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8章
ありすのリリス
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アルビーがリュエールとシュトラールの頬にスリ寄り、金色の目で見つめ、双子が氷漬けのありすを指さす。
「「リリのありす、たすけて」」
「うん。その言葉をずっと待ってたよ」
アルビーの回復呪文の詠唱が始まり、グリムレンがありすの氷を溶かすと、ありすの腕に輸血用の血液を流すための管が繋がれる。
「【回復・極】!!」
「輸血開始!」
「即効睡眠ポーション!」
アルビーの呪文と共に輸血と麻酔代わりの睡眠ポーションが投与される。
「シュトラール!回復魔法をありすさんに!」
朱里がシュトラールに魔法を掛ける様に言うと、シュトラールは耳をぺしゃりと下げて、場の空気に飲まれリュエールの後ろに隠れて泣きそうな顔をしている。
シュトラールにはまだ荷が重かった仕方がないと、計画通り子供抜きで続行する事を決断する。
「傷口が塞いでも、また開いちゃう!特殊ポーションの方で傷口を治しながら縫合に切り替えて!産医さん急いで!」
「用意した特殊ポーションを!ポーションを使うと血も流れますから輸血を増やして!」
アルビーと産医の声が手術室に響き、朱里も腕を捲り輸血用の注射の管を刺してもらい、ありすに血液を渡せる準備をする。
役目を終えた双子は産院の助手に連れられ、外に出る様に言われ、出入り口でオロオロしている。
「ははうえー・・・」
「シューちゃん、大丈夫。シューちゃんもリューちゃんも頑張ったよ。あとはお邪魔になるといけないから、お外に連れて行って貰おうね」
リュエールが朱里を指さして眉を下げる。
「ははうえ、いたいいたい」
「リューちゃん、これは母上の血をリリスちゃんのお母さんにあげる物だから痛くないよ」
朱里が笑って「大丈夫!」と親指を立てるとリュエールがぐすぐすと泣き始める。
「りゅー、ないちゃいやー」
「ははうえー・・・ぐしゅ、ぐしゅ」
「リューちゃん母上は大丈夫。リリスちゃんの所で良い子にしてて。皆、頑張れ頑張れだよ」
珍しくリュエールがシュトラールより先に泣いていることに朱里が「お母さんっ子長男だなぁ」と微笑ましく思いながら、子供達に医療現場は早すぎたと、少し反省する。
「女将、女将の血も使いますよ!」
「はい!使ってください!」
他人との血液混合もやはり朱里だけの血より質が落ちる為、緊急時は朱里の血を使うとなっていたので朱里も今日は貧血上等だと、昨夜は血の作りやすい食事メニューでバッチリ準備してきた。
朱里の血が管を通って流れると、それを見たリュエールがワッと大声で泣き始め、シュトラールまでワッと泣き始める。
「「ふああああああん」」
「早く、2人を外へ!」
「待って!アカリ!そのまま続けさせて!」
アルビーの声に朱里が困惑すると、朱里の腕から輸血用の管の刺さった針が抜け落ち、血が止まる。
慌てて朱里が管を手に持つと、管に溜まっていた血液はオパール状の液体に変わっていく。
「え・・・?これって・・・」
朱里やありすが特殊ポーションを作るときに出るオパール色が血液に出ている。
他の輸血用の血液瓶も全てオパール色に輝きを放っている。
「アカリ、アリスの傷が全部塞がった!」
「本当に?!」
産医が後は任せろと、双子を外へ連れ出す様に言う。
双子が居るとありすへの輸血の針が刺さらないからという理由で朱里が双子を連れ出し手術室を出る。
リロノスが朱里の顔を見て不安そうな顔をしているが、朱里にも今はどういう状態なのかが分からない。
「アカリさん、アリスは?」
「ごめんなさい。わからないの。ただ、傷口は塞がったから、後は失った血液を輸血で補うだけなんだけど」
果たしてあのオパール色の血液は使えるのだろうか?
それだけが朱里は心配で仕方がないが、産医はあの血液をそのままありすに使っていた。
アルビーも手術室から出てくると、リロノスと朱里がアルビーを見る。
「アルビー、ありすさんは?!」
「アリスは大丈夫ですか?!」
「一応、今の所、血液を体に巡らせてる。グリムレインが万が一に備えて凍らせる用意もしてるけど、あとは様子見だと思うよ」
リロノスがリリスを抱きしめ、朱里は双子をギュッと抱きしめて祈る様な気持ちで産医が出てくるのを待つ。
手術室の前の長椅子で30分程待っていると、グリムレインと製薬部隊が手術室から出てくる。
「グリムレイン、もう大丈夫なの?」
「うむ。あとは産医の仕事だな」
「あ、そうか。私達は2年以上前の話だけど、ありすさんは出産直後だから色々あるものね」
産医がその後手術室から出てきて、病室にありすが運ばれていく。
リロノスとリリスがありすの病室で眠るありすの目覚めを待ちながら、ありすが目を覚ましたら何を話そうか?と、会話をしている。
朱里達は親子の邪魔はしちゃいけないね。と、病室の外で待ち、3時間後、ありすが2年10ヶ月ぶりに目を覚ます。
ありすの第一声は「お腹が疲れたし・・・」だった。
ありすらしい第一声に苦笑いしながら、リロノスが「お疲れ様」と言い、ありすが「うちの頑張りちゃんと見たし?」と言い、リロノスに泣きながら「すごく頑張ったよ」と抱きつかれ、照れた笑いをしていた。
「うちの赤ちゃんは?男の子?女の子?どっちだった?」
リロノスがリリスを膝の上に乗せて、ありすにリリスを紹介する。
「驚かないでほしいんだけど、アリスが産んだ子はこの子。見ての通り、女の子。私とアリスの名前から取ってリリスって名前を付けたんだ。ほら、リリス、お母さんのアリスだよ」
ありすが驚いた様な顔をし、怒られる寸前の様な表情をしているリリスを見る。
ありすがリリスをじっと見た後でニッと笑う。
「可愛いシュシュっしょ。うちとお揃いのを今度作るし!」
リリスのシュシュで結んでいる髪を撫でてありすが大きく頷いている、
リリスが顔を上げてありすを見ると、ありすが「うちに目が似てるし!」と笑うと、リリスを抱き上げようとして「お腹が痛いし!」と、ベッドの上で転がると、リロノスが慌てた声を上げた。
リリスがありすに初めて掛けた言葉は「いたいいたい」だった。
「「リリのありす、たすけて」」
「うん。その言葉をずっと待ってたよ」
アルビーの回復呪文の詠唱が始まり、グリムレンがありすの氷を溶かすと、ありすの腕に輸血用の血液を流すための管が繋がれる。
「【回復・極】!!」
「輸血開始!」
「即効睡眠ポーション!」
アルビーの呪文と共に輸血と麻酔代わりの睡眠ポーションが投与される。
「シュトラール!回復魔法をありすさんに!」
朱里がシュトラールに魔法を掛ける様に言うと、シュトラールは耳をぺしゃりと下げて、場の空気に飲まれリュエールの後ろに隠れて泣きそうな顔をしている。
シュトラールにはまだ荷が重かった仕方がないと、計画通り子供抜きで続行する事を決断する。
「傷口が塞いでも、また開いちゃう!特殊ポーションの方で傷口を治しながら縫合に切り替えて!産医さん急いで!」
「用意した特殊ポーションを!ポーションを使うと血も流れますから輸血を増やして!」
アルビーと産医の声が手術室に響き、朱里も腕を捲り輸血用の注射の管を刺してもらい、ありすに血液を渡せる準備をする。
役目を終えた双子は産院の助手に連れられ、外に出る様に言われ、出入り口でオロオロしている。
「ははうえー・・・」
「シューちゃん、大丈夫。シューちゃんもリューちゃんも頑張ったよ。あとはお邪魔になるといけないから、お外に連れて行って貰おうね」
リュエールが朱里を指さして眉を下げる。
「ははうえ、いたいいたい」
「リューちゃん、これは母上の血をリリスちゃんのお母さんにあげる物だから痛くないよ」
朱里が笑って「大丈夫!」と親指を立てるとリュエールがぐすぐすと泣き始める。
「りゅー、ないちゃいやー」
「ははうえー・・・ぐしゅ、ぐしゅ」
「リューちゃん母上は大丈夫。リリスちゃんの所で良い子にしてて。皆、頑張れ頑張れだよ」
珍しくリュエールがシュトラールより先に泣いていることに朱里が「お母さんっ子長男だなぁ」と微笑ましく思いながら、子供達に医療現場は早すぎたと、少し反省する。
「女将、女将の血も使いますよ!」
「はい!使ってください!」
他人との血液混合もやはり朱里だけの血より質が落ちる為、緊急時は朱里の血を使うとなっていたので朱里も今日は貧血上等だと、昨夜は血の作りやすい食事メニューでバッチリ準備してきた。
朱里の血が管を通って流れると、それを見たリュエールがワッと大声で泣き始め、シュトラールまでワッと泣き始める。
「「ふああああああん」」
「早く、2人を外へ!」
「待って!アカリ!そのまま続けさせて!」
アルビーの声に朱里が困惑すると、朱里の腕から輸血用の管の刺さった針が抜け落ち、血が止まる。
慌てて朱里が管を手に持つと、管に溜まっていた血液はオパール状の液体に変わっていく。
「え・・・?これって・・・」
朱里やありすが特殊ポーションを作るときに出るオパール色が血液に出ている。
他の輸血用の血液瓶も全てオパール色に輝きを放っている。
「アカリ、アリスの傷が全部塞がった!」
「本当に?!」
産医が後は任せろと、双子を外へ連れ出す様に言う。
双子が居るとありすへの輸血の針が刺さらないからという理由で朱里が双子を連れ出し手術室を出る。
リロノスが朱里の顔を見て不安そうな顔をしているが、朱里にも今はどういう状態なのかが分からない。
「アカリさん、アリスは?」
「ごめんなさい。わからないの。ただ、傷口は塞がったから、後は失った血液を輸血で補うだけなんだけど」
果たしてあのオパール色の血液は使えるのだろうか?
それだけが朱里は心配で仕方がないが、産医はあの血液をそのままありすに使っていた。
アルビーも手術室から出てくると、リロノスと朱里がアルビーを見る。
「アルビー、ありすさんは?!」
「アリスは大丈夫ですか?!」
「一応、今の所、血液を体に巡らせてる。グリムレインが万が一に備えて凍らせる用意もしてるけど、あとは様子見だと思うよ」
リロノスがリリスを抱きしめ、朱里は双子をギュッと抱きしめて祈る様な気持ちで産医が出てくるのを待つ。
手術室の前の長椅子で30分程待っていると、グリムレインと製薬部隊が手術室から出てくる。
「グリムレイン、もう大丈夫なの?」
「うむ。あとは産医の仕事だな」
「あ、そうか。私達は2年以上前の話だけど、ありすさんは出産直後だから色々あるものね」
産医がその後手術室から出てきて、病室にありすが運ばれていく。
リロノスとリリスがありすの病室で眠るありすの目覚めを待ちながら、ありすが目を覚ましたら何を話そうか?と、会話をしている。
朱里達は親子の邪魔はしちゃいけないね。と、病室の外で待ち、3時間後、ありすが2年10ヶ月ぶりに目を覚ます。
ありすの第一声は「お腹が疲れたし・・・」だった。
ありすらしい第一声に苦笑いしながら、リロノスが「お疲れ様」と言い、ありすが「うちの頑張りちゃんと見たし?」と言い、リロノスに泣きながら「すごく頑張ったよ」と抱きつかれ、照れた笑いをしていた。
「うちの赤ちゃんは?男の子?女の子?どっちだった?」
リロノスがリリスを膝の上に乗せて、ありすにリリスを紹介する。
「驚かないでほしいんだけど、アリスが産んだ子はこの子。見ての通り、女の子。私とアリスの名前から取ってリリスって名前を付けたんだ。ほら、リリス、お母さんのアリスだよ」
ありすが驚いた様な顔をし、怒られる寸前の様な表情をしているリリスを見る。
ありすがリリスをじっと見た後でニッと笑う。
「可愛いシュシュっしょ。うちとお揃いのを今度作るし!」
リリスのシュシュで結んでいる髪を撫でてありすが大きく頷いている、
リリスが顔を上げてありすを見ると、ありすが「うちに目が似てるし!」と笑うと、リリスを抱き上げようとして「お腹が痛いし!」と、ベッドの上で転がると、リロノスが慌てた声を上げた。
リリスがありすに初めて掛けた言葉は「いたいいたい」だった。
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