蒼碧の革命〜人魚の願い〜

蒼河颯人

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第五章 革命の時

第六十一話 愛する者たちへ

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──お父様。お母様。私です。ジャンヌです。今は〝レイア〟と名乗っているけれど、間違いなくあなた方の娘です。
 
 やっと、探しものを見付けることが出来ました。
 どうして自分には記憶が一部ないのだろうと、ずっと不思議に思っていたんです。
 お二人が私を守るためだったのかなと、今なら分かります。
 色々苦しいこともあったけど、
 そのお陰でほら……今私は元気で生きています。
 
 正直言うと、本当は今すぐにでもお二人に会いたくて仕方がありません。どうしても泣いてしまう日があります。三人で一緒にいられた日々がたったの五年間だったなんて、あまりにもさびしすぎるから……。どうして私だけを置いて二人とも死んでしまったの? そう思う日々もありました。
 
 生き延びるために、ダムノニア人の王女からコルアイヌ人の平民へとなっていた私でしたが、この度、引っ越ししてアルモリカ王国で暮らすことになりました。共に生きることを決めた相手がここ、アルモリカの王子、いや、次期アルモリカ王ですから。彼は私にとってかけがえのない、大切な存在です。
 
 カンペルロ王国から潰されかけていた彼の国を、先日何とか取り戻して、これから復興開始です。大変そうだけど、多分大丈夫だと思います。いつも彼と一緒にいられるから。
 
 お二人が生きていらっしゃったら、どんなお顔をなさったでしょうね? 喜んで下さいますか? まさか相手が人魚とは思わないでしょうから、きっと驚かれることでしょう。
 
 私が今元気でいられるのも、あなた方が私を託したレイチェルのお陰です。彼女がずっと守っていてくれたから、今の私があります。彼女にはもう会えましたか? もし彼女に会ったら、是非ほめてあげて下さいね。彼女がいなければ、今の私はいませんから。
 
 あなた方の娘は頑張ります。これからもずっと見守っていて下さいね。お二人とも愛しています。いつまでも──
 
  
 ──ねぇレイチェル。私、やっと会えたんだ。大切な人に。
 
 その人は人間じゃないけど、ずっと私を待っていてくれたんだ。まだ私がダムノニア王国にいた時に既に会っていた人なんだよ。彼はとても優しくて、私を包み込むように守ってくれるの。一緒にいると不安が和らぐんだ。不思議。あなたが生きていたら、会わせたかったのに。きっと驚いたと思うよ。宝石のように綺麗な人魚だから。
  
 私は、今とってもしあわせだよ。これから彼と一緒に、一つの国を建て直すことにしたんだ。今までしてきた仕事とは全く違うから、きっと大変だろうと思う。
 
 でも、私は決めたんだ。これから先はこの美しい海に囲まれたアルモリカで、アリオンと一緒に生きるって。彼を傍で支えてあげたい。いざとなったら守りたい。その想いが、私の生きる力となって身体中を駆け巡っているような気がするよ。
 
 私、頑張るから。ずっと見守っていてね。あなたを愛しているよ、いつまでも──
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