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11章
お正月①
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お正月の着物に身を包み、朱里がミルアとナルアの着物を着せようと四苦八苦している。
「あううっ、赤ちゃん特有の軟体生物~うちの子タコなの?イカなの?」
うにうにと両手と両足をパタパタさせて、ご機嫌なミルアとナルアに着物を着せるのは大変な様で朱里がひぇぇと声を上げている。
「アカリ、手伝おう。可愛い娘をオクトパ扱いとはひどいな。なぁ、ナルア」
ナルアに着物を着せようとしてルーファスが抱き上げると、ナルアがくにゃんと背中を仰け反らせて手をパタパタさせて喜んでいる。
「ほら、軟体生物オクトパちゃんですよ。ルーファス頑張ってください」
「確かに、これはまた見事な柔らかさだな」
ルーファスも苦笑いでナルアに着物を着せ始めると、リビングにリュエールとシュトラールが現れる。
2人は【刻狼亭】の料亭や旅館でたまに着物を着ているので手慣れているため6歳にして着物は自分で着る物になっている。
ルーファスと同様、黒地ベースに白から黄色のグラデーションになっている着物を着ている。
お正月は黄色を入れると縁起が良い為、毎年この様な感じである。
帯留めの紐は金糸と黒で飾り玉は黄水晶。
縁起の良さはバッチリである。
「まだかかりそう?」
「先に【刻狼亭】行ってていい?」
「そうねー・・・うん。じゃあグリムレインと一緒に行ってて」
リビングのソファーで白地に黄色と水色のグラデーションの着物を着た人型のグリムレインが「ん?」と顔を上げる。
リュエールとシュトラールが「行くよー」とグリムレインをソファから引っ張り起こし、元気に出ていく。
今回はリュエールやシュトラールの友達も呼んだこともあり、2人はソワソワして早く行きたくて仕方がないらしい。
ミルアに白地に黒と黄色のグラデーションになっている着物を着せ黒いレース編みのショールを羽織らせて黄色に金糸のリボンを結んで完成させると、ルーファスの方も黒地に白と黄色のグラデーションになっている着物をナルアに着せ終わり、白いレース編みのショールを羽織らせてリボンを結んで完成させた。
「うちのおチビちゃん達は可愛いね」
「やはり女の子は可愛いな」
くぁーっと欠伸をしてミルアとナルアがポテッとベビーベッドでお気に入りの狼の人形に抱きついてウトウトし始める。
「あらら。寝ちゃってる」
「まぁ開始まで2時間はあるんだ。起こさない様にゆっくり歩いて行くしかないな」
口紅が落ちない程度に軽くキスを交わすと外出用の外套を羽織り、ミルアとナルアにもアンゴラータ族の布で作ったフード付きのケープを羽織らせてルーファスが2人を抱き上げる。
「ふふっ、ルーファス重くないですか?」
「軽過ぎるぐらいだ。むしろアカリに2人を抱いてもらって、アカリごと抱き上げていけるぐらいだぞ?」
「それは遠慮します。さて、行きましょうか」
「ああ。リューとシューの友達というのも紹介してもらいたいしな」
「私は1度だけ会いましたよ。キチンと紹介されるのは初めてですけど」
温泉大陸の子供はそれ程数が多いわけでは無いが、同年代の子供がどうやって出会い、友達になっているのか、知らない間に子供同士集まっては遊んでいるのだ。
不思議な感じはするが、学校が無いこの大陸で友達を作れるのは貴重なので親としてはこれからも友達として仲良くしてもらいたいと思ってリュエールとシュトラールに招待するように言っておいたのである。
【刻狼亭】の料亭内では関係者が集まり新年の挨拶を交わし合っている。
貸し切りにしてあるので、この場に居るのは【刻狼亭】の関係者のみ、いわゆる身内のお正月である。
「アカリっちー!あけおめ!ことよろー!」
「アリスお願いだからその挨拶はやめて!」
「ママったら、もう!」
ありすが元気に手を振り、リロノスとリリスが「あちゃー」という顔で手を顔に当てている。
ありすは黄色いシュシュをリリスとお揃いで着け、リロノスも長い髪を同じ布で縛っている。
「ありすさん、リロノスさん、リリスちゃん、明けましておめでとうございます。本年度もよろしくお願いしたします」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おめでとうございます。今年もよろしく願いします」
朱里が頭を下げながら挨拶をして、リロノスとリリスも挨拶を返す。
そして、ありすと朱里は小さく「あけおめ!ことよろ!いぇーい!」と手を合わせてキャッキャッとはしゃいでいる。
その様子を見てルーファスが口元に笑みを浮かべながら会場を見渡すとグリムレインがこちらに気付き近寄ってくる。
「婿も嫁もようやく来たか」
「遅くなってすまないな。この子達が寝てしまってゆっくり歩いてきたんだ」
「なんだチビ達は寝てしまったのか」
グリムレインがツンツンと指でミルアとナルアの頬を突くとはむっとミルアに指をしゃぶられ慌てて指を引っ込める。
「我を食うな。まったく怖いチビだの」
クククッとルーファスに笑われ、グリムレインが朱里の後ろについていく。
「アカリ、そろそろ挨拶回りに行くぞ」
「はーい。では、ありすさん達も楽しんで行ってくださいね」
ありす達に手を振り、朱里とルーファスとグリムレインが他の従業員や温泉大陸の代表的な老舗の主人たちに挨拶に回り始める。
「あううっ、赤ちゃん特有の軟体生物~うちの子タコなの?イカなの?」
うにうにと両手と両足をパタパタさせて、ご機嫌なミルアとナルアに着物を着せるのは大変な様で朱里がひぇぇと声を上げている。
「アカリ、手伝おう。可愛い娘をオクトパ扱いとはひどいな。なぁ、ナルア」
ナルアに着物を着せようとしてルーファスが抱き上げると、ナルアがくにゃんと背中を仰け反らせて手をパタパタさせて喜んでいる。
「ほら、軟体生物オクトパちゃんですよ。ルーファス頑張ってください」
「確かに、これはまた見事な柔らかさだな」
ルーファスも苦笑いでナルアに着物を着せ始めると、リビングにリュエールとシュトラールが現れる。
2人は【刻狼亭】の料亭や旅館でたまに着物を着ているので手慣れているため6歳にして着物は自分で着る物になっている。
ルーファスと同様、黒地ベースに白から黄色のグラデーションになっている着物を着ている。
お正月は黄色を入れると縁起が良い為、毎年この様な感じである。
帯留めの紐は金糸と黒で飾り玉は黄水晶。
縁起の良さはバッチリである。
「まだかかりそう?」
「先に【刻狼亭】行ってていい?」
「そうねー・・・うん。じゃあグリムレインと一緒に行ってて」
リビングのソファーで白地に黄色と水色のグラデーションの着物を着た人型のグリムレインが「ん?」と顔を上げる。
リュエールとシュトラールが「行くよー」とグリムレインをソファから引っ張り起こし、元気に出ていく。
今回はリュエールやシュトラールの友達も呼んだこともあり、2人はソワソワして早く行きたくて仕方がないらしい。
ミルアに白地に黒と黄色のグラデーションになっている着物を着せ黒いレース編みのショールを羽織らせて黄色に金糸のリボンを結んで完成させると、ルーファスの方も黒地に白と黄色のグラデーションになっている着物をナルアに着せ終わり、白いレース編みのショールを羽織らせてリボンを結んで完成させた。
「うちのおチビちゃん達は可愛いね」
「やはり女の子は可愛いな」
くぁーっと欠伸をしてミルアとナルアがポテッとベビーベッドでお気に入りの狼の人形に抱きついてウトウトし始める。
「あらら。寝ちゃってる」
「まぁ開始まで2時間はあるんだ。起こさない様にゆっくり歩いて行くしかないな」
口紅が落ちない程度に軽くキスを交わすと外出用の外套を羽織り、ミルアとナルアにもアンゴラータ族の布で作ったフード付きのケープを羽織らせてルーファスが2人を抱き上げる。
「ふふっ、ルーファス重くないですか?」
「軽過ぎるぐらいだ。むしろアカリに2人を抱いてもらって、アカリごと抱き上げていけるぐらいだぞ?」
「それは遠慮します。さて、行きましょうか」
「ああ。リューとシューの友達というのも紹介してもらいたいしな」
「私は1度だけ会いましたよ。キチンと紹介されるのは初めてですけど」
温泉大陸の子供はそれ程数が多いわけでは無いが、同年代の子供がどうやって出会い、友達になっているのか、知らない間に子供同士集まっては遊んでいるのだ。
不思議な感じはするが、学校が無いこの大陸で友達を作れるのは貴重なので親としてはこれからも友達として仲良くしてもらいたいと思ってリュエールとシュトラールに招待するように言っておいたのである。
【刻狼亭】の料亭内では関係者が集まり新年の挨拶を交わし合っている。
貸し切りにしてあるので、この場に居るのは【刻狼亭】の関係者のみ、いわゆる身内のお正月である。
「アカリっちー!あけおめ!ことよろー!」
「アリスお願いだからその挨拶はやめて!」
「ママったら、もう!」
ありすが元気に手を振り、リロノスとリリスが「あちゃー」という顔で手を顔に当てている。
ありすは黄色いシュシュをリリスとお揃いで着け、リロノスも長い髪を同じ布で縛っている。
「ありすさん、リロノスさん、リリスちゃん、明けましておめでとうございます。本年度もよろしくお願いしたします」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おめでとうございます。今年もよろしく願いします」
朱里が頭を下げながら挨拶をして、リロノスとリリスも挨拶を返す。
そして、ありすと朱里は小さく「あけおめ!ことよろ!いぇーい!」と手を合わせてキャッキャッとはしゃいでいる。
その様子を見てルーファスが口元に笑みを浮かべながら会場を見渡すとグリムレインがこちらに気付き近寄ってくる。
「婿も嫁もようやく来たか」
「遅くなってすまないな。この子達が寝てしまってゆっくり歩いてきたんだ」
「なんだチビ達は寝てしまったのか」
グリムレインがツンツンと指でミルアとナルアの頬を突くとはむっとミルアに指をしゃぶられ慌てて指を引っ込める。
「我を食うな。まったく怖いチビだの」
クククッとルーファスに笑われ、グリムレインが朱里の後ろについていく。
「アカリ、そろそろ挨拶回りに行くぞ」
「はーい。では、ありすさん達も楽しんで行ってくださいね」
ありす達に手を振り、朱里とルーファスとグリムレインが他の従業員や温泉大陸の代表的な老舗の主人たちに挨拶に回り始める。
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