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7章
両親
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温泉大陸が一望できる花畑がある丘に温泉大陸の埋葬地がある。
白いワンピースを着た少し目立ち始めたお腹をした朱里が花束を持ち、大きめの黒大理石で出来た墓をルーファスが掃除して綺麗にすると、朱里の手から花束を受け取り、墓に供える。
【シャロン・トリニア】
【ルーディニアス・トリニア】
ルーファスの母親と父親が眠る墓。
死んだ妻の墓に一緒に埋葬してほしいという最期の願いを叶えた為に2人の墓は一緒だ。
子供が出来たことを報告にきたものの、ルーファスの心情は複雑なものだった。
墓の前でルーファスが黙祷するものの、両親に思うことは少ない。
生まれてすぐに亡くなった母親に、泣き暮らしていたような父親で当主として忙しかったのもあり、子供のルーファスを構ってくれた記憶はない。
ルーファスはギルと刻狼亭の従業員が愛情をかけて育てた様なもので、親というものがルーファスにはどこか遠い存在でしかない。
それでも朱里を連れて墓に報告に来たのは願掛けの様なものだ。
「ルーファス、私もご挨拶しても良い?」
「ああ。母上に父上、オレの番のアカリだ」
ルーファスが朱里に優しい目で笑い、引き寄せて墓の前で朱里を紹介する。
「初めまして、お義母様、お義父様。朱里です」
「今日は2人に子供が出来た事を報告にきた」
「夏頃にお2人の孫が誕生しますよ」
「【刻狼亭】の16代目だ。跡取りが出来たぞ」
朱里のお腹に手を当てながらルーファスが、朱里も子供も失いたくないと強く思う。
自分の母親の様に朱里が出産で命を失ってしまえば、自分は父親の様に泣き暮らして心身が弱り死んでいく気がする。
かと言って、子供を諦める事も出来ない。
だからこそ、自分を1人残した両親に息子としてお願いにきたのだ。
俺を1人にしたのだから、親なら子供の為を思って息子の嫁と子供を出産で無事に済むように力を貸してほしい。と、神頼みの様な事を両親に願いに来たのは、今まで願ったことのない人達にだからこそ、自分の願いを託すのにそこらの神に祈るより、自分の気持ちを汲んでくれるのは両親な気がしたからだった。
「ねぇ、ルーファス。16代目って女の子でもなれるの?」
「うちは代々長子が継いでいるからな。女でも当主になれる」
「なら跡取りが男じゃないと!って言われたりはしないんだね」
「そうだな。まぁ、アカリ似の女の子だとオレは客前には出したくないが・・・」
「恋人なんて連れてきたら怒り狂いそうだね」
「そんな奴は温泉街に入る前に消し去る」
「怖いお父さんだ」
朱里がくすくす笑いながら、お腹に話しかける。
産医にもお腹に話しかけると良いと言われて朱里が色々話している。
「ルーファスは過保護なお父さんになりそうだね」
「どうだろうな?オレは父上に構って貰った記憶が無いからどう接していいか分からない」
「私に接するみたいにすればいいんだよ」
「アカリは特別だからな」
「子供も特別だよ。だって私とルーファスの子供なんだから特別でしょ?」
「そう、だな。オレは父上の様にならないように気を付ける」
「気を付けなくても大丈夫。ルーファスはルーファスらしければ良いんだから」
オレの番は女神か何かだろうか?と、ルーファスが思いながら抱き上げたいが、いきなり抱き上げたり持ち上げたりは駄目だと怒られたために手をさ迷わせて、結局抱きしめるだけになった。
「ルーファス、私も新米ですが、しっかり親として勉強するのでルーファスも一緒に親になっていこうね」
「ああ。アカリが居れば心強いな」
「私が挫折したら、ぜひぜひお父さん頑張って新米お母さんの私を助けてください」
「クククッ、了解した」
「ふふふ。さぁ、今日はこの後予定があるんでしょ?行きましょうか?」
「次に来る時は孫を連れてきてやるか」
「あら?それまで来ないつもりなの?」
「どうだろうな?」
朱里の手を引いて歩き出すと、朱里が墓に向かって小さくお辞儀をしてルーファスに連れられ歩き出す。
墓の周りで小さく風が舞い、花畑の花を揺らした。
穏やかな日差しはルーファスと朱里に降り注ぎ、2人は笑って「温かい日だね」と言い合っていた。
温泉街に戻るとルーファスが【刻狼亭】の料亭へ朱里を連れていく。
予約まで取っていることに朱里が首をかしげる。
「いらっしゃいませ。ようこそ【刻狼亭】へ」
従業員も他の客へする様な対応で朱里は益々首をかしげる。
通されたのはオープンスペースで、中央のテーブル席に座ると、目の前に座ったルーファスに可愛く包装された箱を差し出される。
「くれるの?」
「気に入ってくれると良いんだが」
「何かな?ふふふ」
朱里が包装を綺麗に剥がすと漆塗りの箱が出て箱を開ける。
中に入っていたのは金色のチェーンのブレスレットに黒曜石で出来た狼の飾りとムーンストーンで出来た猫の飾りが付いた物で、所々に小さなダイヤがついている。
「ルーファスありがとう。すごく可愛い!でも、これどうして?」
「誕生日プレゼントだ。17歳おめでとうアカリ」
白いワンピースを着た少し目立ち始めたお腹をした朱里が花束を持ち、大きめの黒大理石で出来た墓をルーファスが掃除して綺麗にすると、朱里の手から花束を受け取り、墓に供える。
【シャロン・トリニア】
【ルーディニアス・トリニア】
ルーファスの母親と父親が眠る墓。
死んだ妻の墓に一緒に埋葬してほしいという最期の願いを叶えた為に2人の墓は一緒だ。
子供が出来たことを報告にきたものの、ルーファスの心情は複雑なものだった。
墓の前でルーファスが黙祷するものの、両親に思うことは少ない。
生まれてすぐに亡くなった母親に、泣き暮らしていたような父親で当主として忙しかったのもあり、子供のルーファスを構ってくれた記憶はない。
ルーファスはギルと刻狼亭の従業員が愛情をかけて育てた様なもので、親というものがルーファスにはどこか遠い存在でしかない。
それでも朱里を連れて墓に報告に来たのは願掛けの様なものだ。
「ルーファス、私もご挨拶しても良い?」
「ああ。母上に父上、オレの番のアカリだ」
ルーファスが朱里に優しい目で笑い、引き寄せて墓の前で朱里を紹介する。
「初めまして、お義母様、お義父様。朱里です」
「今日は2人に子供が出来た事を報告にきた」
「夏頃にお2人の孫が誕生しますよ」
「【刻狼亭】の16代目だ。跡取りが出来たぞ」
朱里のお腹に手を当てながらルーファスが、朱里も子供も失いたくないと強く思う。
自分の母親の様に朱里が出産で命を失ってしまえば、自分は父親の様に泣き暮らして心身が弱り死んでいく気がする。
かと言って、子供を諦める事も出来ない。
だからこそ、自分を1人残した両親に息子としてお願いにきたのだ。
俺を1人にしたのだから、親なら子供の為を思って息子の嫁と子供を出産で無事に済むように力を貸してほしい。と、神頼みの様な事を両親に願いに来たのは、今まで願ったことのない人達にだからこそ、自分の願いを託すのにそこらの神に祈るより、自分の気持ちを汲んでくれるのは両親な気がしたからだった。
「ねぇ、ルーファス。16代目って女の子でもなれるの?」
「うちは代々長子が継いでいるからな。女でも当主になれる」
「なら跡取りが男じゃないと!って言われたりはしないんだね」
「そうだな。まぁ、アカリ似の女の子だとオレは客前には出したくないが・・・」
「恋人なんて連れてきたら怒り狂いそうだね」
「そんな奴は温泉街に入る前に消し去る」
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朱里がくすくす笑いながら、お腹に話しかける。
産医にもお腹に話しかけると良いと言われて朱里が色々話している。
「ルーファスは過保護なお父さんになりそうだね」
「どうだろうな?オレは父上に構って貰った記憶が無いからどう接していいか分からない」
「私に接するみたいにすればいいんだよ」
「アカリは特別だからな」
「子供も特別だよ。だって私とルーファスの子供なんだから特別でしょ?」
「そう、だな。オレは父上の様にならないように気を付ける」
「気を付けなくても大丈夫。ルーファスはルーファスらしければ良いんだから」
オレの番は女神か何かだろうか?と、ルーファスが思いながら抱き上げたいが、いきなり抱き上げたり持ち上げたりは駄目だと怒られたために手をさ迷わせて、結局抱きしめるだけになった。
「ルーファス、私も新米ですが、しっかり親として勉強するのでルーファスも一緒に親になっていこうね」
「ああ。アカリが居れば心強いな」
「私が挫折したら、ぜひぜひお父さん頑張って新米お母さんの私を助けてください」
「クククッ、了解した」
「ふふふ。さぁ、今日はこの後予定があるんでしょ?行きましょうか?」
「次に来る時は孫を連れてきてやるか」
「あら?それまで来ないつもりなの?」
「どうだろうな?」
朱里の手を引いて歩き出すと、朱里が墓に向かって小さくお辞儀をしてルーファスに連れられ歩き出す。
墓の周りで小さく風が舞い、花畑の花を揺らした。
穏やかな日差しはルーファスと朱里に降り注ぎ、2人は笑って「温かい日だね」と言い合っていた。
温泉街に戻るとルーファスが【刻狼亭】の料亭へ朱里を連れていく。
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「いらっしゃいませ。ようこそ【刻狼亭】へ」
従業員も他の客へする様な対応で朱里は益々首をかしげる。
通されたのはオープンスペースで、中央のテーブル席に座ると、目の前に座ったルーファスに可愛く包装された箱を差し出される。
「くれるの?」
「気に入ってくれると良いんだが」
「何かな?ふふふ」
朱里が包装を綺麗に剥がすと漆塗りの箱が出て箱を開ける。
中に入っていたのは金色のチェーンのブレスレットに黒曜石で出来た狼の飾りとムーンストーンで出来た猫の飾りが付いた物で、所々に小さなダイヤがついている。
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