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4章
追いかけっこ
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「あのオッサン・・・本当に何なんだ・・・」
ゼィゼィと息を弾ませながらハガネが床に突っ伏す。
「はぁ、んっ。疲れちゃった・・・はぁ」
朱里も床に膝をついて息を弾ませて額の汗を手の甲で拭っていると、また頭にリボンが結び付けられる。
2人が休むたびに、ギルが近寄ってきていつの間にか頭にリボンを付けて去っていく。
ハガネに至っては、尻尾も背中の毛にもリボンが付けられている。
「くっそー!オッサンもう降参だ!降参!」
ハガネが叫びながら朱里の体力消耗の酷さに降参を叫ぶ。
訳の分からない追いかけっこに貧弱な朱里の体が悲鳴を上げているうえに、首の鎖も重くなる一方で体力を奪うというオマケ付きが朱里を弱らせているのは確実で下手をすれば寝込んでしまいかねない。
「誰がオッサンだい?まったく、降参はまだ早いよ」
ペシンとハガネの頭を叩いた後に朱里の頬にキスをしてギルが楽しそうに歩いていく。
「アカリ、何か作戦は無いか?」
「作戦って言っても・・・私、体力もうない・・・はぁ、ふぅ」
ハガネが足をバタバタさせながらジャンプをし、朱里が足を引きずりながら立ち上がる。
「アカリ、あんまり無理するなよ。ったく、とりあえず少し休むぞ」
ギルの入っていった部屋に入り、しばらく休憩を入れようと足を踏み入れると、そこは小さな子供の部屋と思わしき家具や木細工の玩具がある部屋だった。
小さな子供用ベッドに玩具の剣やボールが置いてある。
「男の子の部屋みたいだね」
ギシッと音をさせてベッドに腰を掛けて朱里が部屋を見渡す。
「多分、若旦那の子供の頃の部屋じゃねぇかな?ニオイが若旦那っぽい」
鼻をヒクヒクさせながらハガネが部屋の物をニオイを嗅いでいく。
「そうですよ。ルーファスの部屋です。はい。これ飲んで」
ギルが朱里の手に冷えたコップを手渡して「今回は何も入れてないよ。仕掛けもなし」と笑って薄い黄色い液体を注いでいく。
ハガネがギルに飛び掛かるが足でぷぎゅるっと踏みつけられてしまう。
ジタバタするハガネの背中にリボンを結んでギルがクスクス笑っている。
追いかけっこで疲れ切って喉が渇いていた朱里がコップの中身を見ながら喉を鳴らす。
「大丈夫。もし嘘だったら君達の勝ちでいいから」
小さく口をつけて朱里が飲むと疲れた体にほわっと疲労が抜けていく感覚があった。
残りをハガネに差し出すと朱里に「騙された後になんでも口にするんじゃない!」と怒りながら口をつける。
「疲労回復の薬草エキスをハーブ水で飲みやすくしたからいい飲み心地でしょう?ルーファスって、昔すごく貧弱な子供でね空気の良いこの土地で静養してたんですよ。よく遊んだ後にコレを飲ませてあげたものです」
懐かしそうに目を細めてギルが笑いながら朱里の耳に少し触れるだけの様なキスをして部屋から出ていく。
「ルーファス小さい頃は体弱かったんだね」
「いや、きっとあのオッサン基準で貧弱設定されてるだけだろ?」
「ギルさん身のこなしすごいよね」
「あのオッサン基準で考えたらアカリは瀕死だけどな」
「ううっ・・・面目ないです」
2人は再び部屋から廊下に出ると、ギルが別の部屋の前で手招きしながら入っていく。
次に入った部屋は本ばかりの部屋だった。
本ばかりの部屋に床にそのまま柔らかい寝床と小さな手作りの本が大量に散らばっている。その手作りの本には押し花がいっぱい入っていて日付と場所が事細かに書かれていて作った人物の几帳面さがうかがえる。
壁には小さなアルビーと黒髪三角耳の少年が笑顔で描かれた絵が何枚も飾ってある。
「これはもしかしてルーファスかな?」
「だろうな。多分ここはアルビーの部屋だろうな」
本を1冊手に取ってみれば難しい本ばかりで思わず朱里が首をかしげると、かしげた首の方向からギルに頭の旋毛にキスをされる。
「アルビーはああ見えて読書家でね、難しい本ばかり読んでる子なんだよ。おかげで最近は子供らしさがスッカリ抜けて私としては寂しいばかりです」
「そうですか?すごく甘えん坊で子供っぽいですよ?ねっ、ハガネ」
「ああ、悪ガキって感じだな」
ギルが朱里の手を握り顔を近づける。
「本当かい?あの子が普通の子供の様に過ごしていると?」
「ええ。初対面の時は大人びた口調でしたけど、一緒に居るうちに年齢相応より少し子供みたいな口調と態度になりましたよ?」
感動したように顔を綻ばせて喜ぶギルに朱里が困った顔で笑っていると、ハガネが気配を隠してギルに飛びつく。
ガシッとハガネがギルの足にしがみつき、朱里に目配せする。
「あっ、ギルさん捕まえました!!!」
「あ・・・しまった」
ギルが少し驚いた顔をした後に破顔して笑顔で「参ったなぁ。負けてしまった」と言い、朱里とハガネの首の鎖を指を鳴らして消し去った。
「私はアルビーの事となると周りが見えなくなるのが駄目な所だね。でもそろそろアルビーとルーファスも来る頃だろうから丁度良かったかな」
ギルの言葉通り、屋敷にルーファスとアルビーの声が響き渡った。
ゼィゼィと息を弾ませながらハガネが床に突っ伏す。
「はぁ、んっ。疲れちゃった・・・はぁ」
朱里も床に膝をついて息を弾ませて額の汗を手の甲で拭っていると、また頭にリボンが結び付けられる。
2人が休むたびに、ギルが近寄ってきていつの間にか頭にリボンを付けて去っていく。
ハガネに至っては、尻尾も背中の毛にもリボンが付けられている。
「くっそー!オッサンもう降参だ!降参!」
ハガネが叫びながら朱里の体力消耗の酷さに降参を叫ぶ。
訳の分からない追いかけっこに貧弱な朱里の体が悲鳴を上げているうえに、首の鎖も重くなる一方で体力を奪うというオマケ付きが朱里を弱らせているのは確実で下手をすれば寝込んでしまいかねない。
「誰がオッサンだい?まったく、降参はまだ早いよ」
ペシンとハガネの頭を叩いた後に朱里の頬にキスをしてギルが楽しそうに歩いていく。
「アカリ、何か作戦は無いか?」
「作戦って言っても・・・私、体力もうない・・・はぁ、ふぅ」
ハガネが足をバタバタさせながらジャンプをし、朱里が足を引きずりながら立ち上がる。
「アカリ、あんまり無理するなよ。ったく、とりあえず少し休むぞ」
ギルの入っていった部屋に入り、しばらく休憩を入れようと足を踏み入れると、そこは小さな子供の部屋と思わしき家具や木細工の玩具がある部屋だった。
小さな子供用ベッドに玩具の剣やボールが置いてある。
「男の子の部屋みたいだね」
ギシッと音をさせてベッドに腰を掛けて朱里が部屋を見渡す。
「多分、若旦那の子供の頃の部屋じゃねぇかな?ニオイが若旦那っぽい」
鼻をヒクヒクさせながらハガネが部屋の物をニオイを嗅いでいく。
「そうですよ。ルーファスの部屋です。はい。これ飲んで」
ギルが朱里の手に冷えたコップを手渡して「今回は何も入れてないよ。仕掛けもなし」と笑って薄い黄色い液体を注いでいく。
ハガネがギルに飛び掛かるが足でぷぎゅるっと踏みつけられてしまう。
ジタバタするハガネの背中にリボンを結んでギルがクスクス笑っている。
追いかけっこで疲れ切って喉が渇いていた朱里がコップの中身を見ながら喉を鳴らす。
「大丈夫。もし嘘だったら君達の勝ちでいいから」
小さく口をつけて朱里が飲むと疲れた体にほわっと疲労が抜けていく感覚があった。
残りをハガネに差し出すと朱里に「騙された後になんでも口にするんじゃない!」と怒りながら口をつける。
「疲労回復の薬草エキスをハーブ水で飲みやすくしたからいい飲み心地でしょう?ルーファスって、昔すごく貧弱な子供でね空気の良いこの土地で静養してたんですよ。よく遊んだ後にコレを飲ませてあげたものです」
懐かしそうに目を細めてギルが笑いながら朱里の耳に少し触れるだけの様なキスをして部屋から出ていく。
「ルーファス小さい頃は体弱かったんだね」
「いや、きっとあのオッサン基準で貧弱設定されてるだけだろ?」
「ギルさん身のこなしすごいよね」
「あのオッサン基準で考えたらアカリは瀕死だけどな」
「ううっ・・・面目ないです」
2人は再び部屋から廊下に出ると、ギルが別の部屋の前で手招きしながら入っていく。
次に入った部屋は本ばかりの部屋だった。
本ばかりの部屋に床にそのまま柔らかい寝床と小さな手作りの本が大量に散らばっている。その手作りの本には押し花がいっぱい入っていて日付と場所が事細かに書かれていて作った人物の几帳面さがうかがえる。
壁には小さなアルビーと黒髪三角耳の少年が笑顔で描かれた絵が何枚も飾ってある。
「これはもしかしてルーファスかな?」
「だろうな。多分ここはアルビーの部屋だろうな」
本を1冊手に取ってみれば難しい本ばかりで思わず朱里が首をかしげると、かしげた首の方向からギルに頭の旋毛にキスをされる。
「アルビーはああ見えて読書家でね、難しい本ばかり読んでる子なんだよ。おかげで最近は子供らしさがスッカリ抜けて私としては寂しいばかりです」
「そうですか?すごく甘えん坊で子供っぽいですよ?ねっ、ハガネ」
「ああ、悪ガキって感じだな」
ギルが朱里の手を握り顔を近づける。
「本当かい?あの子が普通の子供の様に過ごしていると?」
「ええ。初対面の時は大人びた口調でしたけど、一緒に居るうちに年齢相応より少し子供みたいな口調と態度になりましたよ?」
感動したように顔を綻ばせて喜ぶギルに朱里が困った顔で笑っていると、ハガネが気配を隠してギルに飛びつく。
ガシッとハガネがギルの足にしがみつき、朱里に目配せする。
「あっ、ギルさん捕まえました!!!」
「あ・・・しまった」
ギルが少し驚いた顔をした後に破顔して笑顔で「参ったなぁ。負けてしまった」と言い、朱里とハガネの首の鎖を指を鳴らして消し去った。
「私はアルビーの事となると周りが見えなくなるのが駄目な所だね。でもそろそろアルビーとルーファスも来る頃だろうから丁度良かったかな」
ギルの言葉通り、屋敷にルーファスとアルビーの声が響き渡った。
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