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13章
微熱(リュー達の居ない間の2人)
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サラサラと髪を撫でる手の温かさに『お母さん』だと思ったけど、手の大きさに『お父さん』かぁ・・・と、思いながら、温かい手が嬉しくて涙がポロポロ出た。
どうして『お父さん』の手の温かさにこんなに涙が出るんだろう・・・?
おかしいな・・・そう思って目を開けると、ルーファスが目の前に居て涙を手で拭ってくれた。
ああ、『お父さん』もう居なかったんだ・・・ポッカリと開いた穴にストンとその事実を思い出し、もう忘れかけていた寂しさに少しだけ『帰りたい』と思った。
もう何所にもない『私の家族の待つ家』に帰りたいと。
「泣かなくていい。もう何も心配いらないからな」
「うん・・・」
ルーファスの声はいつだって私の心に優しく響く。
そして、私が『帰る場所』はもうルーファスと子供達が待つ『私の家』だと思い出させてくれる。
ちゃんと私には私の帰る場所がある。
「・・・リューちゃんとシューちゃんは?」
「アカリは気にしなくてもいい。大丈夫だから」
「・・・あ、ギルドの仕事・・・起きないと。今、何時?」
「もう昼過ぎだ。アカリは熱があるんだから寝ておけ」
私の頭を撫でてくるルーファスには申し訳ないけれど、竜人が怖いからと言ってキャンセルしたら、何処かでまた難癖を付けられてギルドに付け入られてしまうから、行かなきゃ・・・。
そう思うのに、ルーファスの手の気持ち良さにベッドから離れられない。
弱い私の為に皆が付いてきてくれたのに、私が足を引っ張たらいけない・・・頑張らなきゃいけない。
腕に力を入れて起き上がると、ルーファスにひょいっと抱き寄せられて腕の中に収納されていた。
温かい・・・このままくっついていたいけど、頑張らなきゃ。
「今からでもお仕事引き受けに行くから、離してください」
「駄目だ。まったくアカリは何をムキになってるんだ。大人しく寝ておけ」
「だって、ここで1人先延ばしにしたらお家に帰るのがまた遅れちゃう・・・ルーファスはお仕事ギルさんに任せて来てるのに、これ以上ギルさんに頼ってたら申し訳ないし、リューちゃん達も私に付き合わせるのは可哀想」
家族とは言えど、おんぶに抱っこでは申し訳なくて、せめて早くお家に帰れる様にしなきゃいけない。
ジタバタと暴れる私に小さくため息を吐いてルーファスが軽く小突いてくる。
「アカリの代わりにリュー達がもう竜人の所へは行ってしまった」
「え・・・?どうやって?」
「リューはアカリに似ているから髪の色と目の色を変えて、アカリの服を着て行ってしまったぞ」
「駄目!駄目だよっ!リューちゃん達を止めなきゃ!」
「そうは言っても、もう着いている頃だろうから、今更だ」
ルーファスが毛布を引き寄せて私に掛けるとポンポンと背中を叩いてくる。
そんな事で寝かしつけられる程子供ではないし、なんでルーファスはこんなに落ち着いているんだろう?
「ルーファス・・・でも、私のお仕事なのに・・・」
「今回はリュー達に任せるしかない。グリムレインも一緒に行っているから、いざとなれば氷漬けにして持ち帰って来るだろう」
「うう・・・っ、でも心配です。やっぱり行った方が・・・」
グリムレインが居ればそれはそれで安心は出来るけど、良いのかなぁ?
リューちゃんもシューちゃんも体を鍛えたりしてるけど、まだ子供なのは否めないし。うーん。頭がぐるぐるしてきた。
「アカリはうだうだ考えていないで熱を下げる事に力を注いでいろ。ほら、寝ていろ」
ルーファスが布団ごと抱きしめてベッドに一緒に横になると、私の顔を見てフッと笑う。
「何だかミルアとナルアの小さい頃を思い出すな」
「まだ小さいですよ・・・?」
「アカリが氷漬けの時にグズって昼間なかなか寝なくて、絵本だ人形遊びだと色々と寝るまで付き合わされた」
「ふふっ、読み聞かせは子供の創造力や知識を増やすのに大切なんです。お人形遊びはコミュニケーションを高めるのに必要な事なんですよ?私の代わりに頑張ってくれたんですね」
「何度も同じ本を繰り返し読まされたり、ミルアの本を先に読むとナルアが拗ねたりで宥めるのも大変だった」
「あの子達はお揃いよりも別々の物を好みますからね」
「最近は『お姫様』でお揃いを好むけどな」
「双子でも違う所がいっぱいで驚きですよね。双子ってタマホメちゃんやメビナちゃんみたいにそっくりそのままかと思っていたのに、違うし、リューちゃん達も全然違うし」
ああ、そういえばタマホメちゃんとメビナちゃんがミルアとナルアを『お姫様』にしておくと言ってたなぁ。
どんなお姫様になっているんだろう・・・
ハッ!!
ルーファスに話をズラされた?!
でも、今私が騒いでもリューちゃん達は私の代わりに竜人の人の所へランク剥奪実技に行っているから、騒ぐだけ無駄だよね・・・。
ルーファスを見れば少し眠そうな目で笑っていて、良く見ると目の下に少し隈が出来てるから、私が昨日の夜寝込んでから寝てないのかもしれない・・・。
「ルーファス、有り難うございます・・・ごめんなさい」
「ん。気にしなくていい。早く熱を下げて元気になれ」
「じゃあ、少し寝るので、ルーファスも一緒に寝てください」
「わかった。オレも少し眠かったから少し休もう」
「おやすみなさい」
「お休みアカリ」
おでこにルーファスのキスが落ちて、スーッとルーファスの寝息が聞こえ始めて、とろとろと釣られるように眠りに落ちていくと、何だかいい夢を見た気がするけど、目を覚ますと忘れていた。
少し微熱があったけど、大分回復してルーファスが買ってきたスープを飲みながら温まっていると、リューちゃん達から帰るコールがあって30分くらいで3人は帰って来た。
リューちゃんが可愛い格好をしていたけど、男の子に可愛いは駄目だと言葉をゴックンして、私の代わりにお仕事をしてきてくれたことに感謝をして謝って、家に帰ったらリューちゃん達の好きなお料理をいっぱい作る事を約束した。
リューちゃんが私に扮してランクを剥奪した竜人は殺人を楽しんでやる狂人だったらしくて、ギルドの人が特別監房に収容すると言って連れて行ったらしい。
快楽殺人で50名以上が被害に遭っているらしく、寺院の中から真新しい遺体も発見されたとかで、ちょっとした騒ぎになり、ミヤの名前が少しだけ時の人となった。
うーん。自慢の息子ですが、少しお母さんは危ない事はしてほしくないと心配です。
どうして『お父さん』の手の温かさにこんなに涙が出るんだろう・・・?
おかしいな・・・そう思って目を開けると、ルーファスが目の前に居て涙を手で拭ってくれた。
ああ、『お父さん』もう居なかったんだ・・・ポッカリと開いた穴にストンとその事実を思い出し、もう忘れかけていた寂しさに少しだけ『帰りたい』と思った。
もう何所にもない『私の家族の待つ家』に帰りたいと。
「泣かなくていい。もう何も心配いらないからな」
「うん・・・」
ルーファスの声はいつだって私の心に優しく響く。
そして、私が『帰る場所』はもうルーファスと子供達が待つ『私の家』だと思い出させてくれる。
ちゃんと私には私の帰る場所がある。
「・・・リューちゃんとシューちゃんは?」
「アカリは気にしなくてもいい。大丈夫だから」
「・・・あ、ギルドの仕事・・・起きないと。今、何時?」
「もう昼過ぎだ。アカリは熱があるんだから寝ておけ」
私の頭を撫でてくるルーファスには申し訳ないけれど、竜人が怖いからと言ってキャンセルしたら、何処かでまた難癖を付けられてギルドに付け入られてしまうから、行かなきゃ・・・。
そう思うのに、ルーファスの手の気持ち良さにベッドから離れられない。
弱い私の為に皆が付いてきてくれたのに、私が足を引っ張たらいけない・・・頑張らなきゃいけない。
腕に力を入れて起き上がると、ルーファスにひょいっと抱き寄せられて腕の中に収納されていた。
温かい・・・このままくっついていたいけど、頑張らなきゃ。
「今からでもお仕事引き受けに行くから、離してください」
「駄目だ。まったくアカリは何をムキになってるんだ。大人しく寝ておけ」
「だって、ここで1人先延ばしにしたらお家に帰るのがまた遅れちゃう・・・ルーファスはお仕事ギルさんに任せて来てるのに、これ以上ギルさんに頼ってたら申し訳ないし、リューちゃん達も私に付き合わせるのは可哀想」
家族とは言えど、おんぶに抱っこでは申し訳なくて、せめて早くお家に帰れる様にしなきゃいけない。
ジタバタと暴れる私に小さくため息を吐いてルーファスが軽く小突いてくる。
「アカリの代わりにリュー達がもう竜人の所へは行ってしまった」
「え・・・?どうやって?」
「リューはアカリに似ているから髪の色と目の色を変えて、アカリの服を着て行ってしまったぞ」
「駄目!駄目だよっ!リューちゃん達を止めなきゃ!」
「そうは言っても、もう着いている頃だろうから、今更だ」
ルーファスが毛布を引き寄せて私に掛けるとポンポンと背中を叩いてくる。
そんな事で寝かしつけられる程子供ではないし、なんでルーファスはこんなに落ち着いているんだろう?
「ルーファス・・・でも、私のお仕事なのに・・・」
「今回はリュー達に任せるしかない。グリムレインも一緒に行っているから、いざとなれば氷漬けにして持ち帰って来るだろう」
「うう・・・っ、でも心配です。やっぱり行った方が・・・」
グリムレインが居ればそれはそれで安心は出来るけど、良いのかなぁ?
リューちゃんもシューちゃんも体を鍛えたりしてるけど、まだ子供なのは否めないし。うーん。頭がぐるぐるしてきた。
「アカリはうだうだ考えていないで熱を下げる事に力を注いでいろ。ほら、寝ていろ」
ルーファスが布団ごと抱きしめてベッドに一緒に横になると、私の顔を見てフッと笑う。
「何だかミルアとナルアの小さい頃を思い出すな」
「まだ小さいですよ・・・?」
「アカリが氷漬けの時にグズって昼間なかなか寝なくて、絵本だ人形遊びだと色々と寝るまで付き合わされた」
「ふふっ、読み聞かせは子供の創造力や知識を増やすのに大切なんです。お人形遊びはコミュニケーションを高めるのに必要な事なんですよ?私の代わりに頑張ってくれたんですね」
「何度も同じ本を繰り返し読まされたり、ミルアの本を先に読むとナルアが拗ねたりで宥めるのも大変だった」
「あの子達はお揃いよりも別々の物を好みますからね」
「最近は『お姫様』でお揃いを好むけどな」
「双子でも違う所がいっぱいで驚きですよね。双子ってタマホメちゃんやメビナちゃんみたいにそっくりそのままかと思っていたのに、違うし、リューちゃん達も全然違うし」
ああ、そういえばタマホメちゃんとメビナちゃんがミルアとナルアを『お姫様』にしておくと言ってたなぁ。
どんなお姫様になっているんだろう・・・
ハッ!!
ルーファスに話をズラされた?!
でも、今私が騒いでもリューちゃん達は私の代わりに竜人の人の所へランク剥奪実技に行っているから、騒ぐだけ無駄だよね・・・。
ルーファスを見れば少し眠そうな目で笑っていて、良く見ると目の下に少し隈が出来てるから、私が昨日の夜寝込んでから寝てないのかもしれない・・・。
「ルーファス、有り難うございます・・・ごめんなさい」
「ん。気にしなくていい。早く熱を下げて元気になれ」
「じゃあ、少し寝るので、ルーファスも一緒に寝てください」
「わかった。オレも少し眠かったから少し休もう」
「おやすみなさい」
「お休みアカリ」
おでこにルーファスのキスが落ちて、スーッとルーファスの寝息が聞こえ始めて、とろとろと釣られるように眠りに落ちていくと、何だかいい夢を見た気がするけど、目を覚ますと忘れていた。
少し微熱があったけど、大分回復してルーファスが買ってきたスープを飲みながら温まっていると、リューちゃん達から帰るコールがあって30分くらいで3人は帰って来た。
リューちゃんが可愛い格好をしていたけど、男の子に可愛いは駄目だと言葉をゴックンして、私の代わりにお仕事をしてきてくれたことに感謝をして謝って、家に帰ったらリューちゃん達の好きなお料理をいっぱい作る事を約束した。
リューちゃんが私に扮してランクを剥奪した竜人は殺人を楽しんでやる狂人だったらしくて、ギルドの人が特別監房に収容すると言って連れて行ったらしい。
快楽殺人で50名以上が被害に遭っているらしく、寺院の中から真新しい遺体も発見されたとかで、ちょっとした騒ぎになり、ミヤの名前が少しだけ時の人となった。
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