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6章
冬の堕とし札
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久しぶりの着物の着付けは着付け専門の人が来てくれて、化粧から髪結いまでビシッと施してくれました。
帯がギュッとされていると身も引き締まるものです。
「さて、アカリ準備が出来たなら『堕とし札』の作業に行こうか」
「はい。頑張りましょう」
『堕とし札』・・・とは、1年間家の中に変な精霊が住み着かないようにするお札の事で家の柱の要所要所に張られていて、家の家主が魔力を通して張り付けている物で、剥がす時も家の家主の魔力がいるのです。
剥がしたら、新しい物に張り替えるのですが、この時に家主の他の家族が札を手渡してあげると効果が増すのだとか。私はそのお手伝いの為に一緒に付いて回ります。
【刻狼亭】の料亭と旅館を回らないといけないので結構な大仕事みたいです。
キチンとした行事なのでちゃんとした格好で行います。
シャリンと耳飾りが鳴って、ルーファスがその音に耳を動かして目を細めて笑い、手を引かれて部屋を出ると、いつもよりビシッと着こなした従業員さん達が黒塗りの大きな箱を2箱用意して待ち構えていました。
『札』と『空』と書かれていて、『札』の方に入っているのが今日のノルマ分で、『空』は古い札を回収する箱です。
大きさは、私1人くらいは入れそうな大きさの箱です。
この箱の中身全部が札・・・。
今日中に終わるのかしら?
ギルさんが逃げ出したわけが少し判った気がします・・・。
ルーファスを見上げると気を引き締めた表情をしていたので、これは私もやる前から数の多さに尻込みしている場合では無い。
旅館の『月光の間』が最上階なので、ここからの階からのスタートで、1階のロビーまで行くと、次は料亭の方になるわけです。
まずは端っこの柱に梯子を立てかけてルーファスが上り、従業員さんが持っている箱から私が札を取り、ルーファスに渡して、ルーファスが魔力を込めて古い方の札を剥がし、新しい物を張り付ける。
古い札は、ルーファスが梯子から降りて『空』の箱へ入れる。
これを1つのフロアで36回、9階あるので324回+調理場とか細々したところを含めたらもう少しありそうです。
9階の最上階を無事に終わらせて8階へ行き、同じことをしていると、見上げた柱の上の札に変な物が捕まってました。
灰色の足のずんぐりした小さな象ともサイとも言えない物がジタバタしてます。
「ルーファス、札に変なのが付いてますね」
「ん?何もないが・・・まさか・・・っ!誰か精霊が見れる奴は居るか?」
ルーファスが従業員さんを見ると、1人手を上げて前へ出る。
従業員さんが柱を見上げて、頷くと、ルーファスが札に結界を張り結界ごと札を取ると新しい小さな箱に入れて結界を解く。
「ルーファス、それは何なのですか?」
「オレには見えないが、精霊だ」
「若女将、この精霊は岩の精霊のなりそこないです。こうしたなりそこないの精霊は悪い物になるので、ちゃんと祓わないといけないんですよ」
精霊の見える従業員さんが説明をしてくれて、他の従業員さん達もホッと息をついていた。
そんなに危ない物なんだろうか?
「精霊は10年に1回引っ掛かってるかどうかだから油断していた。アカリが気付いてくれて助かった」
「祓ったら精霊は死んじゃうの?」
「いや、精霊は祓って、ちゃんとした精霊に生まれ還らせてあげないと精霊自体も苦しむから、気付かずに札を精霊ごと回収して燃やさなくて良かったよ。気付かずに燃やしたらこちらが恨みを買う事になるからな」
意外と厄介な物だった様です。
油断大敵というやつですね?
「アカリのおかげで精霊が1匹救われるから、来年は精霊がお礼をしてくれるぞ」
「そうなの?良かったです」
お役に立てたようだけど、でも、空箱に入れられた精霊のなりそこないの子も可哀想な気もする。
救われる・・・んだろうか?
折角、生まれて来たのに払われて、また生まれるのは良い事なのかな?
小さく両手を合わせて「次に生まれ変わる時はちゃんとした精霊だから安心するんだよ」と箱の精霊に言うと、精霊が小さく光って消えてしまった。
「る、ルーファス!精霊消えちゃった!!」
「そうなのか・・・精霊は消えているか?」
ルーファスが精霊の見える従業員の人へ聞けば、従業員の人は頷いて「祓われてます」と、にこりと笑って告げた。
「アカリは精霊と相性が良いのかもしれないな」
「よく分かりませんが、あの子が無事に生まれ変わるならいいですね」
ルーファスが私を抱き上げると「アカリがオレの番で良かった」と、嬉しそうに笑って軽く唇を押し当てて、少しだけルーファスの唇に私の口紅が付いて、指摘すると「朱色は魔を祓うから丁度いい」と、そう言ってそのまま『堕とし札』を再開させて、結局、8階の1枚だけ精霊がついていただけで、他の所では見当たらないまま終了しました。
ちなみに、朝開始して、終わったのは夜でした!
ほとんどついて歩くだけだったけど、途中でルーファスが魔力回復ポーションを飲んでいたので魔力消費はそれなりにあったみたいです。
来年、精霊のお礼が何なのか今から楽しみです。
あ、そうそう。
私が精霊が見えたのは、ハガネの元主君のサアユさんが精霊族だった事で、今、主君の私はその加護がハガネと共有状態になっているらしくて、見えたというわけです。
つまりはハガネのおかげという感じです。
祓えたのは相性が良いみたいです。
帯がギュッとされていると身も引き締まるものです。
「さて、アカリ準備が出来たなら『堕とし札』の作業に行こうか」
「はい。頑張りましょう」
『堕とし札』・・・とは、1年間家の中に変な精霊が住み着かないようにするお札の事で家の柱の要所要所に張られていて、家の家主が魔力を通して張り付けている物で、剥がす時も家の家主の魔力がいるのです。
剥がしたら、新しい物に張り替えるのですが、この時に家主の他の家族が札を手渡してあげると効果が増すのだとか。私はそのお手伝いの為に一緒に付いて回ります。
【刻狼亭】の料亭と旅館を回らないといけないので結構な大仕事みたいです。
キチンとした行事なのでちゃんとした格好で行います。
シャリンと耳飾りが鳴って、ルーファスがその音に耳を動かして目を細めて笑い、手を引かれて部屋を出ると、いつもよりビシッと着こなした従業員さん達が黒塗りの大きな箱を2箱用意して待ち構えていました。
『札』と『空』と書かれていて、『札』の方に入っているのが今日のノルマ分で、『空』は古い札を回収する箱です。
大きさは、私1人くらいは入れそうな大きさの箱です。
この箱の中身全部が札・・・。
今日中に終わるのかしら?
ギルさんが逃げ出したわけが少し判った気がします・・・。
ルーファスを見上げると気を引き締めた表情をしていたので、これは私もやる前から数の多さに尻込みしている場合では無い。
旅館の『月光の間』が最上階なので、ここからの階からのスタートで、1階のロビーまで行くと、次は料亭の方になるわけです。
まずは端っこの柱に梯子を立てかけてルーファスが上り、従業員さんが持っている箱から私が札を取り、ルーファスに渡して、ルーファスが魔力を込めて古い方の札を剥がし、新しい物を張り付ける。
古い札は、ルーファスが梯子から降りて『空』の箱へ入れる。
これを1つのフロアで36回、9階あるので324回+調理場とか細々したところを含めたらもう少しありそうです。
9階の最上階を無事に終わらせて8階へ行き、同じことをしていると、見上げた柱の上の札に変な物が捕まってました。
灰色の足のずんぐりした小さな象ともサイとも言えない物がジタバタしてます。
「ルーファス、札に変なのが付いてますね」
「ん?何もないが・・・まさか・・・っ!誰か精霊が見れる奴は居るか?」
ルーファスが従業員さんを見ると、1人手を上げて前へ出る。
従業員さんが柱を見上げて、頷くと、ルーファスが札に結界を張り結界ごと札を取ると新しい小さな箱に入れて結界を解く。
「ルーファス、それは何なのですか?」
「オレには見えないが、精霊だ」
「若女将、この精霊は岩の精霊のなりそこないです。こうしたなりそこないの精霊は悪い物になるので、ちゃんと祓わないといけないんですよ」
精霊の見える従業員さんが説明をしてくれて、他の従業員さん達もホッと息をついていた。
そんなに危ない物なんだろうか?
「精霊は10年に1回引っ掛かってるかどうかだから油断していた。アカリが気付いてくれて助かった」
「祓ったら精霊は死んじゃうの?」
「いや、精霊は祓って、ちゃんとした精霊に生まれ還らせてあげないと精霊自体も苦しむから、気付かずに札を精霊ごと回収して燃やさなくて良かったよ。気付かずに燃やしたらこちらが恨みを買う事になるからな」
意外と厄介な物だった様です。
油断大敵というやつですね?
「アカリのおかげで精霊が1匹救われるから、来年は精霊がお礼をしてくれるぞ」
「そうなの?良かったです」
お役に立てたようだけど、でも、空箱に入れられた精霊のなりそこないの子も可哀想な気もする。
救われる・・・んだろうか?
折角、生まれて来たのに払われて、また生まれるのは良い事なのかな?
小さく両手を合わせて「次に生まれ変わる時はちゃんとした精霊だから安心するんだよ」と箱の精霊に言うと、精霊が小さく光って消えてしまった。
「る、ルーファス!精霊消えちゃった!!」
「そうなのか・・・精霊は消えているか?」
ルーファスが精霊の見える従業員の人へ聞けば、従業員の人は頷いて「祓われてます」と、にこりと笑って告げた。
「アカリは精霊と相性が良いのかもしれないな」
「よく分かりませんが、あの子が無事に生まれ変わるならいいですね」
ルーファスが私を抱き上げると「アカリがオレの番で良かった」と、嬉しそうに笑って軽く唇を押し当てて、少しだけルーファスの唇に私の口紅が付いて、指摘すると「朱色は魔を祓うから丁度いい」と、そう言ってそのまま『堕とし札』を再開させて、結局、8階の1枚だけ精霊がついていただけで、他の所では見当たらないまま終了しました。
ちなみに、朝開始して、終わったのは夜でした!
ほとんどついて歩くだけだったけど、途中でルーファスが魔力回復ポーションを飲んでいたので魔力消費はそれなりにあったみたいです。
来年、精霊のお礼が何なのか今から楽しみです。
あ、そうそう。
私が精霊が見えたのは、ハガネの元主君のサアユさんが精霊族だった事で、今、主君の私はその加護がハガネと共有状態になっているらしくて、見えたというわけです。
つまりはハガネのおかげという感じです。
祓えたのは相性が良いみたいです。
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