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二章 学園生活
悪役は代理当主
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両親が公爵家に戻ってくるまで半月も掛かった。
そんなに掛かってしまったのは、父も母もシグマの魔眼に関しては、生まれた時から分かっていたからだ。
しかし、俺は回復術師として公爵家の後継者にはなれない……という事から、シグマを後継者に育てるしかなかった。
シグマの魅了で気持ちと行動が、『シグマに全てを受け継がせる』と大きくなりすぎてしまい、俺を廃嫡にまで至ってしまったそうだ。
わずかに残った良心で学園を卒業してからの廃嫡になったわけではあるけど、シグマの事は王家にもバレてしまったし、俺の廃嫡の件は保留になってしまった。
「俺は別に、廃嫡されても良いんだけどな」
「わたしは、坊ちゃんに付き従うだけですので、どちらでも良いですが……」
頬杖をついて、書斎で深く溜め息をつく俺に、ルカリオンはいつも通りの笑顔でお茶を淹れてくれる。
父の書斎だった場所が、この半月で俺の場所になってしまったのだから、どれだけ父が仕事をしていなかったかが窺えるというものだろう。
しかも、シグマの魅了が解けた途端に擦り寄る両親に、俺は頭痛を覚えた。
「二人は領地の方へ着いたかな」
「おそらくは、今頃羽を伸ばしているのではないかと」
「はぁー……二人の尻拭いを、俺がしなきゃいけないのが、納得いかない」
「王命ですからねぇ。でも、坊ちゃんとこうして四六時中一緒にいられるので、わたしは文句はありません」
そうなのだ。
王命でドロッセル家の公爵代理当主は俺で、両親の静養が終わるまでは引き続き公爵家の仕事は、全部俺!
俺は学生なんですけど?
学園も休学。ようやく二葉ちゃんも学園で慣れてき始めて、これからだというのに……このままでは、俺は留年が確定してしまうのではないだろうか?
しかもあと半月もしないで夏休み休暇に突入してしまう。
「俺の、俺の夏休みがぁぁぁ」
「旦那様も奥様も、社交界での外聞を気にして、静養と言ってすぐさま首都を離れましたからね」
あの両親は、本当に自分たちの地位が危なくなると俺を人身御供にして、噂が納まるまでは田舎の領地から出てくる気は無いらしい。
社交界の噂を俺に押し付けるつもりなのも見え見えだ。
俺が今まで築き上げた回復術師としての慈善活動も、今回の事で相殺されるだろうし、逆を言えば、一気に叩き落しにくる貴族もいるだろう。
そんな社交界に俺は当主代理で参加するとか……地獄かな?
「引き籠りたい!」
ワッと泣くふりをして机に突っ伏せば、ルカリオンの大きくて優しい手が頭を撫でて慰めてくれる。
でも、今は慰めにもならない。
下手すれば、悪役令嬢フェルミナの社交界シーンが再現されてしまうかもしれないのだ。
俺は何もしていないのに、魔眼の身内というだけで恐れられるわけで、両親は逃走してしまっているし、悪い噂だけが渦巻いていそうだ。
「他の奴に公爵家を譲りたい……」
「そうなりますと、従兄弟のアシュレイ様が出張ってくると思います」
「それだけは嫌だ! あいつに継がせるぐらいなら、公爵家なんて潰れてしまえぇぇぇ!」
「ですよね。坊ちゃんは、子供の頃からアシュレイ様を毛嫌いしていらっしゃいましたしね」
アシュレイ・ガモット。
俺の従兄弟にして、騎士団に所属している奴である。
会った事は……実を言うと無いんだよな。
ゲーム内でドロッセル家を乗っ取って没落させる悪党というわけだけど、実物を見ていないから、アシュレイがどんな奴かはサッパリだ。
そんなアシュレイの天敵がヒルクスなんだけど、ヒルクスが騎士団長になった時にアシュレイと対峙して打ち負かすという文章があったのだ。
だから、俺は将来のためにも……と、ヒルクスに近付いたんだけど、今のところヒルクスの周りでアシュレイらしき人物を見たことは無い。
「さて、坊ちゃん。本日は夜会もありますし、執務は休まれてゆっくりして下さいね」
「夜会……行きたくない~っ」
「わたしも傍に控えていますから、大丈夫ですよ」
折角、学園で女子たちからの苛めを回避したのに、次は社交界で苛めを受けにいけとか、この世界は悪役に厳しい……
チュッとルカリオンがリップ音を立てておでこにキスをして、宥めてくる。
分かってる。早めに社交界でドロッセル家の噂を払しょくして両親を首都に戻さないと、俺はずっとここから逃げられない。
両手をルカリオンに広げて抱きしめてもらい、スリスリと頬擦りをする。
「甘えん坊ですね」
「やる気と英気を養ってんの」
「存分に甘えて、元気を出して下さいね」
億劫だけど、こうしてルカリオンは甘えさせてくれるし、公爵家の使用人達も両親が不在で俺に良くしてくれるから、嫌な環境ではないのが救いというところだ。
でも、社交界に顔を出すのは勘弁して欲しい。
そんなに掛かってしまったのは、父も母もシグマの魔眼に関しては、生まれた時から分かっていたからだ。
しかし、俺は回復術師として公爵家の後継者にはなれない……という事から、シグマを後継者に育てるしかなかった。
シグマの魅了で気持ちと行動が、『シグマに全てを受け継がせる』と大きくなりすぎてしまい、俺を廃嫡にまで至ってしまったそうだ。
わずかに残った良心で学園を卒業してからの廃嫡になったわけではあるけど、シグマの事は王家にもバレてしまったし、俺の廃嫡の件は保留になってしまった。
「俺は別に、廃嫡されても良いんだけどな」
「わたしは、坊ちゃんに付き従うだけですので、どちらでも良いですが……」
頬杖をついて、書斎で深く溜め息をつく俺に、ルカリオンはいつも通りの笑顔でお茶を淹れてくれる。
父の書斎だった場所が、この半月で俺の場所になってしまったのだから、どれだけ父が仕事をしていなかったかが窺えるというものだろう。
しかも、シグマの魅了が解けた途端に擦り寄る両親に、俺は頭痛を覚えた。
「二人は領地の方へ着いたかな」
「おそらくは、今頃羽を伸ばしているのではないかと」
「はぁー……二人の尻拭いを、俺がしなきゃいけないのが、納得いかない」
「王命ですからねぇ。でも、坊ちゃんとこうして四六時中一緒にいられるので、わたしは文句はありません」
そうなのだ。
王命でドロッセル家の公爵代理当主は俺で、両親の静養が終わるまでは引き続き公爵家の仕事は、全部俺!
俺は学生なんですけど?
学園も休学。ようやく二葉ちゃんも学園で慣れてき始めて、これからだというのに……このままでは、俺は留年が確定してしまうのではないだろうか?
しかもあと半月もしないで夏休み休暇に突入してしまう。
「俺の、俺の夏休みがぁぁぁ」
「旦那様も奥様も、社交界での外聞を気にして、静養と言ってすぐさま首都を離れましたからね」
あの両親は、本当に自分たちの地位が危なくなると俺を人身御供にして、噂が納まるまでは田舎の領地から出てくる気は無いらしい。
社交界の噂を俺に押し付けるつもりなのも見え見えだ。
俺が今まで築き上げた回復術師としての慈善活動も、今回の事で相殺されるだろうし、逆を言えば、一気に叩き落しにくる貴族もいるだろう。
そんな社交界に俺は当主代理で参加するとか……地獄かな?
「引き籠りたい!」
ワッと泣くふりをして机に突っ伏せば、ルカリオンの大きくて優しい手が頭を撫でて慰めてくれる。
でも、今は慰めにもならない。
下手すれば、悪役令嬢フェルミナの社交界シーンが再現されてしまうかもしれないのだ。
俺は何もしていないのに、魔眼の身内というだけで恐れられるわけで、両親は逃走してしまっているし、悪い噂だけが渦巻いていそうだ。
「他の奴に公爵家を譲りたい……」
「そうなりますと、従兄弟のアシュレイ様が出張ってくると思います」
「それだけは嫌だ! あいつに継がせるぐらいなら、公爵家なんて潰れてしまえぇぇぇ!」
「ですよね。坊ちゃんは、子供の頃からアシュレイ様を毛嫌いしていらっしゃいましたしね」
アシュレイ・ガモット。
俺の従兄弟にして、騎士団に所属している奴である。
会った事は……実を言うと無いんだよな。
ゲーム内でドロッセル家を乗っ取って没落させる悪党というわけだけど、実物を見ていないから、アシュレイがどんな奴かはサッパリだ。
そんなアシュレイの天敵がヒルクスなんだけど、ヒルクスが騎士団長になった時にアシュレイと対峙して打ち負かすという文章があったのだ。
だから、俺は将来のためにも……と、ヒルクスに近付いたんだけど、今のところヒルクスの周りでアシュレイらしき人物を見たことは無い。
「さて、坊ちゃん。本日は夜会もありますし、執務は休まれてゆっくりして下さいね」
「夜会……行きたくない~っ」
「わたしも傍に控えていますから、大丈夫ですよ」
折角、学園で女子たちからの苛めを回避したのに、次は社交界で苛めを受けにいけとか、この世界は悪役に厳しい……
チュッとルカリオンがリップ音を立てておでこにキスをして、宥めてくる。
分かってる。早めに社交界でドロッセル家の噂を払しょくして両親を首都に戻さないと、俺はずっとここから逃げられない。
両手をルカリオンに広げて抱きしめてもらい、スリスリと頬擦りをする。
「甘えん坊ですね」
「やる気と英気を養ってんの」
「存分に甘えて、元気を出して下さいね」
億劫だけど、こうしてルカリオンは甘えさせてくれるし、公爵家の使用人達も両親が不在で俺に良くしてくれるから、嫌な環境ではないのが救いというところだ。
でも、社交界に顔を出すのは勘弁して欲しい。
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