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アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~
クラブ対抗祭~準備時間~
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時はあっという間に過ぎクラブ対抗祭の日となった。
あれからちょくちょく貴族と揉めたりしたがなんとかやりきってこの日を迎えることができた。
「おーい!カイ!」
と後ろから呼ばれたので振りかえるとそこにはコウ達の姿があった。
「みんな思ったより早かったね。祭りの開始は10時からだよ。」
「分かってるって!カイと喋りたかったからはよ来てん。それ制服?格好エエな!」
「そう?でも動きにくいよ?」
スーツとまではいかないがかなりキッチリしている服なのだ。日本のとまでは言わないがもう少しなんとかならなかったのだろうか?
「そうなんや…見た目で着る服選んだあかんのはほんまなんやな。」
とコウがうんうんと頷いてなにかに納得している。
「あっ、そうだ。コウ、はいこれ。あげる。もちろんみんなのやつもあるよ。」
と言って皆にいろいろ配っていく。
「なんやこれ?」
「僕のお店の商品。」
「…カイ、これ勝手にとったん?アカンで。」
「別にいいんだ。これ僕が作ったやつだし。せっかく頑張ったのに商品にするのは無理だって言われたやつだから気にしないで。」
「…失敗作にしては上手い気がするんやけど…」
なかなか勘がいい。これは宣伝用なのだから当たり前である。コウとイリアスはもちろん、エレンやユウリの瞳の色も珍しいのできっと人目を引く。
…お祖父様の視線が少し痛いがまあ許してくれるだろう。
「私にはないのかな?」
「お祖父様のも作ろうと思ったんだけど魔石の無駄遣いはダメって言われてしまって。今度上手くできたものを渡すよ。」
そう言うとお祖父様はいろいろと理解してくれて素直に引き下がった。
さすがにお祖父様にも宣伝用のやつを渡すのはやり過ぎだっていうのと、
公爵家の者にこんな安いもの着けさせたら評判が悪くなるかなっていう不安のためだ。
「おーい!カイ!…っ公爵様?!」
「あっ、リーダー、この人達は前に話してた友人です。」
「そっ、そうか。俺、いや私は冒険者クラブのリーダーのファインと言う。よかったら私達のお店も見ていってくれ。」
「そういえばリーダーは僕に何か用事でも?」
「あっ、そうだった…例のパフォーマンスのことだがようやく先生からの許可がおりて一度のパフォーマンスには5人までならOKらしい。」
「本当ですか?それはよかったです。」
にしてもギリギリで判断を下したな。
「そろそろカイも準備してくれ。」
「わかりました。それじゃ、また会おうね。」
と言い皆と別れて準備をしに向かう。
「でも本当にいいのか?」
そう言ってリーダーは僕の顔を窺うように見た。
「まだ言ってるんですか?リーダーが宮廷魔法使いになればクラブの皆に夢や希望を与えることとなるでしょう。なんせ、宮廷魔法使いで平民出身の方は今まで1人もいないんです。これを機にすべての身分差別がなくなるわけではありませんが、きっかけとしては十分だと思いますよ。国王陛下は今までいろいろな差別を含んだ法律を変えてこられましたが、貴族的な考え方を持った方達を変えるには陛下1人の努力じゃ限界があります。彼らを納得させる一番手っ取り早い方法は実力を見せつけることです。そうでないとなめられてしまう。」
「ただ、それは君にとってなんの利益もないと思うんだ。どうしてここまでしてくれんだ?」
「僕がこの世で5番目に嫌いなことが“能力はあるのにきちんと評価されないこと”だからですかね?」
「とても苦しそうな表情をしているが、君にもそういう経験があるのか?」
「昔のことです。それに僕の場合はあなたと少し違う。誰にも興味を持たれなかったから評価もされずただ人を憎むために生きていました。あなたにはそうなってほしくない。もしかしたらこの気持ちがあなたを助けようと思った本当の理由かもしれませんね。」
そう言って僕はほんの少し寂しげに笑った。
「それでも…本当にありがとう。」
「…礼を言うのは終わってからにしてもらえます?どうせ300万リビアの半分も稼げないんですから。こっからはリーダーの能力しだいです。良さそうなパトロンを見つけてください。」
そう言って僕はリーダーと別れた。
リーダーには僕がチェスの試合に出ることを話している。
路上のパフォーマンスですごい技を見せることができたら身分差別をしないどこかの貴族から声がかかってもおかしくはないだろう。
この話はお祖父様にもしていない。ただ、お祖父様ならばこのような優れた才能を持った人を見逃すことはないだろう。
なってたってリーダーは魔法の才能だけで学院に入ることを許された上魔塔からの推薦もない唯一の平民。
さらには“氷の天使”と呼ばれているフローレス嬢以上の才能がある全属性持ちの天才なのだから。
あれからちょくちょく貴族と揉めたりしたがなんとかやりきってこの日を迎えることができた。
「おーい!カイ!」
と後ろから呼ばれたので振りかえるとそこにはコウ達の姿があった。
「みんな思ったより早かったね。祭りの開始は10時からだよ。」
「分かってるって!カイと喋りたかったからはよ来てん。それ制服?格好エエな!」
「そう?でも動きにくいよ?」
スーツとまではいかないがかなりキッチリしている服なのだ。日本のとまでは言わないがもう少しなんとかならなかったのだろうか?
「そうなんや…見た目で着る服選んだあかんのはほんまなんやな。」
とコウがうんうんと頷いてなにかに納得している。
「あっ、そうだ。コウ、はいこれ。あげる。もちろんみんなのやつもあるよ。」
と言って皆にいろいろ配っていく。
「なんやこれ?」
「僕のお店の商品。」
「…カイ、これ勝手にとったん?アカンで。」
「別にいいんだ。これ僕が作ったやつだし。せっかく頑張ったのに商品にするのは無理だって言われたやつだから気にしないで。」
「…失敗作にしては上手い気がするんやけど…」
なかなか勘がいい。これは宣伝用なのだから当たり前である。コウとイリアスはもちろん、エレンやユウリの瞳の色も珍しいのできっと人目を引く。
…お祖父様の視線が少し痛いがまあ許してくれるだろう。
「私にはないのかな?」
「お祖父様のも作ろうと思ったんだけど魔石の無駄遣いはダメって言われてしまって。今度上手くできたものを渡すよ。」
そう言うとお祖父様はいろいろと理解してくれて素直に引き下がった。
さすがにお祖父様にも宣伝用のやつを渡すのはやり過ぎだっていうのと、
公爵家の者にこんな安いもの着けさせたら評判が悪くなるかなっていう不安のためだ。
「おーい!カイ!…っ公爵様?!」
「あっ、リーダー、この人達は前に話してた友人です。」
「そっ、そうか。俺、いや私は冒険者クラブのリーダーのファインと言う。よかったら私達のお店も見ていってくれ。」
「そういえばリーダーは僕に何か用事でも?」
「あっ、そうだった…例のパフォーマンスのことだがようやく先生からの許可がおりて一度のパフォーマンスには5人までならOKらしい。」
「本当ですか?それはよかったです。」
にしてもギリギリで判断を下したな。
「そろそろカイも準備してくれ。」
「わかりました。それじゃ、また会おうね。」
と言い皆と別れて準備をしに向かう。
「でも本当にいいのか?」
そう言ってリーダーは僕の顔を窺うように見た。
「まだ言ってるんですか?リーダーが宮廷魔法使いになればクラブの皆に夢や希望を与えることとなるでしょう。なんせ、宮廷魔法使いで平民出身の方は今まで1人もいないんです。これを機にすべての身分差別がなくなるわけではありませんが、きっかけとしては十分だと思いますよ。国王陛下は今までいろいろな差別を含んだ法律を変えてこられましたが、貴族的な考え方を持った方達を変えるには陛下1人の努力じゃ限界があります。彼らを納得させる一番手っ取り早い方法は実力を見せつけることです。そうでないとなめられてしまう。」
「ただ、それは君にとってなんの利益もないと思うんだ。どうしてここまでしてくれんだ?」
「僕がこの世で5番目に嫌いなことが“能力はあるのにきちんと評価されないこと”だからですかね?」
「とても苦しそうな表情をしているが、君にもそういう経験があるのか?」
「昔のことです。それに僕の場合はあなたと少し違う。誰にも興味を持たれなかったから評価もされずただ人を憎むために生きていました。あなたにはそうなってほしくない。もしかしたらこの気持ちがあなたを助けようと思った本当の理由かもしれませんね。」
そう言って僕はほんの少し寂しげに笑った。
「それでも…本当にありがとう。」
「…礼を言うのは終わってからにしてもらえます?どうせ300万リビアの半分も稼げないんですから。こっからはリーダーの能力しだいです。良さそうなパトロンを見つけてください。」
そう言って僕はリーダーと別れた。
リーダーには僕がチェスの試合に出ることを話している。
路上のパフォーマンスですごい技を見せることができたら身分差別をしないどこかの貴族から声がかかってもおかしくはないだろう。
この話はお祖父様にもしていない。ただ、お祖父様ならばこのような優れた才能を持った人を見逃すことはないだろう。
なってたってリーダーは魔法の才能だけで学院に入ることを許された上魔塔からの推薦もない唯一の平民。
さらには“氷の天使”と呼ばれているフローレス嬢以上の才能がある全属性持ちの天才なのだから。
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