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目撃した人
何もできない
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「……な! はっ? どうして?」
「だから言ってるじゃないですか。パトロール男のお話は、もうスマホを見ながら歩く人を突き飛ばすだけじゃないんですよ」
男は前を見ながら呆れた声で言った。
「お話自身がルールを作り、そのルールに反したと判断されれば襲われるんですよ」
男はにやついた顔でそう言うと、私の自転車の正面にゆっくり移動した。
「そんな……そんなの理不尽じゃないか!」
「理不尽か理不尽じゃないかなんて関係ありません。そもそも相手はお話ですよ? こちらの都合や考えなんて通用しません。存在自体が人間の常識の範囲外なんですから」
おばかさん、男が嬉しそうに呟いた。馬鹿にされているのはわかったが私にとってそんなことはもうどうでもよかった。
「あんたはあの子が襲われる事を知っていたのか?」
「ええ、私はこのお話の成長を見守っていますので。でもまさか自転車ごと突き飛ばすとは思いませんでしたが。やはり想像を超える成長を見ると嬉しいものですね、ねえ先生?」
嬉しそうな顔で同意を求める男を見た瞬間、私の頭の中で何かが切れる音がした。
「ふざけるな! あの子が襲われることがわかっていたから私を足止めしたのか! お前は異常者だ。生徒を見守る私とお前が同じ気持ちなはずがない。お前の考えることは私には理解できない!」
私が怒鳴り終えた途端、男の顔から笑顔が消えた。白い陶器のような冷たい顔になり、その顔で見つめられた瞬間私は全身に鳥肌が立った。
「そうですか。あなたとは分かり合えると思ったのに残念です。でも理解してもらえなくてもいいんです。邪魔さえしなければそれで」
「邪魔だと? と、止めるに決まってるだろうが! お前の目的なんて知ったこっちゃない。私は必ずこれ以上誰も傷つかないように見回りをして被害を止めてやる!」
私は震えそうになる声を必死に堪えながらなんとか言い切った。
「そうですか。わかりました。でも、今もあなたは私の力でこうして動けないでいるのにどうやって止めるんですか? あなたがどう行動するのか楽しみです。応援しておりますよ。それでは失礼します」
嫌味な笑顔でそう言うと、男は突然私の目の前から消えた。音もなく一瞬で。
男が消えた途端体に自由が戻った。私は事故現場へ自転車を走らせた。
救えなかった。
私は彼女を救えなかった。私が動けていれば救えたはずなのに……申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうだ。
私が着いた時にはもう事故現場に人が大勢集まっていた。救急車は既に誰かが呼んでくれたようだ。
もう絶対に誰も傷つけさせない。横たわる女子高生を見て私は決意した。私がこのふざけた都市伝説に終止符を打ってやる。どうしたらいいかはわからないが何としても止めてやる。
私と都市伝説との戦いがこうして幕を開けた……
「だから言ってるじゃないですか。パトロール男のお話は、もうスマホを見ながら歩く人を突き飛ばすだけじゃないんですよ」
男は前を見ながら呆れた声で言った。
「お話自身がルールを作り、そのルールに反したと判断されれば襲われるんですよ」
男はにやついた顔でそう言うと、私の自転車の正面にゆっくり移動した。
「そんな……そんなの理不尽じゃないか!」
「理不尽か理不尽じゃないかなんて関係ありません。そもそも相手はお話ですよ? こちらの都合や考えなんて通用しません。存在自体が人間の常識の範囲外なんですから」
おばかさん、男が嬉しそうに呟いた。馬鹿にされているのはわかったが私にとってそんなことはもうどうでもよかった。
「あんたはあの子が襲われる事を知っていたのか?」
「ええ、私はこのお話の成長を見守っていますので。でもまさか自転車ごと突き飛ばすとは思いませんでしたが。やはり想像を超える成長を見ると嬉しいものですね、ねえ先生?」
嬉しそうな顔で同意を求める男を見た瞬間、私の頭の中で何かが切れる音がした。
「ふざけるな! あの子が襲われることがわかっていたから私を足止めしたのか! お前は異常者だ。生徒を見守る私とお前が同じ気持ちなはずがない。お前の考えることは私には理解できない!」
私が怒鳴り終えた途端、男の顔から笑顔が消えた。白い陶器のような冷たい顔になり、その顔で見つめられた瞬間私は全身に鳥肌が立った。
「そうですか。あなたとは分かり合えると思ったのに残念です。でも理解してもらえなくてもいいんです。邪魔さえしなければそれで」
「邪魔だと? と、止めるに決まってるだろうが! お前の目的なんて知ったこっちゃない。私は必ずこれ以上誰も傷つかないように見回りをして被害を止めてやる!」
私は震えそうになる声を必死に堪えながらなんとか言い切った。
「そうですか。わかりました。でも、今もあなたは私の力でこうして動けないでいるのにどうやって止めるんですか? あなたがどう行動するのか楽しみです。応援しておりますよ。それでは失礼します」
嫌味な笑顔でそう言うと、男は突然私の目の前から消えた。音もなく一瞬で。
男が消えた途端体に自由が戻った。私は事故現場へ自転車を走らせた。
救えなかった。
私は彼女を救えなかった。私が動けていれば救えたはずなのに……申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうだ。
私が着いた時にはもう事故現場に人が大勢集まっていた。救急車は既に誰かが呼んでくれたようだ。
もう絶対に誰も傷つけさせない。横たわる女子高生を見て私は決意した。私がこのふざけた都市伝説に終止符を打ってやる。どうしたらいいかはわからないが何としても止めてやる。
私と都市伝説との戦いがこうして幕を開けた……
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