お姉ちゃん、本当に地球が今日でなくなっちゃうのかな……」
「おそらく、そうだと思ってます」
「そうっか……」
「でも」
「でも?」
「もし地球が……もしですけど、無事だったらほんとうにまた一緒に山を登りましょう、ね!」
「うん、あたしもそうなるように願う!」
「フフッ、じゃあまたね、飛娜ちゃん」
「うん、またね、一花お姉ちゃん」
 こうしてスマートフォンをお母さんに返しました。このあと飛娜ちゃんたち家族は様子を見ながら山で地球の最後をむかえるようです。山で地球の最後を家族でむかえるなんて素敵ですね。
 このあともそれぞれ連絡は続いたので、仕方なく今日も昼食は外食にすることになりました。
「どこに行こうかな……あっ、地震!?」
 グラグラと少し揺れましたが、幸い大きな地震ではなく震度2くらいな気がします。今日初めて地球の最後の影響かもと直感しました……。

「――お姉ちゃんいつくらいに閉める?」
「そうね、今日が最後かもしれないし午後3時前には閉めてメッセージの……」

「こんにちはー」
「いらっしゃいませ、って後光さんっ!」
「茉莉さん」
「後光さんっ、その人たちは家族?」
「うん、家族できました」
「メッセージもらったから後で会うと思ったのに、来てくれてありがとう!」
「フフッ、実はまだお昼食べてなくて、最後だからって私の好きなショートケーキを食べようってことになったのでこのメモワールに来ました」
「ありがとう後光ちゃん」
 黄華さんの顔も嬉しそう。おじいちゃんおばあちゃんも一緒に来たということで椅子を追加で用意してくれて、私たちはケーキ屋メモワールで丸テーブルにショートケーキを家族で囲んでお昼にしました。
「うん、美味しいっ、やっぱりメモワールのショートケーキは、黄華さんのケーキは最高です!」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
 そのあとお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんまで黄華さんに『美味しい』の言葉が次々とおくられました。
「ありがとうございます……もしかしたら、あたし最後の料理だと思うのでそう言っていただいて真に光栄です、後光ちゃんの両親と祖父母さん」
 なんていうか覚悟が決まったっていうのか、いつもの黄華さんの姿が一人のパティシエに見えて、本当に自分のケーキを食べてくれた人に感謝をする大人の黄華さんを見た気がしました。
「黄華さん」
「なに? 後光ちゃん」
「最初面接してくれたとき、地球が亡くなるのにずっと働いてられないって言ってたのに黄華さんは働いてますね」
「よっ、よく覚えてるわね~……まあ、やっぱりあたしはケーキが好きってことだったみたい。何やかんや言ってケーキを作ってる時が楽しいからね」
「フフッ、素敵なお姉さんですね茉莉さん」
「えっ、えっ……うん、お姉ちゃんは、やっぱりすごいよ」
「まっ、茉莉まで、あたしのことはいいから、食べてたべて」
 これいじょう褒めると、黄華さんの顔が赤くなって沸騰しちゃいそうなのでケーキを食べることにしました……。

「――ごちそうさまでした」
「後光さん、あたしとお姉ちゃんと両親も後で行くから」
「えっ、そうですか、よかった!」
「あとで会いましょう」
「ええ……茉莉さんいろいろありがとうございました」
「もう後光さん、こちらこそ、あなたに会えてよかったって姉妹で思ってるよ」
 黄華さんに向くと笑顔で頷いてくたので私も笑顔で返しました。茉莉さんに出会えたのも外に出てラーメン屋で1日働いたからでした。今では良い親友な感じがします。
「じゃあ地球があれば私たちも、4時頃には行きますから」
「待ってるから後光さん」
「はい」
 昼食を終えて私たち家族は自分たちの自宅に帰りました。そこで少し休憩したら、鶏ノ湖にむかおう思います……。
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