蜃気楼の向こう側

貴林

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1 新たな出会い

彩花と蓮華

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学校、創設者の銅像の前
車から降りる三人。
運転手側の窓が開く。
「また、遊びにおいでね」
無邪気な笑顔の天使様。ありがとうの声をそれぞれがかける。
「いってらっしゃい、それじゃね」
潮香が窓から手を振り去っていく。

あれが彩花のお母さんとは?お姉さんじゃないのか?と思うほど、若々しかった。

いつまでも、手を振る真希乃と大志の手を掴むと、ぐいと引っ張っていく彩花。

三年二組の教室。今日も真希乃は蓮華から目が離せないでいる。が、昨日とは見方が違った。
昨日の帰り道、か細い腕で、男を軽々と投げ飛ばした蓮華を思い返していた。
しかも、ほとんど体勢を崩すことなく、どうしたらあんなこと。気になる。

そこへいたずら好きな奴が、蓮華に向けて、指パチンコで紙玉を飛ばそうとしていた。
やばいと思った時には、遅かった。が、なぜか紙玉は打った本人の顔に命中していたのだ。
その様子を見ていたクラスメイトが打ち損じたと爆笑している。

真希乃は、見ていた。昨日の土手の時と同じだ。
紙玉が蓮華目指して飛んで行ったのは、確かだ。頭に命中する瞬間、蓮華は左に避け、紙玉を人差し指と中指の間で掴むと、そのまま手首をクルリ回転させた。紙玉は、流れるように、後ろに飛んで行った。スピードが増している。打った奴の額に命中。打った本人は、打ち損じて自分に打ってしまったと勘違いするほどの速さだった。

ますます、蓮華から目が離せなくなった。

昼食時間、真希乃は自分の机で弁当を広げた。もちろん、蓮華も自席でサンドイッチを、頬張っている。大志もこれに付き合う羽目になった。
問題は、彩花だった。

「織原蓮華さん、いますか?」
聞きなれた声、彩花の声だった。
ゆっくりと蓮華が彩花を見る

「何か、御用でしょうか?」
こんなのに真希乃は?と思った途端、彩花はイラっとした。
「悪いんだけど、ちょっと付き合ってもらえませんこと?」
眉をピクピクさせて、おしとやかにしようと変になった。
「構いませんが、どちらへ?」
ごくごく自然な蓮華に対し、ぐぬぬぬぬ。彩花
「とにかく、付いてきておくんなんしょ」
流石の真希乃も呆然とする。
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