夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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魔界チャンネル

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「――いってらっしゃ~い」


 朝、末信ママによるみんなを送り届ける声はやる気をあたえる応援である。そこにもう一人「いってらっしゃーい」と声を出す精霊バナナ·ガールのナナは、


「いってらっしゃい、千夏ちゃん」

「・・・いってきま~す」


 末信の妹である千夏を見送った。

 森田 千夏は小学6年生で、兄の末信すえのぶとは5つ違いの12才。ナナとは末信パパママ、そして兄よりも彼女と話していない子だった。

 とくに何かあるというわけでもなく、そこは性格なのかたまたま会話がなかったのには違いないのだが。そんな、兄よりも問題を起こさないしっかり者の妹である千夏を末信ママはナナに相談する。


「「お片づけ終わり、イエーイッ」」


 パチンと、ハイタッチする末信ママとナナはテーブル椅子に座りゆっくりすると、


「ナナちゃん、今日もありがと、助かったわん」

「いえいえママっちもお疲れさま、ハァムッ」

「あのねナナちゃん、ちょっと気になる事があるのよ~、聞いてくれない?」


 バナナを美味しそうに食べるナナ、因みに末信ママは『太るから』ということで断っている。


「なになに、聞くよ」

「千夏、前は普通に4時くらいには帰ってきてたの」

「うんうん、ハァムッ」

「でも最近ね」

「うん、ハァムッ」


「5時くらいに帰ってきて、よく見るとズボンの裾とかに泥が乾いたような土が付いてたの」


「普通は何もなければ付かないと思うけど~」

「そうなの、だからもし暇なら小学校教えるから見てきてくれない?」


 ナナは最後のバナナをゴックンと飲み込み椅子から降りてバナナの皮を台所近くにあるゴミ箱に後ろ向きで投げた。
 しかし空中に舞うバナナはゴミ箱から左側にそれてしまう。末信ママもアラッと拾う体制に入った時、


 パチンッ☆


 バサッ、


「まあ~!」


 魔法の指パッチンでゴミ箱に入り、思わずパチパチパチッと拍手した。


「わかったわママっち、あたしがその謎を解いてあげるわ」


 ――学校の鐘が鳴る小学校『ま海』、なぜひらがなの『ま』で『海』なのか普通は『魔界』とこっちの漢字だとは思うが謎である。
 そんな学校にほうき、いやバナナ草に乗りのは、


「ここも授業中ね、あたりまえだけど」


 左手にバナナパラソルを持ち透明になりながら来ていたナナであった。
 ヒューンッと爽やかに飛んで千夏の教室を探していくと、


「おっ、いたいた」


 3階の教室で窓側の真ん中でちゃんとタブレットに向かって勉強。
 相手からは見えないのだがおもわず手を振るナナ。


「ん?・・・何か見られてるような~、気のせいかな」


 さすが千夏ちゃんと笑う、子どもはこういう直感や感性が優れているのだ。なので普通の人には視えない精霊など神秘的なことに気づきやすい傾向があったりもする。

 こうして学校が終わるまで時にはバナナを食べ、また時にはバナナジュースを飲みながらも見ていたが変わったことがなかった······。



 しかしその下校中の噴水公園で事件は起きた。



「千夏ちゃん」

「大丈夫、あたしが付いてるから一緒に帰ろ」

「うん」


 千夏は同じくらいの身長の友だちを後ろにして帰っていた。何やら庇っているよう。


「ホイじゃアタシも」


 バナナ草から降りて透明を解除、ギャルモードになって2人をコソッと付いていくナナ。


 帰り道なのに途中で別の道に曲がる、後ろの子の自宅に向かうのだろうか。


「今日も来るのかな、千夏ちゃん」

「うん、たぶん」


 ガサゴソッ、と2人の予感は的中し、


「待ってたわよ」

「待ってたわ」

「待ってただわさ」


「なにあれ?」


 コソッと見ているナナの目には3人の千夏ちゃんくらいの小学校だろうか、真ん中のポニーテールの子と、ショートカットの子、さらにポッチャリ系の女の子。


「さぁ、覚悟を決めなさい。に入るのよ」


「いや、何度も言わせないでっ」

「言ったでしょっ、今の時代ネットで流行るのは若いアタシたち小学生なのよっ」


 魔界チャンネル、ネットで配信でもしているのだろうかと推測するナナ。


「あんたもどう、千夏」


 ネットに勧誘されているようだ、やばいと思ったナナだが千夏は、


「私も嫌」

「なんでよっ!」


 強く言い放つポニーテールの子、どうやら彼女がリーダーらしい。


「だって、他にやりたいことあるもん」

「なんだよ」

「お母さんの手伝いとか、お兄ちゃんの面倒とか、お父さんの肩揉みとか・・・それに若いときに勉強しときたいし、ナナお姉ちゃんと話すとかも」


「千夏ちゃん・・・」何か聞いてはいけない様な事を聞いてしまったような気がするが聞いてしまったものは仕方ない。千夏はナナともっと打ち解けたいようだ。


「あんたバッカじゃないっ、そんな事よりも金よ。大人はみんな最終的にはお金なんだからっ!」


「だったら、あんたたち自分たちだけでやりなさいよ、あたしと向日葵ひまわりちゃんには関係ないじゃない!」


「小学生は多いほど有利なの、とくに女の子はね」


 大人たちよ、これが今時の小学生よとナナはしみじみしていた。大人の見えないところで大人よりもしっかりしているのだ。だが鑑賞に浸っていると、


「これ以上抵抗するなら、やっぱりしかないみたいね」


 グーにした右手とパーにした左手でバシンッバシンと音をだす。やる気のようだ。
 震えている向日葵ちゃんを守ろうと構える千夏は1対3でどう見ても不利、


「どうしよ、このままじゃ・・・よしっ」
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