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1章
失敗と課題
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魚を獲ってわかった事、私はとんだ甘ちゃんで、料理知らずの子供だったということ。
成果は五匹、手の平サイズが三匹に両手サイズが二匹。
魚を小屋に持ち帰ったけど、内臓を取る作業で手の平サイズの魚三匹はぐちゃっとスプラッタになった。
加減もよくわからなかったし、内臓ってどこからどこまでかもわからなかったのだ。
両手サイズは大きさの為に魚自体がしっかりしてたから、そこまで酷くはならなかったけど、やっぱり酷い物だった。
お腹に入れたナイフの切れ味に魚が負けて、お腹どころか頭までスライスしていた。
釜戸に薪を入れると、どういう原理なのか蓋を開けるとカチンと音がして火が付く。
火が付いたところで、お鍋に水を入れて魚を入れ込んだけど……調味料の類は無い事に、お湯でぐつぐつしてから気付いた。
結果……不味い魚味のお湯が出来た。
身はボロボロだし、小さな骨は喉に引っ掛かるし、食べれた物じゃなかった。
それでも頑張って食べたのは食料事情がヤバいからの一言に尽きる。
料理食べて、不味さで震える経験を始めてした、十三歳の夏だった。
「調味料が欲しいよぉ~」
インスタントラーメンすらも恋しい……というより、濃い味付けに飢えてしまった感じだった。
あと、一つ賢くなったのは、魚は川でその場でさばくこと。
家の中でやって、異臭に「おぇっ」となってバケツごと外に出した。
夏場は腐りやすくて嫌だよね……本当に、勘弁してほしい。
次の日、朝一番に内臓とかを川に捨てに行って、バケツを何度も川の水で洗ったのは言うまでもない。
「臭いよー! 石けんとか欲しいー!」
実は石けんが無い。
自分の体臭が実は凄く気になっている……一応、変な汗臭い匂いはしないと思うけど、不安はいっぱいだ。
毎日お風呂に入っているけど、拾った枝とかじゃ直ぐに火が燃え尽きるから、ほぼ水に毎日浸かっているけど、そろそろ真面目に薪割りとかしないと駄目かもしれない。
秋はギリギリまだいいだろうけど、冬になったら暖炉が無いと駄目だろうし、暖炉に使う薪も外に枝を拾いに行くなんて出来ないから、小屋に予備を準備すべきだろう。
冬は、ここら辺一帯に雪が降ったりなんかしたら、多分、魚釣りはおろか、果物も採りに行くことは不可能だろう。
食料の備蓄も考えなきゃいけない。
私が食べ散らかした空のガラス瓶に何か食べ物を備蓄していくしかない。
でも、私は料理は破壊的に駄目だと、今回の魚で思ったけど、生きていくには、慣れるしかない。
魚も上手に捌けなくてはいけないし、果物の長期保存もどうにかしなきゃいけない。
これが私の生きる上での課題になった。
何とか冬前にどうにかしないと、餓死か凍死の一直線コースだ。
ああ、それにしても今日はお腹がシクシク痛む……。
昨日の魚が駄目だったのだろうか? 何だか気分も駄々下がり気味なので小屋に帰り、トイレに入って、理由が分かった。
生理用品……どうするのコレ? 一瞬、スコーンと足元が無い様な気分になり、余計憂鬱になる。 この小屋のトイレの良いところは、紙が無くてもウォシュレットに乾燥が付いていることだったんだけど、今は紙が凄く欲しい。
トイレから一生出れない様な絶望感を味わい、下着は三枚しか持ってないからこれ以上は汚せないと、脱いでお風呂場で水で浸けおきして、寝室のシーツをハサミで切って縦長に四角に折りたたんで使った。
これも、これから私が生きていく上で、どうにかしなきゃいけない問題の一つになった。
下着も三枚なのは少し心もとないし、生理の度にシーツを切るのも大変だと思う。
使い捨てしたいけど、それは出来ないだろうから、洗いながら使うしかない。
私の家探しは再び始まり、寝室の本棚の上に目的の物を発見した。
裁縫具箱!! この小屋に来た時から、ほぼ手作り品だなって思っていたから、裁縫具箱がありそうな気はしていたんだけど、見つけ切れていなかった。
裁縫なんて小学校の家庭科でフエルトのお財布もどきを作って以来だけど、チクチクとシーツを長細い四角に縫っていった。
パンツも作ったけど、全然ダメだった。紐パンツをイメージしたんだけど、布を腰の両脇で結ぶだけではストンと足元に落ちて終わりだった。
試行錯誤の上、出来たのがシーツで作った長細い四角い生理用品に紐を付けて、それを輪にして、腰紐でさらに縛って落ちないようにした。
トイレに急ぐ時に腰紐を取ったりするのに手間取るから、まだ改良は必要だけど、当面はこれで大丈夫そうだ。
「昔の人ってどうやっていたんだろう……」
私はまさに今それが知りたい。
自分の頭で考えて失敗を繰り返すのは大変で、今日だけで針を何回指に刺したか……
便利な生活を失って初めてありがたみを知ったけど、でも、基本となる形は今まで使っていたりした物を思い出しながら似た様な物を作れるだけ、きっと、一から考えた昔の人よりマシなのかもしれない。
成果は五匹、手の平サイズが三匹に両手サイズが二匹。
魚を小屋に持ち帰ったけど、内臓を取る作業で手の平サイズの魚三匹はぐちゃっとスプラッタになった。
加減もよくわからなかったし、内臓ってどこからどこまでかもわからなかったのだ。
両手サイズは大きさの為に魚自体がしっかりしてたから、そこまで酷くはならなかったけど、やっぱり酷い物だった。
お腹に入れたナイフの切れ味に魚が負けて、お腹どころか頭までスライスしていた。
釜戸に薪を入れると、どういう原理なのか蓋を開けるとカチンと音がして火が付く。
火が付いたところで、お鍋に水を入れて魚を入れ込んだけど……調味料の類は無い事に、お湯でぐつぐつしてから気付いた。
結果……不味い魚味のお湯が出来た。
身はボロボロだし、小さな骨は喉に引っ掛かるし、食べれた物じゃなかった。
それでも頑張って食べたのは食料事情がヤバいからの一言に尽きる。
料理食べて、不味さで震える経験を始めてした、十三歳の夏だった。
「調味料が欲しいよぉ~」
インスタントラーメンすらも恋しい……というより、濃い味付けに飢えてしまった感じだった。
あと、一つ賢くなったのは、魚は川でその場でさばくこと。
家の中でやって、異臭に「おぇっ」となってバケツごと外に出した。
夏場は腐りやすくて嫌だよね……本当に、勘弁してほしい。
次の日、朝一番に内臓とかを川に捨てに行って、バケツを何度も川の水で洗ったのは言うまでもない。
「臭いよー! 石けんとか欲しいー!」
実は石けんが無い。
自分の体臭が実は凄く気になっている……一応、変な汗臭い匂いはしないと思うけど、不安はいっぱいだ。
毎日お風呂に入っているけど、拾った枝とかじゃ直ぐに火が燃え尽きるから、ほぼ水に毎日浸かっているけど、そろそろ真面目に薪割りとかしないと駄目かもしれない。
秋はギリギリまだいいだろうけど、冬になったら暖炉が無いと駄目だろうし、暖炉に使う薪も外に枝を拾いに行くなんて出来ないから、小屋に予備を準備すべきだろう。
冬は、ここら辺一帯に雪が降ったりなんかしたら、多分、魚釣りはおろか、果物も採りに行くことは不可能だろう。
食料の備蓄も考えなきゃいけない。
私が食べ散らかした空のガラス瓶に何か食べ物を備蓄していくしかない。
でも、私は料理は破壊的に駄目だと、今回の魚で思ったけど、生きていくには、慣れるしかない。
魚も上手に捌けなくてはいけないし、果物の長期保存もどうにかしなきゃいけない。
これが私の生きる上での課題になった。
何とか冬前にどうにかしないと、餓死か凍死の一直線コースだ。
ああ、それにしても今日はお腹がシクシク痛む……。
昨日の魚が駄目だったのだろうか? 何だか気分も駄々下がり気味なので小屋に帰り、トイレに入って、理由が分かった。
生理用品……どうするのコレ? 一瞬、スコーンと足元が無い様な気分になり、余計憂鬱になる。 この小屋のトイレの良いところは、紙が無くてもウォシュレットに乾燥が付いていることだったんだけど、今は紙が凄く欲しい。
トイレから一生出れない様な絶望感を味わい、下着は三枚しか持ってないからこれ以上は汚せないと、脱いでお風呂場で水で浸けおきして、寝室のシーツをハサミで切って縦長に四角に折りたたんで使った。
これも、これから私が生きていく上で、どうにかしなきゃいけない問題の一つになった。
下着も三枚なのは少し心もとないし、生理の度にシーツを切るのも大変だと思う。
使い捨てしたいけど、それは出来ないだろうから、洗いながら使うしかない。
私の家探しは再び始まり、寝室の本棚の上に目的の物を発見した。
裁縫具箱!! この小屋に来た時から、ほぼ手作り品だなって思っていたから、裁縫具箱がありそうな気はしていたんだけど、見つけ切れていなかった。
裁縫なんて小学校の家庭科でフエルトのお財布もどきを作って以来だけど、チクチクとシーツを長細い四角に縫っていった。
パンツも作ったけど、全然ダメだった。紐パンツをイメージしたんだけど、布を腰の両脇で結ぶだけではストンと足元に落ちて終わりだった。
試行錯誤の上、出来たのがシーツで作った長細い四角い生理用品に紐を付けて、それを輪にして、腰紐でさらに縛って落ちないようにした。
トイレに急ぐ時に腰紐を取ったりするのに手間取るから、まだ改良は必要だけど、当面はこれで大丈夫そうだ。
「昔の人ってどうやっていたんだろう……」
私はまさに今それが知りたい。
自分の頭で考えて失敗を繰り返すのは大変で、今日だけで針を何回指に刺したか……
便利な生活を失って初めてありがたみを知ったけど、でも、基本となる形は今まで使っていたりした物を思い出しながら似た様な物を作れるだけ、きっと、一から考えた昔の人よりマシなのかもしれない。
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