【アルファポリス恋愛小説大賞奨励賞いただきました】三人

浅野新

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「俺、変わった? 」
「変わったよな、絶対」
 俺は隣を歩く幼馴染を見た。

 聖司は、どこが?何が?と言う感じで首を傾げる。張本人のくせに。

 ため息をつきつつ、どんよりとした空を突き破るかのようにうんと伸びをする。寒いと体も、心も縮こまってしまう気がして。2月は嫌いだ。

 一週間は長い。特に月曜日は。昨日さくらに会ったばかりなのに、もう次の日曜日が待ち遠しくなっている。できることなら、毎日毎日会っていたい。せめて休日は土曜も日曜もずっと一緒にいたい。

 普通の恋人同士のように。

 ふつうの。
 右を歩く聖司の気配を感じる。

 変わった、よな。

 自分がこんな恋愛に納得するなんて思いもよらなかったけど。
 否、今も納得はしていないのだろうけれど。

 ぽつりとつぶやく。

「自分が何番目の彼氏かなんて分からないけど」
 仕方ないよな。

 好きになっちゃったんだから。

 これでさくらを繋ぎ止める事ができるのなら。
 情けないけれど。

 恋をして人は成長すると言うけれど。
 恋をしている時の方が人間は情けなくなる。
 そう思う。

 それに、どうして彼女を責められるだろう。
 さくらは誠実なのだ。誰に対しても。だから一人を深く愛せないのだ。

最 初は分からなかった。分かるわけがないと思った。実際、付き合い始めて五ヶ月たった今も納得はできていない。
 けれど、だんだんと彼女の気持ちを、彼女自身を理解してあげたいと思い始めている。

 聖司は分かっていたと言うのだろうか。

 だからこいつはすぐに了承したのだろうか。

 こんな恋愛の形を。

 再び黙々と隣を歩く聖司を見た。

 彼は何もかもが薄い。
 髪の色も瞳の色も肌の色も。人形のように端整で目立つ外見なのに、何故か存在感も薄いのだ。そうしてそれを一向に気にもしていない。

 雰囲気が同じだ。

__彼女と。

 思わずげんこつでぽかりと彼の頭をなぐった。
 聖司は、な、何、ときょとんとこちらを見ている。
「お前のどこがいいんだろうな。雰囲気が華奢なだけじゃないか」

 何となく腹立たしくなって、何か言いかけた彼を無視して校舎へと急いだ。吐く息が白い。白い空気。

 空気が、似ているんだ。二人とも。
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