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平成最恐の飲み会
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飲み会と聞くと、ナウなヤング学生はうきうき合コンでしょうか。社会人が長くなると、会社がらみの飲み会は数多く経験します。歓迎会に送別会、忘年会に新年会、親睦会等、印象深った会もあれば、数が多すぎて全く覚えていない飲み会も多いものです。
ただその中で、もう10年以上前ですが、自分史上最低最悪だった飲み会があります。
ですが今では笑って話せる良い思い出。
なぜって、ある時気付いたんです。「あ、これあまりにもマンガのような展開で普通体験できないな」と。
今回はそんな、まるで嘘のような本当の話をお話しします。
ある時上司の発案で、関係会社と親睦を深めるため合同チームを組んでソフトボールをしました。穏やかに晴れた日で、それ自体は和気あいあいとして大変楽しいものでした。問題はその後の打ち上げです。
なんとなく空いている席に座ると、周りに同じ部署の人達や仲が良い同僚達はいませんでした。同じ会社の男性は目の前に座っていますが、他部署でほとんど接点がないため会話もとっかかりようがなく弾みません。お互い大人同士、食事をはさみつつ表面上はにこやかにしていましたが話が弾まず苦しくなってきました。カモン、誰か別の人。向こうも同じ思いだったと思います。
すると、いつの間にか私の隣に女性が座っています。話したことはありませんでしたが、社内で見かけたことはある関係会社の方でした。歳は恐らく私より上、長い黒髪の美人でしたが、何故だか表情に陰があると感じました。その後初対面の勘は間違いではなかった事が分かるのですが、知る由もなく助かったとばかりに私は速攻彼女に話しかけました。席も隣、同性同士と言う事であまり気を使う事もなく、和やかに会話は進んでいきます。男性も別の話相手を見つけたようで、私は周りに知る人もなし、今日は彼女と二人で会話しようと決めました。
食事しながら談笑し、しばらく経った頃です。一体全体どういう流れでそういう話になったのか全く覚えていないんですが、彼女は突然ぼそりと切り出したんです。
「私、視えるんです」
は。
は!?
いや私一言もそんな話振ってませんけども。
霊感ゼロだしむしろ大の苦手だしお金もらっても話してもらいたくないですしおすし。
そもそも今、ここで言いますか。
皆さんビジネスマナーでにこやかに談笑する真昼間の会社打ち上げ会でしますか!!
友人であれば強引に話を辞めさせるなり逸らすなりする所ですが、関係会社で初対面の相手にはしたくてもできません。正直話し相手をチェンジしたい所ですが、近くで話せる相手は先程の他部署の男性(話弾まず)しかいません。
八方塞がりとはまさにこの事。どこかで話題を変えなくてはと思いつつ、仕方なく話を合わせます。
「・・・みえるって、アレですか」
彼女は重々しく頷き、聞きもしないのに霊感事情をべらべら話し始めます。いわく、彼女は幽霊が視える。彼女の父親が霊感が強く視える人で、幽霊との付き合い方を教わったそうです。いわく、「霊に気付いても、絶対に目を合わせるな」。彼らはこちらが視えるとわかると寄ってくるそうです。訴えたい事や話しかけたい事があるとかどうとか。だから彼女は気配で霊がいると気付いたら、目を合わせないよう、霊に気をとられないよう注意するそうです。
「霊ってそんなにいるんですか」
「外にも建物の中にもいます」
「・・・もしかして、この部屋も」
「・・・・・」
「わー、いいですいいです、言わなくていいので!」
この後の会話の内容は全く覚えていないので、私が話題を変えて幽霊関係の話を強制終了したのだと思います。
ただ当時の感情は鮮明で、
「早く終わってくれ」
「(話が気まずい)男から逃げられたと思ったら今度は幽霊ってマンガかーい」とか思っていました。とにかく飲み会が早く終わってほしかった事は確かです。
大変お世話になっていた上司主催の飲み会なので途中で退出するわけにもいきません。今まで霊感の強い人に会った事は産まれてこの方なかったのですが、何故、今、このタイミングでお知り合いになるのか。オカルトが大の苦手の私は幽霊のゆの字も出していなかったのですが、関連会社の女性は何故唐突にそんな話をしたのか。今でも謎なのですが、今まで数多の飲み会の中でぶっちぎりの最低最悪です。そろそろ平成も終わり且つ飲み会の予定もないので、これを飲み会平成史上最悪に認定しました。皆さんの飲み会in平成はどうだったでしょうか。飲み会でうっかり霊感がある人に当たったりしなかったでしょうか。
ただその中で、もう10年以上前ですが、自分史上最低最悪だった飲み会があります。
ですが今では笑って話せる良い思い出。
なぜって、ある時気付いたんです。「あ、これあまりにもマンガのような展開で普通体験できないな」と。
今回はそんな、まるで嘘のような本当の話をお話しします。
ある時上司の発案で、関係会社と親睦を深めるため合同チームを組んでソフトボールをしました。穏やかに晴れた日で、それ自体は和気あいあいとして大変楽しいものでした。問題はその後の打ち上げです。
なんとなく空いている席に座ると、周りに同じ部署の人達や仲が良い同僚達はいませんでした。同じ会社の男性は目の前に座っていますが、他部署でほとんど接点がないため会話もとっかかりようがなく弾みません。お互い大人同士、食事をはさみつつ表面上はにこやかにしていましたが話が弾まず苦しくなってきました。カモン、誰か別の人。向こうも同じ思いだったと思います。
すると、いつの間にか私の隣に女性が座っています。話したことはありませんでしたが、社内で見かけたことはある関係会社の方でした。歳は恐らく私より上、長い黒髪の美人でしたが、何故だか表情に陰があると感じました。その後初対面の勘は間違いではなかった事が分かるのですが、知る由もなく助かったとばかりに私は速攻彼女に話しかけました。席も隣、同性同士と言う事であまり気を使う事もなく、和やかに会話は進んでいきます。男性も別の話相手を見つけたようで、私は周りに知る人もなし、今日は彼女と二人で会話しようと決めました。
食事しながら談笑し、しばらく経った頃です。一体全体どういう流れでそういう話になったのか全く覚えていないんですが、彼女は突然ぼそりと切り出したんです。
「私、視えるんです」
は。
は!?
いや私一言もそんな話振ってませんけども。
霊感ゼロだしむしろ大の苦手だしお金もらっても話してもらいたくないですしおすし。
そもそも今、ここで言いますか。
皆さんビジネスマナーでにこやかに談笑する真昼間の会社打ち上げ会でしますか!!
友人であれば強引に話を辞めさせるなり逸らすなりする所ですが、関係会社で初対面の相手にはしたくてもできません。正直話し相手をチェンジしたい所ですが、近くで話せる相手は先程の他部署の男性(話弾まず)しかいません。
八方塞がりとはまさにこの事。どこかで話題を変えなくてはと思いつつ、仕方なく話を合わせます。
「・・・みえるって、アレですか」
彼女は重々しく頷き、聞きもしないのに霊感事情をべらべら話し始めます。いわく、彼女は幽霊が視える。彼女の父親が霊感が強く視える人で、幽霊との付き合い方を教わったそうです。いわく、「霊に気付いても、絶対に目を合わせるな」。彼らはこちらが視えるとわかると寄ってくるそうです。訴えたい事や話しかけたい事があるとかどうとか。だから彼女は気配で霊がいると気付いたら、目を合わせないよう、霊に気をとられないよう注意するそうです。
「霊ってそんなにいるんですか」
「外にも建物の中にもいます」
「・・・もしかして、この部屋も」
「・・・・・」
「わー、いいですいいです、言わなくていいので!」
この後の会話の内容は全く覚えていないので、私が話題を変えて幽霊関係の話を強制終了したのだと思います。
ただ当時の感情は鮮明で、
「早く終わってくれ」
「(話が気まずい)男から逃げられたと思ったら今度は幽霊ってマンガかーい」とか思っていました。とにかく飲み会が早く終わってほしかった事は確かです。
大変お世話になっていた上司主催の飲み会なので途中で退出するわけにもいきません。今まで霊感の強い人に会った事は産まれてこの方なかったのですが、何故、今、このタイミングでお知り合いになるのか。オカルトが大の苦手の私は幽霊のゆの字も出していなかったのですが、関連会社の女性は何故唐突にそんな話をしたのか。今でも謎なのですが、今まで数多の飲み会の中でぶっちぎりの最低最悪です。そろそろ平成も終わり且つ飲み会の予定もないので、これを飲み会平成史上最悪に認定しました。皆さんの飲み会in平成はどうだったでしょうか。飲み会でうっかり霊感がある人に当たったりしなかったでしょうか。
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