異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~

つながる記憶とその正体

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ルークス視点

「なぁなぁおっちゃん、カイは勝つと思う?」

そう不安気にコウが聞く。カイに負けたばかりだというのに優しい子だ。

「カイは物凄く強いが対戦相手もなかなか手強いからな。絶対に勝つとは言いきれないがまあ負けはしないだろう。」

「あのかわいい女の子、たしか“氷の天使”や“希代の才女”って呼ばれているフローレス家の長女のアイリス様だよな。」

そう言ってエレンは俺の顔を見る。

「よく知ってるな。」

「カイが学院へ行く前に伯爵家以上の貴族の名前と顔を叩き込まれたんだ。…フローレス家ってハルシャ家とはあんまり仲がよくなかったよな?あの女の子、カイと結構親しそうだけどいいのか?」

子どもに何を心配させているんだ。大人として失格だな…

「確かに家同士の仲は非常によろしくない。だが、それに子どもを巻き込むわけにはいかんだろう?それに、大人が子どもの友好関係に口出しするのはナンセンスだろう。」


「確かに…あっ!カイが初めて悩んでる。どうしたんやろ。」

アワアワとするコウにユウリがおかしそうに見る。

「コウさん、カイさんだって人間ですよ?1度くらい悩んだっておかしくないですよ。」

「あれっ?カイの瞳、おかしくないか?」

イリアスがそう言ったためカイの瞳を見るとその瞳は金色に光っていた。

それにはとても見覚えがあった。

予知眼だ。

だが、それは13の誕生日に開眼するはずである。

…いやっ、自分の身や親しい人の身に何か起こると察知した時にだけ本能的に開眼する。

それならばここに危機がせまっているということか?

そう思って俺はとっさに周囲を観察した。

すると不審な魔力をどこからか微かに出ているのを感じとった。

「皆、私は少し様子を見てくるかここで待ってなさい。」

と言い残し人混みをかき分け不審な魔力を追う。

途中、人が多すぎて魔力を感じにくくなったため申し訳なく思いながらも民家の屋根に登り上から見る。

その時、誰かの悲鳴が聞こえた。

「キャァァア!!」

悲鳴はカイ達のいるチェスの会場の方から聞こえてきた。

頭よりも体が先に動き、急いで悲鳴の聞こえた方へ戻った。


そこには腕をナイフでさされて血塗れのカイが立っていた。

さされた方と反対の腕を押さえつけながら何か呟いている。


「…殺したい、ころしたい、コロシタイ!!…いやダメだ、ダメだ、だめだ!!早くころそぉぜ!…あぁぁ、苦しい、くるしい、、クルシイ!!あっちにいけ、はやく、ハヤク、、はやく逃げろ!!」

そう言ってカイは自分の腕に刺さったナイフを引っこ抜き自分の首に押し当てようとした。

それを自分の手を犠牲にして無理やりとめる。

その時、カイと眼があったように感じた。俺を殺したアイツの眼と同じ、片方だけが赤かった。

カイからナイフを無理やり取り上げて話しかけようとしたとき、急にカイの瞳全てが赤くなった。

真っ赤というよりも黒に近い赤。本当に何もかもあの日の状況と似ていた。

パッと俺から離れたカイは顔をあげてアイリス嬢の方を見た。

「ふっ、、あははははは!!やっぱり本能って怖いよねぇ。カミ様ぁ、聞いているんでしょう?今度からは魂を完璧な状態にしてから送ったほうがいいよぉ。治りかけの魂ほど隠れやすい場所はないんだからぁ。でも楽しかったなぁ、僕の言葉1つで不安定になる彼を見るのぉ。…うん?あれぇ、そんなに怖がってどうしたの?大丈夫、君はかわいいから苦しまないよう一瞬で殺してあげる」

そしてカイはあり得ないスピードで水魔法で造った刃でアイリス嬢に斬りかかった。

この距離だと間に合わない!

ガキンという音で彼の得物とエレンの剣が当たる。

「…チッ...白夜の子孫か。ジリ貧だな。」

そう呟く彼の足をアイリス嬢が氷魔法で凍らせる。

「こんなものでボクを止められるとでも?てゆうかぁ、いいのぉ?この身体は繋がっているからカイも痛みを感じるはずだよ。…はぁぁあ、コイツが火魔法でも持ってたらそこまでめんどくはなかったんだけど。」

そう言ってカイが手をかざそうとした時に、予知眼で2人が何か黒いものに巻き込まれて死んでいく様子を見たため、とっさに脇に抱えて風魔法で空へ跳ぶ。

「うん?ああ、なるほど…これは不味いな。なんでこんなに神の一族がいるんだ…」

そう呟いたと思ったら凄いスピードでどこかへと走っていく。

「みな、はやく避難しなさい。私はカイを追う。」

そう言って遠くに見えているカイの背中を追う。

身体能力が桁違いにあがっている。Aランク冒険者とも引けをとらないだろうな

30秒ほどおっていると神殿の前で足を止めた。

「これで、おしまいだ!」

そう言ってカイが神殿に入ったその瞬間、神々しい光がカイを包んだ。

「ぐっ、グワァァァ!!なんだよ、なんだよ、お前!!なんでまだ生きてんだよ!確かに乗っ取ったはずなのにぃ…」

そう言って叫び声をあげるカイの額には守護の術式が黄色く光っていた。

周りの光は徐々に収まりカイはその場に倒れ込んだ。
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