都市伝説ガ ウマレマシタ

鞠目

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居酒屋での会話

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 自分でもわかっているがおれの悪いところは忘れやすく飽きっぽいところだ。ハマる時はすぐにハマるが飽きるのも早い。もちろんSNSも例外ではなかった。
 寝坊により慌ただしい朝を過ごした結果、おれは自分がSNSに怖い話を投稿したことをすっかり忘れていた。そしてそのまま二ヶ月が経過していた。
 再びSNSを開くきっかけになったのは、またまた上司の上村さんとの会話だった。

「なあ、都市伝説ってどう思う?」
 これまた唐突に聞かれた。今日はかなり珍しく十九時に仕事を切り上げる事ができたので駅前の居酒屋に来ている。
 仕事終わりの生ビールはやはり旨い。コンビニの前で飲むのもいいが居酒屋で飲む方がより一層美味しく感じる。
「また娘さんの話ですか?」
 面白くない話が始まったと思い、つい棘のある言い方をしてしまった。
「そうなんだよ。娘の学校の生徒が交通事故にあったらしいんだが、その話が都市伝説の内容と似てるんだよな」
 上村さんはジョッキ片手にため息をついた。おれの発言には何も思わなかったようだ。
「たまたまじゃないんですか? そういうこともあると思いますよ」
「そりゃおれも最初はそう思ってたけどよ、どうもおかしいんだ。事故にあったのは一人二人じゃないし、亡くなった子もいるんだ」
 おれは思わず酔いが覚めた。まさか都市伝説関係の話で亡くなった人がいるとは思っていなかったから。
「それは割と深刻な話ですね」
「だろう? しかも、中には子どもが亡くなった日に親もほぼ同じ時間帯に交通事故で亡くなったご家庭もあるらしい」
 辛そうに話す上村さんを見ておれは何も言えなかった。飲みの席で聞くにはちょっと内容が重たすぎる。上村さんはおれの返事を待つことなく話し続ける。

「そうそう、あと、事故の話を聞いて気が触れて階段から落ちた生徒もいるらしい。ここまでくると単なる噂話では片付けられない気がするんだ」
「そうですね。思ってたよりでかい話でびっくりしました。でもそれ都市伝説と関係あるんですか?」
 おれには都市伝説というより何か事件のようなものの気がしてならなかった。
「学校では都市伝説のせいだって話でもちきりらしい。たしか『パトロール男』、そんな名前だった気がする」
「なんですかそのふざけた名前」
「いや、おれもそう思ってたけどさ、娘の話を聞いてるとどうも笑ってられないんだよな」
 そう言うと上村さんははパトロール男の都市伝説を教えてくれた。
 いつもおざなりに上村さんの話を聞いているが、今日は思わず真剣に聞いてしまった。何故なら上村さんの話す都市伝説の内容が、おれが考えた作り話にあまりにもそっくりだったから。
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