蜃気楼の向こう側

貴林

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1 新たな出会い

五人の夜明け

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コンコン
扉を叩くと、奥から忍の声
「はい、今行きます」
ガチャっと、扉が開く。寝ぼけ顔で爆発頭の忍が、あれから自室で飲んでたのか、ちょっと、お酒臭かった。

鼻をつまみながら、彩花。
「おはよう。シノ。真希乃、いる?」
「真希乃氏?」
隣に寝ていたはずの、真希乃がいない。
「風呂でも、行ったかな?」
タオルは、ハンガーに干されたまま、置いてあった。

「っかしいなあ」
頭を抱える忍。
「彩花」
蓮華が声をかける。
「シノさん、おはようございます」
きちんとしたお辞儀をされ、恐縮する忍。
「あ、こりゃ、どうも。・・ざいます」
「真希乃、いた?」
「うん、前の公園に」
「公園?」
少し考えて、ハッとする彩花。

駆け出していた。

玄関を出て、道路を渡った先の公園へ

朝日に向かうように、空手の型をする真希乃がいた。
彩花には、眩しかった。
なんだか、真希乃が帰ってきた気がした。肩で息をする彩花。
真希乃に向かって駆け出す。はしゃぐ子供のように。
横に並ぶと、並んで型を始める。息のピッタリとあった動きをしている。笑顔の彩花。釣られて真希乃も微笑む。
黙っていられず、蓮華もそれに並ぶ。初めてする動きに、必死について行こうと、二人の動作を真似る。うまくいかなくて、ペロっと、舌を出す蓮華。彩花と真希乃が、親指を立てて笑う。三人が一つになれた瞬間だった。
俊と忍が、釣られて笑う。
忍は、嬉し過ぎて、俊の両脇を掴むと高く持ち上げて、グルグルと回ってみせた。
それを見た三人が釣られてさらに笑う。
笑いの輪が広がっていく。
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