蜃気楼の向こう側

貴林

文字の大きさ
上 下
8 / 96
1 新たな出会い

彩花 対 蓮華

しおりを挟む
人目につきにくい場所として、旧校舎の裏手まで来た。

対峙し合う彩花と蓮華。
それと、傍観者に真希乃と大志。

蓮華が口を開いた。
「こんなところで、何を?」
やはり、冷めた目つきである。

ギリギリと拳を握る彩花
ツカツカと蓮華に歩み寄る

真希乃は、一瞬止めに入ろうと身構える

「問答無用!えい!」
容赦のない突きを、蓮華にお見舞いした。蓮華はゆるりとこれをかわすと、彩花の左腕をねじり伏せた。たまらず、彩花は捻りの回転に合わせ体を躍らせた。
彩花の体は、逆さまに宙に舞った。
スカートをひるがえしながら、見事な着地。
続いて、彩花の右拳が蓮華の顔面に、これを蓮華は右手で受け、逆の手で彩花の右頬を目掛けて、掌底打ち(手の平の手首に近い部分で当てる)を放つ。が、彩花もそれを読んでか、かがんで掌底打ちをかわし、逆立ちの状態に、これを体に捻りを加え、回転蹴りを見舞いした。蓮華もこれには、たまらず、体を大きくそらし、後方宙返りでかわしつつ、彩花の回転蹴りを蹴り返した。
両者は、向かい合う形で、着地する。
大志にはよく見えていないであろう。
真希乃は、違った。興奮していた。なんといっても、二人のパンツ・・・・
二人の連続技に釘付けだった。

肩で息をしながら、二人は対峙する。彩花も蓮華も表情がゆるんでいる。
ワクワクしていた。

ふっと、彩花の肩から力が抜け、殺気が消えた。
ゆっくりと蓮華に歩み寄る。
ニコッと、目を細めて笑うと手を差し出した。握手を求めて。
さすがの蓮華も、目がなくなるほど、目を細めると、ニコリとした。そして、彩花の手を掴むと握手をした。

「楽しかった。また、手合わせしてもらえる?」
彩花が言うと
「感無量です。喜んで、お付き合い致します」
蓮華は、彩花を引き寄せると抱き寄せた。
さすがに、これには彩花は驚いた。
ハグをする習慣がないから、不慣れであった。
しおりを挟む

処理中です...