夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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桜子のお願い

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「――フンフーンっと、やっぱり浴衣もバナナ柄よね」


 精霊バナナ·ガールのナナは自分で浴衣の準備をしていた。8月も後半、といえば街祭りがありそこに森田一家と楽しむのだ。


「おーいナナー、千夏の方も頼む~」

「あいよ~」


 ガラガラ、戸を開けると、


「おまえまたバナナ柄なんか着て~」

「なによ~、あたしの個性でしょ、こ・せ・いっ」


 これまた浴衣姿の末信すえのぶに呼ばれて千夏のおめかしに階段を降りていく。


「あいつホントなんでもできて・・・頼りになる奴なんだよな、はぁ~っ」


 楽しそうに向う姿、お掃除だろうと買い物だろうと明るく前向きで家事や化粧など何でもできる、そんな彼女になんだか羨ましくも出来ない事だらけの自分を情けない感じもしてしまう高校生の末信だった。


「――ナナお姉ちゃんごめーん、全然わかんないや」

「はいはいはいっと」


 スタタタッと降りたら、


「あら?」


 階段をつまずいた。


 パチン☆


 ボフッとバナナ型のクッション出して背中で着地、素早く部屋の戸を開けるナナは裾、腰ひも、おはしょり・・・など手慣れたように千夏を直していく。


「伊達締めして、はいっ、終わりっと」

「ありがとう、あ、お姉ちゃんの髪飾りって~」

「ムフフッ」案の定バナナである。

「あたしもやろうかな~・・・」


「んも~、お父さん」


 末信ママの部屋から困った声に二人はビクつきまさかまさかの大喧嘩第2幕なんてごめんと駆けつけた。


「もう、お腹で過ぎ~」

「う~ん」


 見事なビールッ腹はボヨヨンと末信ママも引いていたところに2人と末信も現れ皆であらためて呆れた。前回のカッチョイイお父さんを見ただけに。


「こりゃママっちが引くのも無理ないわ」

「うん、うん」

「痩せろよ父さん」


 困るお父さんはと、


「そ、そんなことないもーんっ!」


 言わせておけばと気合を出してお腹を引っ込めた。


「ど、どうだ!」父の底力。


「お父さんそんなことしても意味ないわよ」



 プ~~ッ、



「あ、力みすぎちゃった」

「「のあぁぁぁ、くさーっ!」」

「このクソ、いやオナラ親父っ!」

「もう、お父さんっ!」


 鼻がモゲそうなアンモニア臭に涙をこらえながら走って避難、しかし慌てて浴衣でコケるナナたち。末信パパはこのあとみんなに責められたのは言うまでもない······。



「――お父さん、オナラするならするって言ってよね」

「あのオンナラは臭かったわ~」


 オナラという破壊力にまだ引いている千夏と深々なナナたち3人は玄関口で愚痴っていると二人組が、


「ナナさーん」

「おう、待ってわよ~、桜子ようこちゃんに向日葵ひまわりちゃ~ん」


 お祭りは皆で楽しむものとナナの提案で桃色浴衣の桜子と黄色浴衣の向日葵を呼んでいた。
 誘ってくれて嬉しそうな顔の2人、モジモジしている向日葵を年上だからかいつもより大人な落ち着きの桜子が安心させている。


「千夏ちゃん、呼んでくれてありがとう」

「うんっ」


「桜子ちゃんお父さん孝行してた?」

「ふふっ、はいっ、お父さんに手作りのオムライスを作ってあげました」


「え? 親孝行ってナナ?」

「桜子ちゃんはあたしと少し会うのやめて日頃大変なお父さんの親孝行してたの」


 何でも知っているナナ、憧れの桜子のプライベートまで情報共有しているとは・・・知らなかった末信はちょっとショックを受けた気がした。


 ともあれこれで役者は揃い、いよいよもって7人全員歩いて超楽しみな夏祭りに向かう······。



 お神輿、災い清めや豊作祈願するためのものである。だが楽しむため始まる前に祭り場へ着いたこともありお神輿を準備しているところが至るところにある。


「屋台もまだやってねえな」

「まだ午後4時過ぎ、5時には時間あるししかたない」


 皆で歩いていたが今は二手に別れ、ナナと末信と桜子は時間をつぶすために適当に歩いていた。


「カ~ワイイ」


 すれ違う人の中に抱かれている赤ちゃんに手をふるナナ、


「おまえやめろよ、なりふり構わず赤ちゃんに手を振るの」

「はあ? なに言ってんの、赤ちゃんがあたしを見ているんだから手を振ってあげるんでしょ、赤ちゃんにわねホントウのアイドルが見抜けるのよ」

「ププッ、アイドルって言ってら」


 パチンッ☆


 末信はバナナに滑ってコケた。


「ナナ卑怯だぞ!」

「あ~ら、なんのことかしら~」


 そんなやりとりを静かに不思議そうに何かを思う桜子。すると目の前を走ってくるおばさんが慌てるように走っていて、


「すいません、ここら辺に家の犬見かけませんでしたか」

「犬? いいえみてないっすよ」

「それ、どんな犬ですか?」


 質問されるとナナが前に出て話を聞く。


「――なるほどなるほど、末信、桜子ちゃん、あたし探してくるわ」


「お、おう、じゃあオレたちも・・・」

「うん、いってらっしゃい、あたしたちはここら辺で待ってるから」


「OK」と言いながら犬を探しに行ったおせっかいのナナ、しかしどうしてと末信が思っていると彼女が見えなくなったのを確認する桜子は緊張しながらも彼の袖を掴んだ。



「桜子ちゃん?」



「末信君・・・話があるの」



「――ワンコちゃんどこだか・・・よしっ、アプリで、ムフフッ」


 ナナがアプリでムフフの中、キョロキョロと何かを確認した桜子は近くの家とお店の隙間に末信を誘い2人っきりになる。そうなると訳もわからない末信は当然ドキドキ、まさか桜子ちゃんからとは、と。


「急にごめんなさい」


「い、いや~べつに~」



 ドキッ、ドキッ、



 別になんともないと口笛を吹き平気を装う。



「末信君にずっと聞いておきたかったことがあるの」



 ドキドキドキッ、



「な、なにかな?」



 浴衣の桜子ちゃんの後ろの太陽により神々しく見える。



「わたしね・・・」



 きたーっ!



「うん」



「わたし・・・」



 ゴクッ、



「わたし・・・



 やった―~・・・、



「へ?」



「あの異世界VRのときとか、ギャルのメイクを一瞬でしてくれたりとか他にも気になることあるんだけど・・・末信君に教えてほしいの、ホントのこと」



「・・・ナナ~」



 チーンッ・・・思考停止中・・・、



 自分は何を期待していたのか・・・、



 そりゃそうだ、だってオレだもん・・・ヘヘっ・・・現実はバナナのように甘くはなかった······。
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