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16章
ミッカジャム
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猛暑の時は食べ物の傷みも早く食中毒が怒りやすく、これに関しては料亭を経営しているルーファス含め、温泉大陸の食事処やお土産屋は気を付けている。
しかし、買った物をカバンの中や馬車の中で放置して怪しくなってから食べてしまう客もいる為に、嘔吐に発熱と熱病と似た様な状態に陥る人々が出ていた。
「紛らわしい!」
「買った食べ物を放置して忘れて夜食べるとか・・・」
ハァーと、ため息をつきながら報告された医師にかかった患者の話にルーファスとマグノリア達、製薬部隊が「バカじゃないのか!」と騒いでは「熱病じゃなくて良かった」と、ホッと胸を撫でおろす。
「今の所、熱病患者は出ていないようだな」
「ええ、大抵の客はスタンプラリーで女将が作ったアイスとジュースを口にしてましたからね」
「他の店舗の露店にも女将が手を加えてて助かったってところですね」
ホッとしながらも小鬼の情報では乾燥した空気で病の感染が広がっていると言われ、何より熱を冷ます為の氷や水の不足が問題らしい。
死者も出ている為に各国では【病魔】の時と同様、気を張っている状態で、温泉大陸には既に入国を求める声や【病魔】の時の様に回復アイテムがあるのでは?と情報を求める声が届いている。
今現在、朱里がアルビー達とジュースと麦茶の製作をしており、麦茶は朱里が麦茶パックの布巾を手縫いして茶葉を入れてアルビーとエデンの出すお湯玉に入れて作る事で大量に出荷中である。
ジュースは麦茶が出来上がるまでの間に作って、ハガネがそこへ加わりミッカジャムの瓶詰が出来上がり、温泉大陸から冒険者ギルドの本部があるイルブールへ戻る冒険者に木箱いっぱいに持たせた。
受け取りは小鬼達の家なのだが、彼等ならばギルドの本部へも差し入れで持ち込めるので、熱病にかかった人に食べさせるように言ってある。
既にイルブールでも熱病患者が出ている報告があるので少し不味い状態ともいえる。
ギルドが立ち行かなくなれば、冒険者や国同士の情報が回らない事と、何かあった時に連携は取れていた方が良い為に小鬼達の責任は重大でもある。
勿論、小鬼達の熱病予防というのもある。
彼等の情報ネットワークに温泉大陸の小鬼から『温泉大陸の魔力をたっぷり含んだミッカは熱病を抑える効果がみられたんです。眉唾ですが試してください』と、言わせているので情報が正しいかどうかを調べたがる彼らは熱病患者の所に確実に持って行くだろうと思われる。
残った物はクッキーにつけて食べると美味しいから食べて良いですよとも言ってあるので、残れば小鬼達の美味しいティータイムに使われる事だろう。
「・・・と、そろそろアカリに休憩をいれさせないとな」
「ああ、女将ほっとくとずっと作ってますからね」
「さっき疲労回復ポーション飲んでましたよ」
ガタッとルーファスが椅子から立ち上がり、朱里に休憩をさせに向かうと、製薬部隊は「我々も熱病の対策ポーション開発しますかー」と席を立つ。
製薬部隊は二手に別れ、温泉大陸に残っているのは3人、外で熱病患者を直接診て製薬調合をしながらポーション開発をする2人で魔法通信の腕輪を使いつつ連絡を取って対応にあたって効果のある薬草などで調合を進めている。
ルーファスが朱里の作業場と化した製薬室に入るとムアッした熱気が扉を開けた瞬間出て行く。
麦茶を作っているお湯玉から大きなガラス容器に移し替える作業中だったらしく、「熱ーい」と朱里とアルビーが騒ぎながらガラス容器に手をペタペタと付けている。
「熱いならガラス容器から手を離したらどうだ?」
「あっ、ルーファス」
「でもね、ルーファス、熱いお茶がどんな熱さか触りたいじゃない?」
そんな事は無いと思う・・・と、ルーファスは思うが朱里とアルビーは「ねー」と声を揃えているので、そういう物なのかと少し悩むが、ハガネが「んなわけあるか!」と言ってエデンも頷いている事から、朱里とアルビーだけの特殊な考えだと思い直す。
「アカリ、アルビー達も休憩にしろ」
「はーい。でもね、疲労ポーション飲んだばかりなんだよ?」
「私もまだやれるよー!」
「俺は休みてぇよ」
「エデンも熱くてくたくたー・・・」
元気な朱里とアルビーに対しハガネとエデンは「うへぇー」と舌をだして汗を手拭いで拭いている。
ルーファスが窓を開けて換気をすると余計に部屋の中は暑くなり、猛暑の凄さに窓を閉めてカーテンを閉める。
「外に比べれば中の方がまだ涼しいのか・・・」
「うん。さっきキリンちゃん達が焦げるって言いながら温泉に行っちゃったよ」
「温泉で熱いお湯の後でロビーに出ると涼しく感じるよねー」
「あー、俺等も汗だくだし温泉行くかー」
「エデンは水風呂が良いよぅ」
休憩と言いながらフラフラと製薬室をハガネ達が出て行くのを見送り、朱里は麦茶のガラス容器に蓋をしてからルーファスと一緒に部屋を出る。
「アカリ、部屋に戻って着替えないと駄目だな」
「ああー・・・結構汗かいてたや」
浴衣から汗で下着が見えているのを見て朱里が浴衣の裾を手でバサバサと動かすとルーファスが手を止めて「アカリ!」と声を上げる。
「なぁに?」
「はしたないから止めておけ」
「だって、べたべたして歩きにくいんだもの」
「わかった。オレが運んでいくから大人しくしていろ」
「えっ!いいよ!ルーファスまで汗で濡れちゃうよ?!わっ、わぁ!」
ルーファスが抱き上げると朱里は観念して部屋まで運ばれていく。
部屋に入ると少し冷やっとした空気が流れ、テーブルの上にはグリムレインの形をした氷が置いてある。
この氷はグリムレインの魔力で作った物で溶ける事はない為に冷房代わりに置いている物で、グリムレインが「我に感謝せよ!」と言いながら置いていった物である。
そんなグリムレインは今日も露店のアイスボックスでキリン達にアイスを強請っては街に吹雪を降らせて動き回っている。
「ふぁー・・・涼しい」
「アカリ、温泉に入って汗を流すぞ」
「はーい。あ、今日はティルとスタンプ集められました?」
「今日は2店舗行ってきた」
「うんうん。ならあと7スタンプだね」
「明日はミルア達も一緒に行くから賑やかになりそうだ」
「ふふふっ。男2人のスタンプ集めにお供が付いたね」
「最後はアカリの露店で終わりにするから早くアカリの作業が終わると良いんだがな」
「頑張ります!」
「今日はあれだけ作ったんだから休憩だ」
「えーっ、疲労ポーション飲んだのにぃ」
「なら、疲れてはいない訳だな」
「・・・あっ、その目は・・・」
朱里がじりっと後ずさると悪い笑顔のルーファスに壁に追い詰められたのだった。
しかし、買った物をカバンの中や馬車の中で放置して怪しくなってから食べてしまう客もいる為に、嘔吐に発熱と熱病と似た様な状態に陥る人々が出ていた。
「紛らわしい!」
「買った食べ物を放置して忘れて夜食べるとか・・・」
ハァーと、ため息をつきながら報告された医師にかかった患者の話にルーファスとマグノリア達、製薬部隊が「バカじゃないのか!」と騒いでは「熱病じゃなくて良かった」と、ホッと胸を撫でおろす。
「今の所、熱病患者は出ていないようだな」
「ええ、大抵の客はスタンプラリーで女将が作ったアイスとジュースを口にしてましたからね」
「他の店舗の露店にも女将が手を加えてて助かったってところですね」
ホッとしながらも小鬼の情報では乾燥した空気で病の感染が広がっていると言われ、何より熱を冷ます為の氷や水の不足が問題らしい。
死者も出ている為に各国では【病魔】の時と同様、気を張っている状態で、温泉大陸には既に入国を求める声や【病魔】の時の様に回復アイテムがあるのでは?と情報を求める声が届いている。
今現在、朱里がアルビー達とジュースと麦茶の製作をしており、麦茶は朱里が麦茶パックの布巾を手縫いして茶葉を入れてアルビーとエデンの出すお湯玉に入れて作る事で大量に出荷中である。
ジュースは麦茶が出来上がるまでの間に作って、ハガネがそこへ加わりミッカジャムの瓶詰が出来上がり、温泉大陸から冒険者ギルドの本部があるイルブールへ戻る冒険者に木箱いっぱいに持たせた。
受け取りは小鬼達の家なのだが、彼等ならばギルドの本部へも差し入れで持ち込めるので、熱病にかかった人に食べさせるように言ってある。
既にイルブールでも熱病患者が出ている報告があるので少し不味い状態ともいえる。
ギルドが立ち行かなくなれば、冒険者や国同士の情報が回らない事と、何かあった時に連携は取れていた方が良い為に小鬼達の責任は重大でもある。
勿論、小鬼達の熱病予防というのもある。
彼等の情報ネットワークに温泉大陸の小鬼から『温泉大陸の魔力をたっぷり含んだミッカは熱病を抑える効果がみられたんです。眉唾ですが試してください』と、言わせているので情報が正しいかどうかを調べたがる彼らは熱病患者の所に確実に持って行くだろうと思われる。
残った物はクッキーにつけて食べると美味しいから食べて良いですよとも言ってあるので、残れば小鬼達の美味しいティータイムに使われる事だろう。
「・・・と、そろそろアカリに休憩をいれさせないとな」
「ああ、女将ほっとくとずっと作ってますからね」
「さっき疲労回復ポーション飲んでましたよ」
ガタッとルーファスが椅子から立ち上がり、朱里に休憩をさせに向かうと、製薬部隊は「我々も熱病の対策ポーション開発しますかー」と席を立つ。
製薬部隊は二手に別れ、温泉大陸に残っているのは3人、外で熱病患者を直接診て製薬調合をしながらポーション開発をする2人で魔法通信の腕輪を使いつつ連絡を取って対応にあたって効果のある薬草などで調合を進めている。
ルーファスが朱里の作業場と化した製薬室に入るとムアッした熱気が扉を開けた瞬間出て行く。
麦茶を作っているお湯玉から大きなガラス容器に移し替える作業中だったらしく、「熱ーい」と朱里とアルビーが騒ぎながらガラス容器に手をペタペタと付けている。
「熱いならガラス容器から手を離したらどうだ?」
「あっ、ルーファス」
「でもね、ルーファス、熱いお茶がどんな熱さか触りたいじゃない?」
そんな事は無いと思う・・・と、ルーファスは思うが朱里とアルビーは「ねー」と声を揃えているので、そういう物なのかと少し悩むが、ハガネが「んなわけあるか!」と言ってエデンも頷いている事から、朱里とアルビーだけの特殊な考えだと思い直す。
「アカリ、アルビー達も休憩にしろ」
「はーい。でもね、疲労ポーション飲んだばかりなんだよ?」
「私もまだやれるよー!」
「俺は休みてぇよ」
「エデンも熱くてくたくたー・・・」
元気な朱里とアルビーに対しハガネとエデンは「うへぇー」と舌をだして汗を手拭いで拭いている。
ルーファスが窓を開けて換気をすると余計に部屋の中は暑くなり、猛暑の凄さに窓を閉めてカーテンを閉める。
「外に比べれば中の方がまだ涼しいのか・・・」
「うん。さっきキリンちゃん達が焦げるって言いながら温泉に行っちゃったよ」
「温泉で熱いお湯の後でロビーに出ると涼しく感じるよねー」
「あー、俺等も汗だくだし温泉行くかー」
「エデンは水風呂が良いよぅ」
休憩と言いながらフラフラと製薬室をハガネ達が出て行くのを見送り、朱里は麦茶のガラス容器に蓋をしてからルーファスと一緒に部屋を出る。
「アカリ、部屋に戻って着替えないと駄目だな」
「ああー・・・結構汗かいてたや」
浴衣から汗で下着が見えているのを見て朱里が浴衣の裾を手でバサバサと動かすとルーファスが手を止めて「アカリ!」と声を上げる。
「なぁに?」
「はしたないから止めておけ」
「だって、べたべたして歩きにくいんだもの」
「わかった。オレが運んでいくから大人しくしていろ」
「えっ!いいよ!ルーファスまで汗で濡れちゃうよ?!わっ、わぁ!」
ルーファスが抱き上げると朱里は観念して部屋まで運ばれていく。
部屋に入ると少し冷やっとした空気が流れ、テーブルの上にはグリムレインの形をした氷が置いてある。
この氷はグリムレインの魔力で作った物で溶ける事はない為に冷房代わりに置いている物で、グリムレインが「我に感謝せよ!」と言いながら置いていった物である。
そんなグリムレインは今日も露店のアイスボックスでキリン達にアイスを強請っては街に吹雪を降らせて動き回っている。
「ふぁー・・・涼しい」
「アカリ、温泉に入って汗を流すぞ」
「はーい。あ、今日はティルとスタンプ集められました?」
「今日は2店舗行ってきた」
「うんうん。ならあと7スタンプだね」
「明日はミルア達も一緒に行くから賑やかになりそうだ」
「ふふふっ。男2人のスタンプ集めにお供が付いたね」
「最後はアカリの露店で終わりにするから早くアカリの作業が終わると良いんだがな」
「頑張ります!」
「今日はあれだけ作ったんだから休憩だ」
「えーっ、疲労ポーション飲んだのにぃ」
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