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22話:魔王と番
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光に包まれた後、俺は意識が途絶えていたようで気がつけばベッドに横たわっていた。
もしかして…あれは瘴気に当てられて夢でも見ていたのか?
体を起こし辺りを見渡しテオ達を探す。
部屋の中は薄暗くランプの灯がだだっ広い部屋に数個置かれているだけだった。
ゆらゆらと怪しく揺れるランプの灯りに少し恐怖を感じる…
「テオ…ベヌエット様…アレンさん…」
呟くように皆の名前を呼ぶがもちろん返事などない。
「やっと目覚めたな」
声の方へと顔を向けると薄暗い部屋の奥から人影が動いてくる。
「…誰?」
恐る恐る声をかけるが、ガルパス様の最後の言葉を思い出し質問したことを後悔する…
「私かい?君達がずっと会いたがっていた魔王だよ」
近くまで魔王が来ると薄暗い部屋でも顔が見える。
真っ黒な髪を揺らし紅い瞳が俺を見つめる。端正な顔立ちをしているが無表情なので怖い…
その瞳に見つめられると体が金縛りのように動かなくなり俺はベッドで座ったまま固まった。
そんな俺の横へと腰を下ろすと俺の顔を覗き込み品定めするようにジロジロと見てくる。
「今回は男と聞いていたが…まぁ悪くないな。楽しむ前に少し腹を満たさせてもらおうか」
魔王はそう言うと俺の首筋に歯を立てる。
「痛っっ…」
歯を立てられた場所は最初は痛みがあったが次第に痛みは無くなっていった。魔王の喉が上下しているのを見て血を吸われている事を実感する…
俺このまま死ぬんだろうか…
そう思っていると魔王は首筋から離れ口に付いた血を拭いながら満足そうな顔をして俺に微笑みかける。
「素晴らしい…今回の番はガルパスが言っていた通り傑作だな」
血を吸われ少しボーっとしていたが、ガルパス様の名前を聞きテオ達の事を思い出す。
テオ達もここに囚われているのだろうか…
「なぁ…俺をどうするんだ?俺の仲間もここにいるのか?」
「ん?なんだガルパスから聞いていないのか?」
「いや…何も…」
「そうか…お前は私の食糧でもあり番だ。すぐには死なせない。お前の仲間は森を抜けて王都へと戻っている頃だろう」
…なんか色々とツッコミ所が多いぞ魔王。
とりあえずテオ達は無事なのか…でも信用していいのか?
「私の言葉は信用できないって目をしてるね…仲間は無事だ。魔王を倒した勇者達として王都へ返している」
話を聞いた後も俺が疑いの眼差しを向けると魔王はクスっと笑い『勇者』と『番』についても話し出した。
「勇者は私の『番』を育てる為に存在しているんだ。私の食事は勇者の魔力。しかし力の強い勇者を喰らうにはリスクが高く最近は相手にするのが面倒になってな、そこで勇者が現れた時に勇者の大切な人に呪いをかけるようにしたんだ。それが『勇者の番』なんだよ」
魔王はそう言いながら俺の番の紋を愛おしそうに撫でる。
「勇者の精には魔力が豊富に含まれている。そこで番に勇者の精を注ぎ込ませ体内で溜め込む性質に呪いで作り替えたんだ。お前の血を味わったが本当に素晴らしかったよ」
歯を立てられた首筋を撫でられまた血を吸われるのかと思い恐怖で体が震える。
このまま血を吸われ続ければ俺の死は近い…
「そう怖がるなシモン…すぐに死なせはしないと言っただろ?お前は私の大切な『番』だ。今までの番達も皆寿命を全うして死んでいったぞ」
何処か誇らしげな魔王。
でも、すぐには殺されないのならば、いつかコイツから逃げ出す事もできるかも…
そう考えていると魔王は俺シャツの下から手を入れ肌を触ってくる…
「な、何してるんだよ!」
魔王の手は俺の腹を撫で…胸へと伸びてくる。
恐怖と胸を触られた気持ち悪さに鳥肌が立つ…
「何って…私も数十年ぶりの食事で腹が減っているんだ。あの血だけでは足りないが吸いすぎるとお前が死ぬ。血液以外でもお前の体液ならば食事になるから精液を頂こうと思ってるんだが…ダメか?」
「…ダメだって断れるのか?」
「ふふ。無理だな」
じゃあ聞くなよ!
睨みつける俺を魔王はベッドへと押し倒す。
体が上手く動かせない俺は魔王にされるがまま服を脱がされていった…
もしかして…あれは瘴気に当てられて夢でも見ていたのか?
体を起こし辺りを見渡しテオ達を探す。
部屋の中は薄暗くランプの灯がだだっ広い部屋に数個置かれているだけだった。
ゆらゆらと怪しく揺れるランプの灯りに少し恐怖を感じる…
「テオ…ベヌエット様…アレンさん…」
呟くように皆の名前を呼ぶがもちろん返事などない。
「やっと目覚めたな」
声の方へと顔を向けると薄暗い部屋の奥から人影が動いてくる。
「…誰?」
恐る恐る声をかけるが、ガルパス様の最後の言葉を思い出し質問したことを後悔する…
「私かい?君達がずっと会いたがっていた魔王だよ」
近くまで魔王が来ると薄暗い部屋でも顔が見える。
真っ黒な髪を揺らし紅い瞳が俺を見つめる。端正な顔立ちをしているが無表情なので怖い…
その瞳に見つめられると体が金縛りのように動かなくなり俺はベッドで座ったまま固まった。
そんな俺の横へと腰を下ろすと俺の顔を覗き込み品定めするようにジロジロと見てくる。
「今回は男と聞いていたが…まぁ悪くないな。楽しむ前に少し腹を満たさせてもらおうか」
魔王はそう言うと俺の首筋に歯を立てる。
「痛っっ…」
歯を立てられた場所は最初は痛みがあったが次第に痛みは無くなっていった。魔王の喉が上下しているのを見て血を吸われている事を実感する…
俺このまま死ぬんだろうか…
そう思っていると魔王は首筋から離れ口に付いた血を拭いながら満足そうな顔をして俺に微笑みかける。
「素晴らしい…今回の番はガルパスが言っていた通り傑作だな」
血を吸われ少しボーっとしていたが、ガルパス様の名前を聞きテオ達の事を思い出す。
テオ達もここに囚われているのだろうか…
「なぁ…俺をどうするんだ?俺の仲間もここにいるのか?」
「ん?なんだガルパスから聞いていないのか?」
「いや…何も…」
「そうか…お前は私の食糧でもあり番だ。すぐには死なせない。お前の仲間は森を抜けて王都へと戻っている頃だろう」
…なんか色々とツッコミ所が多いぞ魔王。
とりあえずテオ達は無事なのか…でも信用していいのか?
「私の言葉は信用できないって目をしてるね…仲間は無事だ。魔王を倒した勇者達として王都へ返している」
話を聞いた後も俺が疑いの眼差しを向けると魔王はクスっと笑い『勇者』と『番』についても話し出した。
「勇者は私の『番』を育てる為に存在しているんだ。私の食事は勇者の魔力。しかし力の強い勇者を喰らうにはリスクが高く最近は相手にするのが面倒になってな、そこで勇者が現れた時に勇者の大切な人に呪いをかけるようにしたんだ。それが『勇者の番』なんだよ」
魔王はそう言いながら俺の番の紋を愛おしそうに撫でる。
「勇者の精には魔力が豊富に含まれている。そこで番に勇者の精を注ぎ込ませ体内で溜め込む性質に呪いで作り替えたんだ。お前の血を味わったが本当に素晴らしかったよ」
歯を立てられた首筋を撫でられまた血を吸われるのかと思い恐怖で体が震える。
このまま血を吸われ続ければ俺の死は近い…
「そう怖がるなシモン…すぐに死なせはしないと言っただろ?お前は私の大切な『番』だ。今までの番達も皆寿命を全うして死んでいったぞ」
何処か誇らしげな魔王。
でも、すぐには殺されないのならば、いつかコイツから逃げ出す事もできるかも…
そう考えていると魔王は俺シャツの下から手を入れ肌を触ってくる…
「な、何してるんだよ!」
魔王の手は俺の腹を撫で…胸へと伸びてくる。
恐怖と胸を触られた気持ち悪さに鳥肌が立つ…
「何って…私も数十年ぶりの食事で腹が減っているんだ。あの血だけでは足りないが吸いすぎるとお前が死ぬ。血液以外でもお前の体液ならば食事になるから精液を頂こうと思ってるんだが…ダメか?」
「…ダメだって断れるのか?」
「ふふ。無理だな」
じゃあ聞くなよ!
睨みつける俺を魔王はベッドへと押し倒す。
体が上手く動かせない俺は魔王にされるがまま服を脱がされていった…
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