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1章
コショウ
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ジョッキン……と、手鏡片手にハサミを入れて前髪を切った。
前髪がうっとおしくて、いい加減限界だったから、眉の下ぐらいって思って……いたんだけど、前髪切り過ぎた……おでこパッツンだよっ!!
「うあぁぁ~……やっちゃった……」
美容室では霧吹きとかで髪を濡らしてくれて切っていたから、それに倣って水で濡らしてから切ったんだよね。
微妙にガタガタだったから、少し眉より上かなー? と、思って切り揃えていたら……髪が乾いたら見事なおでこパッツン状態。
これは夏休み明けとか、春休み明けとかに親が髪を切ってくれて失敗して、「あ……っ」てクラスメイトに言われちゃうヤツだよ!
でも、髪の毛伸びてきたんだよね。
流石に後ろ髪は自分じゃ切れないし、この前髪具合からして、後ろなんて切ろうものなら……悲惨な髪型になる。
「見る人も居ないから、いっか……ハハハ」
ちょっとブルーな気分で本日の行動開始である。
今日はリヤカーで鍋の回収と、木の実の採取に、蔓を集める事かな?
蔓は干物を干すのに使ったり、網籠を作るのに使ったりと、便利だから、いっぱい欲しい。
失敗しても釜戸の燃料になるだけだしね。
十月半ばを過ぎて、寒さは本格的になった。
服を何枚も重ね着して、風の冷たい中をデンちゃんと川に向かって歩いていく。
クローゼットの服は男物……うーん『まだ見ぬ君』さん実は男説が私の中に浮上中である。
もしかすると、凄く綺麗な男の人で紳士さんは女の人と見間違えていたりしたら、この恋の行方はどうなるのか!?
想像しては「続きは!?」「続報は!?」と頭の中で大騒ぎしてしまう。
まだ冬越えもしていないのに、春先が待ち遠しい。
デンちゃんと川でお鍋を回収してリヤカーに乗せ、リヤカーをその場に置いて網籠を手にデンちゃんとジャングルの中を散策する。
「枯葉ばっかりになっちゃったねー」
「アンッ!」
リュックサックの中の本で落ちている木の実を調べたり、キノコを調べたりしてデンちゃんに話し掛けつつ、歩き回りどんぐりみたいな木の実を見付けたんだけど、どんぐりって確か食べ過ぎるとお腹を壊すとか、毒だとか聞いた事あるんだよね……まぁバケツ一杯分は食べないとならないらしいけど、危険は回避したい。
それに食べ方も解らないし……クッキーに入れるとか漫画で見たけど、クッキーを作れる素材が小麦粉しかないから無理~。
ポーイッとどんぐりを捨てて、他にも無いかと探す。
「なんも無いねー」
「クウーン」
ほとんど、このジャングルの動物が冬ごもりの為に採っていった後なのかも?
皆生きているんだから仕方がない。こうした物は早い者勝ちだよね。
緑のジャングルも今は茜色から茶色へと変わって、落ち葉ばかり。
たまに枝を拾っては爪の間を枝で掃除する。
爪切りが無いからハサミで切ったりしてるけど、直ぐに爪の間に泥とか色々入り込んでしまって、手が汚いなぁっていつも思ってる。
ナイフで爪を切ろうとしたら薄皮まで切れて、指を落としたくないから、この問題に関してはずっと悩んでる。
昔の人は爪切りとかどうしてたんだろう?
爪切り欲しい~足の爪は特に切るの大変なんだよね。自分で片足を持って必死に切ってるけど、体が爪を切る為だけに、柔らかくなっている気がするよ。
蔓を集めながら、今日は収穫無いなぁと葉っぱも落ちて種だけが残っているしなだれた小さな木を見付けた。
種じゃ食べられないとその横を歩いた時に、カシュッと音がして靴で種を踏んづけたらしい。
「クシュックシュックシュ」
「え? デンちゃんどうしたの!?」
鼻を前脚でガシガシ擦り、デンちゃんがクシャミを連発して、私も鼻がムズムズして「ハックシュッ! ファックシュッ!」とクシャミを連発した。
この鼻をムズムズさせる感じは……もしや!?
落ちている黒い種を拾って匂いを嗅ぐと、コショウの香りが微かにする。
「コショウだーっ!!」
あんなに探しても見つからなかったのに!!
採れる時期が違ったからだろうか?
小さなブドウの様な房がしわしわになっていて、その中に黒く乾いた種のコショウがあるから見付からなかったのかもだけど。
私が嬉々として拾い集めると、デンちゃんは私から距離を取ってトボトボと周りをうろつく。
「デンちゃんごめんね。あと少しで集め終わるから」
「キューン……」
これで調味料が足らなくなったらどうしようとか考えなくて済む。
紳士さんがくれたコショウは加減が分からずに最初の頃、無駄に使いすぎて量が減ってたから、最近は少し使うのを躊躇してたから、ここで採取出来て良かったー。
コショウを拾い集めて、大事に持ち帰り、川まで戻ってリヤカーも回収して小屋に帰った。
網籠ではポロポロ落ちちゃうから、リュックサックに入れて持ち運んだので、少しだけコショウが潰れて、小屋に帰ってリュックサックを開けた時に、クシャミを連発したけど、コショウが手に入ったのだから、良しとしよう!
前髪がうっとおしくて、いい加減限界だったから、眉の下ぐらいって思って……いたんだけど、前髪切り過ぎた……おでこパッツンだよっ!!
「うあぁぁ~……やっちゃった……」
美容室では霧吹きとかで髪を濡らしてくれて切っていたから、それに倣って水で濡らしてから切ったんだよね。
微妙にガタガタだったから、少し眉より上かなー? と、思って切り揃えていたら……髪が乾いたら見事なおでこパッツン状態。
これは夏休み明けとか、春休み明けとかに親が髪を切ってくれて失敗して、「あ……っ」てクラスメイトに言われちゃうヤツだよ!
でも、髪の毛伸びてきたんだよね。
流石に後ろ髪は自分じゃ切れないし、この前髪具合からして、後ろなんて切ろうものなら……悲惨な髪型になる。
「見る人も居ないから、いっか……ハハハ」
ちょっとブルーな気分で本日の行動開始である。
今日はリヤカーで鍋の回収と、木の実の採取に、蔓を集める事かな?
蔓は干物を干すのに使ったり、網籠を作るのに使ったりと、便利だから、いっぱい欲しい。
失敗しても釜戸の燃料になるだけだしね。
十月半ばを過ぎて、寒さは本格的になった。
服を何枚も重ね着して、風の冷たい中をデンちゃんと川に向かって歩いていく。
クローゼットの服は男物……うーん『まだ見ぬ君』さん実は男説が私の中に浮上中である。
もしかすると、凄く綺麗な男の人で紳士さんは女の人と見間違えていたりしたら、この恋の行方はどうなるのか!?
想像しては「続きは!?」「続報は!?」と頭の中で大騒ぎしてしまう。
まだ冬越えもしていないのに、春先が待ち遠しい。
デンちゃんと川でお鍋を回収してリヤカーに乗せ、リヤカーをその場に置いて網籠を手にデンちゃんとジャングルの中を散策する。
「枯葉ばっかりになっちゃったねー」
「アンッ!」
リュックサックの中の本で落ちている木の実を調べたり、キノコを調べたりしてデンちゃんに話し掛けつつ、歩き回りどんぐりみたいな木の実を見付けたんだけど、どんぐりって確か食べ過ぎるとお腹を壊すとか、毒だとか聞いた事あるんだよね……まぁバケツ一杯分は食べないとならないらしいけど、危険は回避したい。
それに食べ方も解らないし……クッキーに入れるとか漫画で見たけど、クッキーを作れる素材が小麦粉しかないから無理~。
ポーイッとどんぐりを捨てて、他にも無いかと探す。
「なんも無いねー」
「クウーン」
ほとんど、このジャングルの動物が冬ごもりの為に採っていった後なのかも?
皆生きているんだから仕方がない。こうした物は早い者勝ちだよね。
緑のジャングルも今は茜色から茶色へと変わって、落ち葉ばかり。
たまに枝を拾っては爪の間を枝で掃除する。
爪切りが無いからハサミで切ったりしてるけど、直ぐに爪の間に泥とか色々入り込んでしまって、手が汚いなぁっていつも思ってる。
ナイフで爪を切ろうとしたら薄皮まで切れて、指を落としたくないから、この問題に関してはずっと悩んでる。
昔の人は爪切りとかどうしてたんだろう?
爪切り欲しい~足の爪は特に切るの大変なんだよね。自分で片足を持って必死に切ってるけど、体が爪を切る為だけに、柔らかくなっている気がするよ。
蔓を集めながら、今日は収穫無いなぁと葉っぱも落ちて種だけが残っているしなだれた小さな木を見付けた。
種じゃ食べられないとその横を歩いた時に、カシュッと音がして靴で種を踏んづけたらしい。
「クシュックシュックシュ」
「え? デンちゃんどうしたの!?」
鼻を前脚でガシガシ擦り、デンちゃんがクシャミを連発して、私も鼻がムズムズして「ハックシュッ! ファックシュッ!」とクシャミを連発した。
この鼻をムズムズさせる感じは……もしや!?
落ちている黒い種を拾って匂いを嗅ぐと、コショウの香りが微かにする。
「コショウだーっ!!」
あんなに探しても見つからなかったのに!!
採れる時期が違ったからだろうか?
小さなブドウの様な房がしわしわになっていて、その中に黒く乾いた種のコショウがあるから見付からなかったのかもだけど。
私が嬉々として拾い集めると、デンちゃんは私から距離を取ってトボトボと周りをうろつく。
「デンちゃんごめんね。あと少しで集め終わるから」
「キューン……」
これで調味料が足らなくなったらどうしようとか考えなくて済む。
紳士さんがくれたコショウは加減が分からずに最初の頃、無駄に使いすぎて量が減ってたから、最近は少し使うのを躊躇してたから、ここで採取出来て良かったー。
コショウを拾い集めて、大事に持ち帰り、川まで戻ってリヤカーも回収して小屋に帰った。
網籠ではポロポロ落ちちゃうから、リュックサックに入れて持ち運んだので、少しだけコショウが潰れて、小屋に帰ってリュックサックを開けた時に、クシャミを連発したけど、コショウが手に入ったのだから、良しとしよう!
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