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3 帰郷 旅立ちの前に
古寺 修行 そのニ
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古寺のあちこちの隙間から、朝の光が差し込んでいた。
ギイと音を立てて、朽ちた扉が開く。
「どう?成果は出てる?」
麗美が、手に袋を下げて入ってきた。
京介が、アゴで真希乃を指す。
疲れ果てて、寝息を立てる真希乃。
「こいつ、俺を超えますよ」
「へえ、京介くんがそう言うなんて、余程のことね」
「たった数時間で、俺を追い込みやがった」
「そっか・・・。はいこれ」
麗美が袋を差し出す。中には、飲み物と、大きめの二重の弁当箱があった。
「おっ、まさかの手作り?」
「そうよ、お金を出しても、なかなか食べれないものよ」
京介は、袋から重箱を取り出すと、風呂敷の結び目を解き始める。
パカッと、蓋を開く。色取り取りのおかずが詰まっていた。
「うは、美味そう!」
京介は、箸を取るとおかずをつまもうとする。
「その分は、支払いから引かせてもらうから」
麗美が、真顔で言う。
「ええ、そんなー」
京介は、指を加えて麗美を見る。
麗美は、ペロッと舌を出す。
「冗談よ」
京介は、手拭きで手を拭くと、箸を持ったまま手を合わせる。
「頂きまーす」
「どうぞ、召し上がれ。あ、残しといてあげてよ」
京介は、口をモグモグしながら
「了解っす。箸が止まればね」
「こらっ」
頭を小突く真似をする麗美。
「冗談っすよ」
京介は、口の横に、ご飯粒を付けたまま、麗美に向かって、ニヒッとする。
・
「あー、食ったー」
京介は、反り返るとお腹をさすった。
チラッと、真希乃を見る京介。
「なかなか、起きないっすね」
「うん・・・」
あっとなる麗美。スーツの内ポケットに手を差し入れると、小さな巾着を取り出した。
京介が、気にする。
「なんすか、それ?」
「ふふん、元気が出るものよ」
「へえ、ねり薬?練丹っす?」
「まあ、そんなとこ」
麗美は、眠る真希乃の口の中に、それを放り込む。
「あ、いいな。俺も欲しいな」
真希乃が、ガバッと起き上がった。
「おお、すごい効き目」
次の瞬間、真希乃は、激しく咳き込んだ。さらに、寺の中を、走り回った。
ピタリと止まると潤んだ瞳と、真っ赤に腫れた唇が、京介を見る。
手に持った水を奪い取ると、グビグビと飲んだ。
一気に飲み干すと真希乃。
「何を・・飲ませたん・・ですか?」
「これよ」
真希乃に、練丹を見せる。
「目覚めには、これ。激辛丹」
ふふっと、笑う麗美。
「ふふ、じゃないですよ。死ぬかと思った」
「京介くんにも、仕方がないからあげるね」
ダッと、立ち上がる京介。
「あ、いや、俺は、元気っすから大丈夫っす」
慌てて、体操を始める京介。
「そうお、遠慮しなくていいのに」
ギイと音を立てて、朽ちた扉が開く。
「どう?成果は出てる?」
麗美が、手に袋を下げて入ってきた。
京介が、アゴで真希乃を指す。
疲れ果てて、寝息を立てる真希乃。
「こいつ、俺を超えますよ」
「へえ、京介くんがそう言うなんて、余程のことね」
「たった数時間で、俺を追い込みやがった」
「そっか・・・。はいこれ」
麗美が袋を差し出す。中には、飲み物と、大きめの二重の弁当箱があった。
「おっ、まさかの手作り?」
「そうよ、お金を出しても、なかなか食べれないものよ」
京介は、袋から重箱を取り出すと、風呂敷の結び目を解き始める。
パカッと、蓋を開く。色取り取りのおかずが詰まっていた。
「うは、美味そう!」
京介は、箸を取るとおかずをつまもうとする。
「その分は、支払いから引かせてもらうから」
麗美が、真顔で言う。
「ええ、そんなー」
京介は、指を加えて麗美を見る。
麗美は、ペロッと舌を出す。
「冗談よ」
京介は、手拭きで手を拭くと、箸を持ったまま手を合わせる。
「頂きまーす」
「どうぞ、召し上がれ。あ、残しといてあげてよ」
京介は、口をモグモグしながら
「了解っす。箸が止まればね」
「こらっ」
頭を小突く真似をする麗美。
「冗談っすよ」
京介は、口の横に、ご飯粒を付けたまま、麗美に向かって、ニヒッとする。
・
「あー、食ったー」
京介は、反り返るとお腹をさすった。
チラッと、真希乃を見る京介。
「なかなか、起きないっすね」
「うん・・・」
あっとなる麗美。スーツの内ポケットに手を差し入れると、小さな巾着を取り出した。
京介が、気にする。
「なんすか、それ?」
「ふふん、元気が出るものよ」
「へえ、ねり薬?練丹っす?」
「まあ、そんなとこ」
麗美は、眠る真希乃の口の中に、それを放り込む。
「あ、いいな。俺も欲しいな」
真希乃が、ガバッと起き上がった。
「おお、すごい効き目」
次の瞬間、真希乃は、激しく咳き込んだ。さらに、寺の中を、走り回った。
ピタリと止まると潤んだ瞳と、真っ赤に腫れた唇が、京介を見る。
手に持った水を奪い取ると、グビグビと飲んだ。
一気に飲み干すと真希乃。
「何を・・飲ませたん・・ですか?」
「これよ」
真希乃に、練丹を見せる。
「目覚めには、これ。激辛丹」
ふふっと、笑う麗美。
「ふふ、じゃないですよ。死ぬかと思った」
「京介くんにも、仕方がないからあげるね」
ダッと、立ち上がる京介。
「あ、いや、俺は、元気っすから大丈夫っす」
慌てて、体操を始める京介。
「そうお、遠慮しなくていいのに」
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