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15章
移転魔法と妖精
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「父上、キリンさんはリューの番だから温情をあげてほしいな」
「はぁ?」
「ちょっ!シュー!」
シュトラールを父親が変な顔で見て、リュエールは迷惑そうな顔で怒っている。
わたしも多分、変な顔になっていたと思う。父親が私とリュエールの顔を見比べる様に見てから、シュトラールの顔を見ると、シュトラールはニコニコとしている。
悪びれも無い顔・・・と、いうより得意げな顔という感じで。
「あー、リュエール、本当なのか?」
「ハァー・・・逆に僕が聞きたいよ?番の匂いも何もしてない。シューが騒いでるだけ」
父親がシュトラールを片眉を上げながら見れば、シュトラールは腕を組んで首を傾げる。
「シュトラール・・・説明を」
「オレの鼻がビビビッと、リューとキリンさんは同じ匂いだなって!キリンさん凄くいい香りするし、リューと似てるんだよ」
「シュトラール・・・お前はどうも抽象的だな。でもお前の鼻はバカに出来ん所もあるからな・・・」
「それに番じゃなくても、こんなにいい匂いの人なら悪い事は無いよ。リューだってキリンさんから嫌な匂いしないでしょ?」
「悪い人間の匂いはしないけど、それとこれとは話が別だからね?大体、シュー・・・僕自身が番の匂いって思ってないのに、どうして番になるのさ」
人に指をさしながらリュエールが迷惑千万とシュトラールに詰め寄る。
まぁ、わたしもそう思います。リュエールのわたしが嫌いっていう態度は嫌という程この数時間待たされている間に味わいましたから!無理です!
「えー・・・じゃあ、このお茶、リューは飲んだ?」
「一口飲んだけど?」
「じゃあ、キリンさんこのお茶1口飲んでみて」
「え?」
目の前にリュエールが飲んだお茶が差し出されて、思わず眉間にしわが寄る。
「番が口にした物なら味が甘く感じるって母上が言ってたから、試してみてよ」
「ええー・・・」
凄く嫌なんだけど・・・、シュトラールの目がキラキラと早くと言わんばかりに期待していて、おずおずと手を伸ばすと、パンッと扇子で手を遮られる。
「待て」
少し不機嫌そうな父親が扇子を元に戻し、眉間に指を置いてため息を吐く。
「茶は冷たくなっている分、甘みと渋みが混ざっている。味のあるものでやっても意味がない」
「あー!そうだね!んじゃ、コップ新しいの用意して水でやろうか!」
「えー、いいよ。別に・・・」
嫌がるリュエールに既にコップを準備して笑顔なシュトラール。
何とも言えない顔をして息子2人を見る父親・・・なんてカオスな状態なんだろう・・・。
「まぁ、それはともかくだ。君は転移魔法で飛ばされてきたと聞いているが、転移魔法は君の村では普通に使われているのか?」
「えと、使えるのはネリリスお婆ちゃんだけで、占いの水晶で出た座標に空間が繋がるとかなんとか・・・」
「ふむ。そうか・・・呪文などはあるのか?」
「呪文は・・・『海を歩く妖精は森を潜る妖精と道を侍れ回れ道の印は帰路へ至れ』だったかな・・・っとぉおおおお!!!」
移転魔法の穴がポッカリと開き、「はい?」と、思った時にはフワッと体が浮くと穴に吸い寄せられる。
「なっ!これを早く消せ!」
「ひぃぃっ!消えて!消えて!わぁああああ!」
「何してんのさ!」
「わっ!シュー!キリンさん!!」
わたしの手をリュエールが掴み、父親が手を伸ばすのが見えた。
移転魔法に吸い込まれると、わたしは再び浮遊感と一緒に落下していく。
「ひぃぃぃいっ!!」
「うわぁああああ!!」
横を見たら、リュエールも巻き込んでしまったらしく、一緒に落下していた。
バササーッと、木々の間に落下して、枝や草でベシベシと体に細かくぶつかっていく。
ようやく落下が止まると、不機嫌が不機嫌を着ているという感じのリュエールがわたしを睨みながら見下ろしていた。
「はぁ?」
「ちょっ!シュー!」
シュトラールを父親が変な顔で見て、リュエールは迷惑そうな顔で怒っている。
わたしも多分、変な顔になっていたと思う。父親が私とリュエールの顔を見比べる様に見てから、シュトラールの顔を見ると、シュトラールはニコニコとしている。
悪びれも無い顔・・・と、いうより得意げな顔という感じで。
「あー、リュエール、本当なのか?」
「ハァー・・・逆に僕が聞きたいよ?番の匂いも何もしてない。シューが騒いでるだけ」
父親がシュトラールを片眉を上げながら見れば、シュトラールは腕を組んで首を傾げる。
「シュトラール・・・説明を」
「オレの鼻がビビビッと、リューとキリンさんは同じ匂いだなって!キリンさん凄くいい香りするし、リューと似てるんだよ」
「シュトラール・・・お前はどうも抽象的だな。でもお前の鼻はバカに出来ん所もあるからな・・・」
「それに番じゃなくても、こんなにいい匂いの人なら悪い事は無いよ。リューだってキリンさんから嫌な匂いしないでしょ?」
「悪い人間の匂いはしないけど、それとこれとは話が別だからね?大体、シュー・・・僕自身が番の匂いって思ってないのに、どうして番になるのさ」
人に指をさしながらリュエールが迷惑千万とシュトラールに詰め寄る。
まぁ、わたしもそう思います。リュエールのわたしが嫌いっていう態度は嫌という程この数時間待たされている間に味わいましたから!無理です!
「えー・・・じゃあ、このお茶、リューは飲んだ?」
「一口飲んだけど?」
「じゃあ、キリンさんこのお茶1口飲んでみて」
「え?」
目の前にリュエールが飲んだお茶が差し出されて、思わず眉間にしわが寄る。
「番が口にした物なら味が甘く感じるって母上が言ってたから、試してみてよ」
「ええー・・・」
凄く嫌なんだけど・・・、シュトラールの目がキラキラと早くと言わんばかりに期待していて、おずおずと手を伸ばすと、パンッと扇子で手を遮られる。
「待て」
少し不機嫌そうな父親が扇子を元に戻し、眉間に指を置いてため息を吐く。
「茶は冷たくなっている分、甘みと渋みが混ざっている。味のあるものでやっても意味がない」
「あー!そうだね!んじゃ、コップ新しいの用意して水でやろうか!」
「えー、いいよ。別に・・・」
嫌がるリュエールに既にコップを準備して笑顔なシュトラール。
何とも言えない顔をして息子2人を見る父親・・・なんてカオスな状態なんだろう・・・。
「まぁ、それはともかくだ。君は転移魔法で飛ばされてきたと聞いているが、転移魔法は君の村では普通に使われているのか?」
「えと、使えるのはネリリスお婆ちゃんだけで、占いの水晶で出た座標に空間が繋がるとかなんとか・・・」
「ふむ。そうか・・・呪文などはあるのか?」
「呪文は・・・『海を歩く妖精は森を潜る妖精と道を侍れ回れ道の印は帰路へ至れ』だったかな・・・っとぉおおおお!!!」
移転魔法の穴がポッカリと開き、「はい?」と、思った時にはフワッと体が浮くと穴に吸い寄せられる。
「なっ!これを早く消せ!」
「ひぃぃっ!消えて!消えて!わぁああああ!」
「何してんのさ!」
「わっ!シュー!キリンさん!!」
わたしの手をリュエールが掴み、父親が手を伸ばすのが見えた。
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「ひぃぃぃいっ!!」
「うわぁああああ!!」
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