夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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あなたになりたい(中編)

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 ザーッ、


 あいにくの雨で夏の季節だからより強い。


「母さんおはよう」

「おはよう、末信すえのぶ


 よく聞こえる雨の音、

 ご飯と味噌汁と納豆が並んでいて静か、なんだか久しぶりな気もする。それもそのはず、


「あれ、ナナは?」


 朝から精霊でありバナナ·ガールというナナの姿がなく、それで静かなんだと感じたようだ。


「ナナちゃんは・・・」

「んあ、ナナがどうかしたのか?」


 千夏もなぜか暗い、まさか、


「おい、母さん!」


「ナナちゃんは、


「はぁっ? まじかよ······」




 ピンポーンッ、


「はーいっ」

桜子ようこちゃん? ナナでーすっ」


 ドア開けるとおじゃましますと中に入るナナ。狭い玄関だがそれは桜子の家系に関係がある。


「こっちです」

「はいはい~」


 テレビとテーブルが置かれた部屋の隣にはピンク色の装飾がちらほらある、どうやらここが桜子の部屋のよう。


「ごめんなさい、部屋が狭くて」

「うんうん、気にしてないよ」


「その・・・お父さんは私を男手一つで育ててくれたから」


「そっか、パパさんすごい人なんだね」

「うん!」


 大好きなお父さんの話をする桜子は短くもナナが見た中で1番の笑顔をしていた。


「ではでは、ムッフッフッフッフッ、覚えているわよね~桜子ちゃん?」

「は、はい、『ワタシはナナみたいになりたい』ってホントです」


 その約束のために今日は早く桜子の家に来たのだ。早速はじめと言わんばかりに鏡の前に桜子を座らせ背中から布を出した。


「黒い布? ナナさんいったい・・・」

「だいじょうぶだから、んじゃ被せるわよ~」

「え、キャッ」


 ちょっと驚いた桜子だがノリノリのナナ、


「じゃあっ、始めるわよお化粧開始っ!」


 顔に何かされると布の中で目をつぶったのだが、


「ナナさん、肩揉みですか?」

「まずわね、だって学生だもんずっとタブレットとか見て疲れてるんだから」

「は、はあぁ」


 化粧ではないのか、どういうことだろうとハテナがたくさん降り注ぐもとにかくナナに任せることにした。


「お次は目よ~」

「ああ、気持ちい~いです~」


 両頬のチョイ上を両手でマッサージしていくと不意に、


 パチンッ☆


 となにかの音を感じた桜子。


「なんか音がしたようですが」

「な~に、美人になるおまじないをしただけよ、はい、終わり」

「も、もう終わりなんですか?」


 体感時間にして5分経てばいいくらいで黒布が脱がされる。


「それっ!」


 鏡で自分の顔を見た桜子は、


「これが・・・あたし!」


 そこに映るのはこんがり焦げたような茶色い肌を触って何度もたしかめ、パッチリ二重とつけまつ毛のギャルが、自分がそこには映っていた。


「あ、これは」

「アイシャドウはナチュラルなベージュってとこ、どう?」

「あ、ありがとう、ナナさん。あたし、こんなにしてもらえるなんて思ってなかったら」


 だが喜びと同時に、


「でもどうやってあんな短時間で・・・」

「未知の自分に驚いたでしょっ? 桜子ちゃんにはまだまだ可能性があるってことよ。それと時短のことは乙女の企業秘密よ企業秘密♡」


 疑問。しかしそれを何とか大笑いしてその場を誤魔化すナナ。


「そーんーなーこーとーよーりー」


 ニヤついて桜子を見ると彼女もその迫力にドキドキ。


「外へ出るわよっ」

「は、はい」


 ギャル2人は外へとおもむくのだった······。


「は~い、お昼よ~」


 カタッ、とお皿を置いていく。


「わ~い、お昼~」


 嬉しそうな千夏と下りてきた末信。今日の昼はハンバーグに人参が乗っていて、野菜と福神漬けである。


「お兄ちゃん、お兄ちゃんご飯だよ」

「あ、あ、わりぃ」

「な~にぼうっとしてんだか」


 妹の言葉で気がつくがそれは自分がナナが出ていった事を気にしているのかとも思ってしまう。


 そりゃ最初は悪い奴かもなんて思ったりもしたけど今のところそんなこともなく、うまく馴染んでたと感じてたのに、なのに黙って出ていくなんて。
 再び考えてしまうと箸の手は止まり千夏に怒られ食べだす。



「「――ごちそうさまでした」」

 ご飯を食べ終えた末信は外に出ると激しい雨は止んでいた。空は一気に晴れギンギンの太陽は人間の温度を上げていく。


「暑くなるか、こりゃすぐ部屋に」


 家のドアを開けて体半分を入ったところで後ろを振り向くと、


「まっ、しかたねえな」


 と言って家の中へ。


「フーンッ、平気な顔してたクセして傷ついたのかよ、ならそう言えってんだ・・・へんっ・・・たくよ」


 寂しいのか悔しいのかブツブツと吐きながら自分の部屋へと階段を上がっていく。


 ――ガタンガタンッ電車の音、変わらずよく揺れる。2人は運良くロングシートに隣どうしで座れたようだ。そこで桜子は気になったことを聞いてみた。


「あの、ナナさんは森田君の家族と一緒に暮らしてるんですよね」

「そ~よ~、ここのアイシャドウがいまいちかな~」


 手鏡で自身を見ながら話す。


「なら皆んな今日のことは」

「知ってるよ、知らないのは末信くらいかな」

「いいんですか? 話さなくて」

「いいのよ、少しくらいわね、ウフフッ······」
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