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1章
ギリギリ
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昨日は夜遅くまで喋り通してしまい、若干寝不足だったものの、イクシオンと一緒に朝から畑に水を撒いて、デンちゃんとゲッちゃんを散歩に出して、後を追いながら川まで来た。
川に来た目的はモギア草の採取で、部隊の人達用とお屋敷の人達と、売る用。
モギア草は手の平サイズの小瓶の傷薬だけでも、お金が目玉が飛び出るお値段らしい。
市場に出回らない高級な薬草なので、値段の付けようがないのだとか……
摘まねば……摘まねば~っ!!
どうしてかは分からないけど、川の近くのモギア草は季節に関係なく生えていて、摘んでも摘んでもしつこく生えてくるから、私としては助かるけど、これでは市場の価格が暴落するのではないかな? と、若干不安なので、少しずつ調節しつつ売ってもらおう。
「うちの部下達が、リトに感謝していた。怪我もすっかり良くなった」
「うん。良くなってよかったよ。でも、まだ討伐とかあるんだから、いっぱい持って帰ってね」
「それは助かるが、金に変えなくて良いのか?」
「少しだけお金にするよ? その分はちゃんと取っておくし」
「しっかりしてるな」
「だって、イクスにお金借りたままだし、お小遣いでまた街でお買い物したいしね」
「気にしなくて良いのに」
「それはダーメ。お金目当てに見えるのは良くない」
それに折角、お金になる物が生えているのに、それを売らないのは勿体ない。
川にザブザブとスカートを太腿辺りまで上げて結んで、モギア草をブチブチ摘み採ると、イクシオンが顔を手で隠しながらあらぬ方向を向いている。
「どうしたの? イクス」
「……目のやり場に、困る……」
あー、そうなのかい? 別に太腿くらいで萌えたりはしないと思うんだけど?
でも、ドロワーズとかが標準下着の世界じゃ、スカートを上げてもドロワーズとか見えてるから、生足は見えないか、それを思えば、新鮮なのかな?
耳は下がって困ってるけど、尻尾が喜んでブンブン左右に振りまわってますぜ? お兄さんの尻尾は正直者だねぇ……と、心の中で冷やかしておく。
「イクスはデンちゃんが鳥を捕まえてきたら、蔓で足を縛れる様に、そこら辺で蔓でも引き抜いてきて」
「わかった」
「よろしくねー!」
流石に、イクシオンは紳士だと信じたいけど、自分の身は自分で守る為にも、早めに摘み採って川から上がろう。
古臭いかもしれないけど、私的に結婚するまでは清い関係でいきたいものなのだ。
それに、まだ十四歳だからね。
早い子なら、そういう大人な事しちゃうかもしれないけど、私には無理!
ギリギリ、キスまで! それ以上はキャパオーバー!
せめて十六歳とか、高校生になってからとか……うーん、それでもギリギリ。
だってね、保健体育で少し習ったり、マンガとかでもキスシーンとか、少しベッドシーンがあったりするけど、ガッツリ描いてあるようなマンガじゃないから、知識は乏しいんだよ~っ!
イクシオンみたいな格好いい系のお兄さんと、自分がどうこうって考えるのは、私の想像力では脳内でモザイクが掛かるから無理ぃ~っ!!
ブチブチとモギア草を顔を真っ赤にして摘みまわり、網籠をいっぱいにして川から出て、岩の上でスカートを元に戻して、ゴロンと横になる。
色々と脳内が暴走し過ぎた。
いかんいかん、これではエッチな子では無いか……思春期だけど、まだ早い、早いぞー。
しっかりして、私! 婚約者とか結婚(仮)状態だけど、まだ四年早い。うん。
顔を手で押さえて足をジタバタさせていると、イクシオンに「大丈夫か?」と声を掛けられた。
ええ、大丈夫ですよ。少しあなたの婚約者は、暴走し過ぎただけなんです。
「蔓とれた?」
「ああ、もうデンの獲ってきた鳥は首を落として血抜きしている」
「わぁ! 早いね?」
「リトが一人で百面相していて、声を掛けづらかったからな」
ぬわーっ!!
そういう時は、言わないでおくか、声を掛けて欲しい~っ!!
プルプル震える手でイクシオンの服を掴んで、「忘れてー!」と叫んで揺さぶって、大騒ぎしたのは言うまでもない。
イクシオンが鳥の解体は任せてくれていいというから、私はひたすらモギア草を石で叩きながら、粘り気を出してはガラスの瓶に詰めていく。
イクシオンがお肉を解体し終わって、帰り支度を始めると、私はモギア草の瓶を三本、イクシオンの持ってきた着替えの入ったカバンの中に瓶を入れておく。
「部隊の人と、お屋敷の人のと、予備だよ。討伐で何かあって、部下の人の分が足りなくなったら使ってね?」
「ああ。リトが売る分は良いのか?」
「それは今度、街に行く時にでも持って行くよ」
「わかった」
「イクス、帰るの気を付けて帰ってね?」
「ああ。何かあればこっちへ戻るか、薬草を塗って帰るさ。地図でオレが帰ったかはわかるだろうからな」
「うん。今度はいつぐらいに来れそう?」
「今回の討伐が終わったから、暫くは休みになるが、当分は報告書を出す事に追われるかな? その後は、夏の強化警護があるな」
「夏の強化警護?」
「夏場は獣人が体調を崩しやすい為に、他の国から狙われやすくなるから、その為に警備を強化しないといけないんだよ。デンも気を付けてやるといい。毛の長い獣は熱に弱いからな」
コクコクと頷いて、熱中症はワンコとか、最悪死んじゃったりするから気を付けなきゃいけない。
「イクスも気を付けてね?」
「ゼキキノコの飲み薬を貰ったから、何かあっても大事には至らないだろう」
「もっと持って行く? どうせ今年もいっぱい作るし」
「あれだけあれば十分だよ。リトに何かあった時用に持っていろ」
実は、ゼキキノコの飲み薬…・・・苦甘いから、生理痛以外では飲まないせいか、大量に瓶に残ってるんだよね……
でも、熱中症にも効くなら、デンちゃんが熱中症になったら飲ませよう。
イクシオンが私の頬にキスをして微笑んでから、獣騎に跨ると「次は夏の終わりぐらいに来るつもりだ。暇があれば地図で動いていたら、来たと思ってくれ」と、手を上げて帰っていく。
「気を付けて帰ってねー! 皆によろしくねー!」
イクシオンが見えなくなるまで見送って、キスされた頬に手を当てながら、耳まで真っ赤にして顔がにやけてしまったのは内緒。
もう、キスに慣れ始めてきたような? むず痒い様な心が躍るのは何なのか!?
川に来た目的はモギア草の採取で、部隊の人達用とお屋敷の人達と、売る用。
モギア草は手の平サイズの小瓶の傷薬だけでも、お金が目玉が飛び出るお値段らしい。
市場に出回らない高級な薬草なので、値段の付けようがないのだとか……
摘まねば……摘まねば~っ!!
どうしてかは分からないけど、川の近くのモギア草は季節に関係なく生えていて、摘んでも摘んでもしつこく生えてくるから、私としては助かるけど、これでは市場の価格が暴落するのではないかな? と、若干不安なので、少しずつ調節しつつ売ってもらおう。
「うちの部下達が、リトに感謝していた。怪我もすっかり良くなった」
「うん。良くなってよかったよ。でも、まだ討伐とかあるんだから、いっぱい持って帰ってね」
「それは助かるが、金に変えなくて良いのか?」
「少しだけお金にするよ? その分はちゃんと取っておくし」
「しっかりしてるな」
「だって、イクスにお金借りたままだし、お小遣いでまた街でお買い物したいしね」
「気にしなくて良いのに」
「それはダーメ。お金目当てに見えるのは良くない」
それに折角、お金になる物が生えているのに、それを売らないのは勿体ない。
川にザブザブとスカートを太腿辺りまで上げて結んで、モギア草をブチブチ摘み採ると、イクシオンが顔を手で隠しながらあらぬ方向を向いている。
「どうしたの? イクス」
「……目のやり場に、困る……」
あー、そうなのかい? 別に太腿くらいで萌えたりはしないと思うんだけど?
でも、ドロワーズとかが標準下着の世界じゃ、スカートを上げてもドロワーズとか見えてるから、生足は見えないか、それを思えば、新鮮なのかな?
耳は下がって困ってるけど、尻尾が喜んでブンブン左右に振りまわってますぜ? お兄さんの尻尾は正直者だねぇ……と、心の中で冷やかしておく。
「イクスはデンちゃんが鳥を捕まえてきたら、蔓で足を縛れる様に、そこら辺で蔓でも引き抜いてきて」
「わかった」
「よろしくねー!」
流石に、イクシオンは紳士だと信じたいけど、自分の身は自分で守る為にも、早めに摘み採って川から上がろう。
古臭いかもしれないけど、私的に結婚するまでは清い関係でいきたいものなのだ。
それに、まだ十四歳だからね。
早い子なら、そういう大人な事しちゃうかもしれないけど、私には無理!
ギリギリ、キスまで! それ以上はキャパオーバー!
せめて十六歳とか、高校生になってからとか……うーん、それでもギリギリ。
だってね、保健体育で少し習ったり、マンガとかでもキスシーンとか、少しベッドシーンがあったりするけど、ガッツリ描いてあるようなマンガじゃないから、知識は乏しいんだよ~っ!
イクシオンみたいな格好いい系のお兄さんと、自分がどうこうって考えるのは、私の想像力では脳内でモザイクが掛かるから無理ぃ~っ!!
ブチブチとモギア草を顔を真っ赤にして摘みまわり、網籠をいっぱいにして川から出て、岩の上でスカートを元に戻して、ゴロンと横になる。
色々と脳内が暴走し過ぎた。
いかんいかん、これではエッチな子では無いか……思春期だけど、まだ早い、早いぞー。
しっかりして、私! 婚約者とか結婚(仮)状態だけど、まだ四年早い。うん。
顔を手で押さえて足をジタバタさせていると、イクシオンに「大丈夫か?」と声を掛けられた。
ええ、大丈夫ですよ。少しあなたの婚約者は、暴走し過ぎただけなんです。
「蔓とれた?」
「ああ、もうデンの獲ってきた鳥は首を落として血抜きしている」
「わぁ! 早いね?」
「リトが一人で百面相していて、声を掛けづらかったからな」
ぬわーっ!!
そういう時は、言わないでおくか、声を掛けて欲しい~っ!!
プルプル震える手でイクシオンの服を掴んで、「忘れてー!」と叫んで揺さぶって、大騒ぎしたのは言うまでもない。
イクシオンが鳥の解体は任せてくれていいというから、私はひたすらモギア草を石で叩きながら、粘り気を出してはガラスの瓶に詰めていく。
イクシオンがお肉を解体し終わって、帰り支度を始めると、私はモギア草の瓶を三本、イクシオンの持ってきた着替えの入ったカバンの中に瓶を入れておく。
「部隊の人と、お屋敷の人のと、予備だよ。討伐で何かあって、部下の人の分が足りなくなったら使ってね?」
「ああ。リトが売る分は良いのか?」
「それは今度、街に行く時にでも持って行くよ」
「わかった」
「イクス、帰るの気を付けて帰ってね?」
「ああ。何かあればこっちへ戻るか、薬草を塗って帰るさ。地図でオレが帰ったかはわかるだろうからな」
「うん。今度はいつぐらいに来れそう?」
「今回の討伐が終わったから、暫くは休みになるが、当分は報告書を出す事に追われるかな? その後は、夏の強化警護があるな」
「夏の強化警護?」
「夏場は獣人が体調を崩しやすい為に、他の国から狙われやすくなるから、その為に警備を強化しないといけないんだよ。デンも気を付けてやるといい。毛の長い獣は熱に弱いからな」
コクコクと頷いて、熱中症はワンコとか、最悪死んじゃったりするから気を付けなきゃいけない。
「イクスも気を付けてね?」
「ゼキキノコの飲み薬を貰ったから、何かあっても大事には至らないだろう」
「もっと持って行く? どうせ今年もいっぱい作るし」
「あれだけあれば十分だよ。リトに何かあった時用に持っていろ」
実は、ゼキキノコの飲み薬…・・・苦甘いから、生理痛以外では飲まないせいか、大量に瓶に残ってるんだよね……
でも、熱中症にも効くなら、デンちゃんが熱中症になったら飲ませよう。
イクシオンが私の頬にキスをして微笑んでから、獣騎に跨ると「次は夏の終わりぐらいに来るつもりだ。暇があれば地図で動いていたら、来たと思ってくれ」と、手を上げて帰っていく。
「気を付けて帰ってねー! 皆によろしくねー!」
イクシオンが見えなくなるまで見送って、キスされた頬に手を当てながら、耳まで真っ赤にして顔がにやけてしまったのは内緒。
もう、キスに慣れ始めてきたような? むず痒い様な心が躍るのは何なのか!?
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