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1話:幼馴染みと騎士団へ
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「おい!お前らまたテオをいじめただろう」
「げっ。シモン!ほらもう行くぞ」
いじめっ子達が逃げていくと地べたに座り込み泣いている幼なじみのテオの姿が見える。
体の小さなテオは可愛らしい見た目と、すぐに泣くので「女みたいだ」と、いじめられることが多かった。
「ぐすっ……。シモンくん……助けてくれてありがとう」
綺麗な金髪に碧眼の瞳、肌の色も透き通るような白さ。傍から見れば女の子と間違えてしまっても仕方ない位にテオは可愛い。
俺はそんな幼馴染みを物心ついた頃からずっと面倒みていた。
「またあいつらが来たら俺のところに来いよ。守ってやるから」
座り込んでいるテオへと手を差し伸ばせば、涙を拭い俺の手を取る。
「うん。ありがとうシモンくん。僕……シモンくんから絶対に離れない」
涙で赤く潤んだ瞳で微笑まれれば男だと分かっていても胸がドキっとした。
それから俺とテオは、いじめてくる奴らに負けないようにと、2人で体を鍛えたり特訓しながら友情を深めていった。
それから10年後。
俺達は無事に16才になり成人の義も終え大人の仲間入りをする。
小さな頃から伝説の勇者に憧れ、いつか自分も勇者のように強くなりたい。
強くなって大切な人を護りたいと思っていた俺は、成人したら王都で騎士団に入る事を決意していた。
一週間後に王都行きの馬車に乗り俺は育った村から離れる予定だ。
騎士団に入れれば自分の夢へと近づく……。
俺は王都行きを今か今かと心待ちにしていた。
「ねぇシモン! 王都に行くって本当? この村から離れちゃうの? 僕の事……守ってくれるんじゃないの!?」
どこからか俺の王都行きの情報を聞きつけた幼なじみが泣きそうな顔をして駆け寄ってくる。
「あぁそうだよ。お前も……もう俺から守られるって感じでもないしな」
小さな頃は可憐で可愛かったテオは、すくすくと育ち……いや育ちすぎて今では立派な金髪イケメンへと成長した。
俺はというと、身長はあまり伸びず癖の強い赤髪と童顔というコンプレックスを抱えたまま16歳を迎えた。
テオに身長を追い越されてからは見下ろされるのがいつも悔しくて悔しくて……今も精一杯背を伸ばしテオを見上げている。
「……じゃあ僕も騎士団に入る」
「はぁ?」
「騎士団は試験さえ受かればいいんでしょ! 僕も行く!」
「お前なぁ……」
「シモンが行くなら僕も絶対騎士団に入る!」
テオはこう言い出したら絶対に諦めない。
俺はため息をつきながら「好きにしろ」と、言うとテオは顔をパァァァっと明るくし笑顔で俺に抱きついてきた。
それから一週間後。
俺達は王都へ向かい騎士団の入団試験を受けるのだが、めでたい事に2人とも無事に合格した。
だが、晴れて騎士団見習いになった俺達に待っていたのは過酷な訓練だった。くる日もくる日も力尽きるまで剣をふるい身体も精神面も鍛えていった。
同期の奴らは俺よりも強い奴ばかりだったが負けてはいられない。体格の小さな俺は力よりも技術やスピードを磨いていった。
しかし、魔法の使い方が下手な俺はそこでつまづいてしまう。
一方でテオは恵まれた体格に力も強く魔法のセンスもあり同期の中では一番強かった。
すでに色々な部隊から声がかかってきているらしい……。
俺はいつしかテオの隣にいる事に劣等感を感じるようになっていた。
「げっ。シモン!ほらもう行くぞ」
いじめっ子達が逃げていくと地べたに座り込み泣いている幼なじみのテオの姿が見える。
体の小さなテオは可愛らしい見た目と、すぐに泣くので「女みたいだ」と、いじめられることが多かった。
「ぐすっ……。シモンくん……助けてくれてありがとう」
綺麗な金髪に碧眼の瞳、肌の色も透き通るような白さ。傍から見れば女の子と間違えてしまっても仕方ない位にテオは可愛い。
俺はそんな幼馴染みを物心ついた頃からずっと面倒みていた。
「またあいつらが来たら俺のところに来いよ。守ってやるから」
座り込んでいるテオへと手を差し伸ばせば、涙を拭い俺の手を取る。
「うん。ありがとうシモンくん。僕……シモンくんから絶対に離れない」
涙で赤く潤んだ瞳で微笑まれれば男だと分かっていても胸がドキっとした。
それから俺とテオは、いじめてくる奴らに負けないようにと、2人で体を鍛えたり特訓しながら友情を深めていった。
それから10年後。
俺達は無事に16才になり成人の義も終え大人の仲間入りをする。
小さな頃から伝説の勇者に憧れ、いつか自分も勇者のように強くなりたい。
強くなって大切な人を護りたいと思っていた俺は、成人したら王都で騎士団に入る事を決意していた。
一週間後に王都行きの馬車に乗り俺は育った村から離れる予定だ。
騎士団に入れれば自分の夢へと近づく……。
俺は王都行きを今か今かと心待ちにしていた。
「ねぇシモン! 王都に行くって本当? この村から離れちゃうの? 僕の事……守ってくれるんじゃないの!?」
どこからか俺の王都行きの情報を聞きつけた幼なじみが泣きそうな顔をして駆け寄ってくる。
「あぁそうだよ。お前も……もう俺から守られるって感じでもないしな」
小さな頃は可憐で可愛かったテオは、すくすくと育ち……いや育ちすぎて今では立派な金髪イケメンへと成長した。
俺はというと、身長はあまり伸びず癖の強い赤髪と童顔というコンプレックスを抱えたまま16歳を迎えた。
テオに身長を追い越されてからは見下ろされるのがいつも悔しくて悔しくて……今も精一杯背を伸ばしテオを見上げている。
「……じゃあ僕も騎士団に入る」
「はぁ?」
「騎士団は試験さえ受かればいいんでしょ! 僕も行く!」
「お前なぁ……」
「シモンが行くなら僕も絶対騎士団に入る!」
テオはこう言い出したら絶対に諦めない。
俺はため息をつきながら「好きにしろ」と、言うとテオは顔をパァァァっと明るくし笑顔で俺に抱きついてきた。
それから一週間後。
俺達は王都へ向かい騎士団の入団試験を受けるのだが、めでたい事に2人とも無事に合格した。
だが、晴れて騎士団見習いになった俺達に待っていたのは過酷な訓練だった。くる日もくる日も力尽きるまで剣をふるい身体も精神面も鍛えていった。
同期の奴らは俺よりも強い奴ばかりだったが負けてはいられない。体格の小さな俺は力よりも技術やスピードを磨いていった。
しかし、魔法の使い方が下手な俺はそこでつまづいてしまう。
一方でテオは恵まれた体格に力も強く魔法のセンスもあり同期の中では一番強かった。
すでに色々な部隊から声がかかってきているらしい……。
俺はいつしかテオの隣にいる事に劣等感を感じるようになっていた。
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