悪役令息に転生したビッチは戦場の天使と呼ばれています。

赤牙

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新章:

番外編:ビッチ本領発揮

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 『小川斗真、知名度アップ計画!』
 そんなマヌケなタイトルを脳内に掲げて今日もせっせと自分を売り込む日々が続いている。
 とはいえ、今の状況で俺ができることは少ないので、まずは爽やか笑顔で挨拶。何かをしてもらったら感謝の気持ちを伝えて、またスマイル。
 アンジェロの可愛らしさも相まって、城の従者や騎士たちの反応は上々だ。
 最近では「オガワ様」と呼んでくれる人もいる。
 中でも一番いい反応を見せてくれるのは、ノルンだ。
 仲直りして以来、ノルンとの距離はぐっと近くなった。無表情クール系だと思っていたが、俺の前では笑顔も多いしなんなら距離も近い。
 やたらとボディータッチも多いし……
 まぁ、恋人の体だから近づきたい気持ちは分かるが中身は三十八歳のおじさんに片足突っ込んでる奴だと分かっているのだろうかと思うくらいだ。
 そんなことを考えていると、寝る前の身支度を手伝ってくれるノルンの顔がぐっと近くなる。

「トーマ様? どうかされましたか?」
「えっ? あ、いや……別に……」
「もしや、体調が悪いのですか? 熱はありませんか?」

 そう言ってノルンは首元に触れてくる。少し冷えたノルンの指先が冷たくて思わず「んっ……」と甘い声が漏れ体がピクリと反応してしまう。
 
「も、申し訳ありません」

 ノルンは頬を赤らめ慌てて首筋から手を離すが、その反応に俺はムラッとしてしまう。
 そういえば病気で治療を始めてから、随分とご無沙汰だった。久しぶりの人との触れ合いに鼓動が高鳴ってしまう。
 いやいや、恋人がいる男にムラついちゃいけない。だが、そんな気分にさせたのはノルンだ。
 やけに距離は近いし、ベタベタ触れてくるし、俺に触って頬を赤らめるなんて「やりたいですよー」と、言ってるもんじゃないか。
 悶々とした気分と、ノルンの中途半端な行動になんだかモヤモヤした俺は意地悪な質問をする。

「ノルンさん、もしかして……俺のこと気になってますか?」

 小悪魔感満載の上目遣いで問いかけると、ノルンはさらに頬を赤く染める。満更でもないノルンの反応。
 ……もしかして、ワンチャンいけんのかこれ?
 まさかのNTR展開にキュンと下腹が疼くが、ど真面目ノルンが俺なんかを気になるはずないだろう。でも、ここまでくるとノルンの困り顔をもっとみたくなってくる。

「え~。ノルンさんはアンジェロのことが好きなんですよね? 俺なんかに照れちゃっていいんですかぁ?」
 
 その言葉にノルンは苦笑いを浮かべる。

「そう、ですね……。そうなのですが、なんともうしたらいいでしょうか……トーマ様はトーマ様なのですが、アンジェロ様でもあると感じて仕方がないのです」
「はぁ?」

 訳のわからないことを言い出すノルン。
 皆から戦場の天使だなんだと言われ、あがめられているアンジェロとビッチな俺が同じだと?
 なんだよそれ。お前のアンジェロへの愛はそんなもんなのかよ。
 ノルンへ少し冷めた気持ちで視線を向けると、ノルンは真面目な顔で話し続ける。

「信じていただけないかもしれませんが、トーマ様を見ていると、私はこの人を愛しているのだと本能がそう告げるのです」
「はっ!? え、ふ、ふーん……愛してる、ですか」

 『愛してる』なんて照れくさい言葉を真顔で語るノルン。
 おい、アンジェロ。よくこんな小っ恥ずかしい言葉をいうやつとずっと一緒にいれるな。
 すっかりノルンのペースにもっていかれてしまったが、俺がアンジェロとは全く違うってところをハッキリと分からせてやるのも大事なことだ。

 — —ここは一発、ビッチな俺がド真面目ノルンをギャフンと言わせてやんないとな。

 悪い笑みを浮かべ俺はシャツのボタンに手をかける。

「ノルンさん……いや、ノルン。じゃあ、俺とアンジェロが本当に違うってことを、ハッキリと分からせてやるよ」

 意地悪な顔をしてシャツのボタンを一つずつ外しアンジェロの真っ白な肌を見せつけるとノルンの表情がこわばった。困った顔をした真面目くんに近づくと、腰掛けていたノルンにまたがる。

「戦場で皆のために戦い続ける天使アンジェロはこんな誘い方してこなかっただろ?」

 首筋まで真っ赤になったノルン。カッチリと上までとめられたボタンを一つずつ外していく。細身の体だと思っていがさすが騎士様。しっかりとした筋肉が俺をお出迎えしてくれる。
 指先でそっと筋肉を押してみると、ふんわりと指を包み込んでくれる。

「筋肉ってあんまり硬くないんですね~」

 その言葉と刺激にノルンの体がピクリと反応し、ぎゅっと抱きしめられる。突然の抱擁に戸惑っていると、ノルンは真剣な眼差しで顔を寄せてくる。

「口付けをかわしてもよろしいですか?」

 キスの許可をねだるノルン。まさかのおねだりにドギマギしながらも、ペースをノルンに持っていかれるまいと余裕な顔をして首を縦にふる。
 ギラついた瞳が俺を見つめたまま唇が重なった。
 久しぶりのアンジェロの口を味わうようなキス。それだけで終わるのかと思ったら、ノルンの舌先が歯列をなぞり中に入れてくれと求めてくる。

 — —ガチのキスするのかよ……

 そう思いつつも、久しぶりのキスに興奮がおさまらない俺はアンジェロのこととか考えるのをやめて、目の前のご褒美をがっつくことにした。
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