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17章
氷竜とお嫁さま
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温泉大陸にグリムレイン達が旅行から戻って直ぐリュエールが職場放棄をして自宅から出なくなったのは予想通りで、シュトラールはサボった代償に『踊り子』達が訪れている期間は救護班として駆り出されることになった。
「なんでオレだけー?!」
「シューがサボるからだ。まったく、家を買って貯金もないのにサボる奴があるか!」
ルーファスに引きずられてシュトラールが連れて行かれるのを土産を持って朱里とグリムレインが見送った。
フィリアが疲れた顔で見送っているのでそろそろ休憩は必要だったのだろう。
「フィリアちゃんお土産のチョコレート良かったら食べてね」
「我からは冬リンゴの蜂蜜漬けだ」
「ありがとうございます。お義母様にグリムレイン様」
フィリアが頭を下げながら家に上がっていくか声を掛けてきたが朱里とグリムレインはまだ土産を配り歩くのでシュトラール宅をあとにする。
隣りのイルマール宅へ行き、リリスに土産を渡し【刻狼亭】の問題でイルマールに年末の忙しい時期に仕事を回してしまった事を謝りつつ、「年末は入り用だからお金が増えるのは良い事だから気にしないで下さい」と大人な対応をされて、リリスちゃん大人になって・・・と、朱里がしみじみ成長を噛みしめる。
「あーりすさーん」
「アカリっちぃー!おかえりっしょー!」
「はい!お土産お土産!じゃんじゃーん!」
「うわー!この間抜けな顔・・・どこかで・・・」
白いカピバラ人形をありすに渡し、2人がキャッキャッと年甲斐もなくはしゃぎ「カピバラですよ!この世界だと白いらしくて、でも温泉入ってましたよー!」と朱里が話をしてありすが「この温泉大陸にもカピバラ欲しーっしょ!」と朱里と同じ事を言う。
朱里とありすは会うといつもこの様な感じのテンションなのでグリムレインもあえて何かを言ったりはしない。
大人しくありすにお土産の冬リンゴのシードルを渡して次へ向かう。
小料理屋【もんふぇ】でリグリスにお土産を渡し、リュエール達の幼馴染の実家の店にもお土産を渡して周り、最後に【刻狼亭】へ持って行く。
「アカリ!おかえりなさい!」
「アカリ!おかえりなさい!」
山吹色の狐獣人のタマホメとメビナが尻尾を振りながらお土産の袋を目をキラキラさせて見つめフロントカウンターから出てきたシュテンに頭を帳簿でコツコツと叩かれていた。
「お土産の冬リンゴの飴缶とジャム瓶。あとシュテンには樽酒入りのチョコね」
「我からは氷の結晶を模った帯留めだ。3人で揃いだ」
「ありがとうございます。女将にグリムレイン」
「ありがとーアカリ!グリムレイン!」
「ありがとうアカリ!グリムレイン!」
ピョンピョンと跳ねる狐幼女たちに見送られて事務所へ行くと、算盤の音がジャーカチカチカチと規則正しくそして素早く音を立てて事務員が機械の様に手を動かしていた。
「お疲れ様です。旅行のお土産持って来たんだけど・・・ココに置いておきますので、休憩の時にでも食べてくださいねー」
「我からのもココに置いておくぞ」
テンが少し手を小さく振って書類仕事をしている。
トテテと小鬼が走ってきて「お土産ですか?」とニコニコして朱里達の元へ来る。
手で小鬼を拾い上げてテーブルの上に置くと小鬼は早速お土産の木箱を開けてチョコレートを1粒持って「チョコですね!」と大きな口を開ける。
「あっ、小鬼さんそれお酒入りよ?大丈夫?」
「・・・じゃあ駄目ですね」
「小鬼さんにはこっち。冬リンゴのジャムとスティックビスケット。あとね、クリスタルで作ってあるティーカップ買ってきたんだよ。ほら、林檎の形してて小さくて可愛いでしょ?テンとお揃いだからお茶の時に使ってね」
「わぁ!ありがとうございます!テンさーん!お揃いのティーカップですよ!」
テーブルの上で小鬼が騒ぐとテンが振り向いてニコッと笑って頷くとまた書類仕事を始める。
「テン忙しそうね?」
「そうなんです。もうお仕事終わってるんですけど、他にも危ない人間が居ないか過去の書類も合わせて再調査してて、あと他の人は今年の『踊り子』達の花魁道中の経費の計算が忙しいのです」
「あらら。でも小鬼さん怪我しちゃったからテンも心配なのね。もう大丈夫?」
「僕は元気です!温泉も毎日入ってますよ!」
両手を上げてガッツポーズで小鬼がフンフーンと鼻息を荒く元気アピールをする。
腕をブンブンと回して早速お土産のジャムを開けようと瓶に手を回してジタバタと蓋と格闘する小鬼に朱里が「よぉーし」と手を貸すと意外と硬く締まっており、「ふんぬっ!」と声を出すと、ぬっと手が伸びてきて蓋をカポンと開ける。
「はい。どうぞ」
「テンさーん!」
「おお、テンが動いたっ!!」
小鬼と朱里が「愛だね!」と騒ぐとテンはお湯玉でお土産のティーカップを温めて朱里がお土産袋から冬リンゴを使ったアップルティーの茶葉を出して「はい!」と差し出す。
テンが小鬼とティータイムを始めたので朱里はグリムレインを連れて、次のお土産配りへ向かう。
従業員の休憩室へお土産の冬リンゴクッキーを置き、従業員宿舎の方へ向かい従業員宿舎に樽酒入りチョコを山積みにし、グリムレインは雪粉饅頭を山積みにした。
「よし、任務完了であります!」
「うむ。我と嫁はよくやった!」
ビシッと2人で敬礼して「あははは」と声を出して笑いながら宿舎を後にする。
「グリムレイン、旅行途中で中断になってごめんね」
「それは仕方がない。チビッ子共が大事だしの」
「もしあのまま旅行が続いていたら何所に行ってたの?」
「次はオクシャン都市の古代遺跡探索に行くつもりだった。冬の間にしか見れない死都を見に行くつもりだった」
「何だか不穏な都市なんですけど?」
「消えた筈の都市が冬の寒さで元の都市の形に戻る様は中々に見物だぞ」
「不思議な感じ?」
「ああ、原理がわからん。浪漫だな」
何もない古代都市跡地に冬の間だけ氷で元の都市が復元されるという現象が起きる、この世界の7不思議の1つがこのオクシャン都市の死都の復元と言われている。
ドラゴンですらよくわからない古代都市なので知識の宝庫ドラゴン達は謎をいつか解明できる日を楽しみにしているのだとか。
「グリムレイン、また旅行に行こうね」
「ああ。我がまた嫁を連れて行こう」
「ふふっ、とりあえず今回の旅行、お疲れ様でした!」
「うむ。小腹が空いたの。何か買っていくか?」
「はい!グリムレインに賛成です!買い食いしましょ!」
朱里とグリムレインが仲良く並んで焼き包子を食べて、偶然シュトラールを救護班に叩き込んできた帰りのルーファスに見つかるのは少し後だった。
「なんでオレだけー?!」
「シューがサボるからだ。まったく、家を買って貯金もないのにサボる奴があるか!」
ルーファスに引きずられてシュトラールが連れて行かれるのを土産を持って朱里とグリムレインが見送った。
フィリアが疲れた顔で見送っているのでそろそろ休憩は必要だったのだろう。
「フィリアちゃんお土産のチョコレート良かったら食べてね」
「我からは冬リンゴの蜂蜜漬けだ」
「ありがとうございます。お義母様にグリムレイン様」
フィリアが頭を下げながら家に上がっていくか声を掛けてきたが朱里とグリムレインはまだ土産を配り歩くのでシュトラール宅をあとにする。
隣りのイルマール宅へ行き、リリスに土産を渡し【刻狼亭】の問題でイルマールに年末の忙しい時期に仕事を回してしまった事を謝りつつ、「年末は入り用だからお金が増えるのは良い事だから気にしないで下さい」と大人な対応をされて、リリスちゃん大人になって・・・と、朱里がしみじみ成長を噛みしめる。
「あーりすさーん」
「アカリっちぃー!おかえりっしょー!」
「はい!お土産お土産!じゃんじゃーん!」
「うわー!この間抜けな顔・・・どこかで・・・」
白いカピバラ人形をありすに渡し、2人がキャッキャッと年甲斐もなくはしゃぎ「カピバラですよ!この世界だと白いらしくて、でも温泉入ってましたよー!」と朱里が話をしてありすが「この温泉大陸にもカピバラ欲しーっしょ!」と朱里と同じ事を言う。
朱里とありすは会うといつもこの様な感じのテンションなのでグリムレインもあえて何かを言ったりはしない。
大人しくありすにお土産の冬リンゴのシードルを渡して次へ向かう。
小料理屋【もんふぇ】でリグリスにお土産を渡し、リュエール達の幼馴染の実家の店にもお土産を渡して周り、最後に【刻狼亭】へ持って行く。
「アカリ!おかえりなさい!」
「アカリ!おかえりなさい!」
山吹色の狐獣人のタマホメとメビナが尻尾を振りながらお土産の袋を目をキラキラさせて見つめフロントカウンターから出てきたシュテンに頭を帳簿でコツコツと叩かれていた。
「お土産の冬リンゴの飴缶とジャム瓶。あとシュテンには樽酒入りのチョコね」
「我からは氷の結晶を模った帯留めだ。3人で揃いだ」
「ありがとうございます。女将にグリムレイン」
「ありがとーアカリ!グリムレイン!」
「ありがとうアカリ!グリムレイン!」
ピョンピョンと跳ねる狐幼女たちに見送られて事務所へ行くと、算盤の音がジャーカチカチカチと規則正しくそして素早く音を立てて事務員が機械の様に手を動かしていた。
「お疲れ様です。旅行のお土産持って来たんだけど・・・ココに置いておきますので、休憩の時にでも食べてくださいねー」
「我からのもココに置いておくぞ」
テンが少し手を小さく振って書類仕事をしている。
トテテと小鬼が走ってきて「お土産ですか?」とニコニコして朱里達の元へ来る。
手で小鬼を拾い上げてテーブルの上に置くと小鬼は早速お土産の木箱を開けてチョコレートを1粒持って「チョコですね!」と大きな口を開ける。
「あっ、小鬼さんそれお酒入りよ?大丈夫?」
「・・・じゃあ駄目ですね」
「小鬼さんにはこっち。冬リンゴのジャムとスティックビスケット。あとね、クリスタルで作ってあるティーカップ買ってきたんだよ。ほら、林檎の形してて小さくて可愛いでしょ?テンとお揃いだからお茶の時に使ってね」
「わぁ!ありがとうございます!テンさーん!お揃いのティーカップですよ!」
テーブルの上で小鬼が騒ぐとテンが振り向いてニコッと笑って頷くとまた書類仕事を始める。
「テン忙しそうね?」
「そうなんです。もうお仕事終わってるんですけど、他にも危ない人間が居ないか過去の書類も合わせて再調査してて、あと他の人は今年の『踊り子』達の花魁道中の経費の計算が忙しいのです」
「あらら。でも小鬼さん怪我しちゃったからテンも心配なのね。もう大丈夫?」
「僕は元気です!温泉も毎日入ってますよ!」
両手を上げてガッツポーズで小鬼がフンフーンと鼻息を荒く元気アピールをする。
腕をブンブンと回して早速お土産のジャムを開けようと瓶に手を回してジタバタと蓋と格闘する小鬼に朱里が「よぉーし」と手を貸すと意外と硬く締まっており、「ふんぬっ!」と声を出すと、ぬっと手が伸びてきて蓋をカポンと開ける。
「はい。どうぞ」
「テンさーん!」
「おお、テンが動いたっ!!」
小鬼と朱里が「愛だね!」と騒ぐとテンはお湯玉でお土産のティーカップを温めて朱里がお土産袋から冬リンゴを使ったアップルティーの茶葉を出して「はい!」と差し出す。
テンが小鬼とティータイムを始めたので朱里はグリムレインを連れて、次のお土産配りへ向かう。
従業員の休憩室へお土産の冬リンゴクッキーを置き、従業員宿舎の方へ向かい従業員宿舎に樽酒入りチョコを山積みにし、グリムレインは雪粉饅頭を山積みにした。
「よし、任務完了であります!」
「うむ。我と嫁はよくやった!」
ビシッと2人で敬礼して「あははは」と声を出して笑いながら宿舎を後にする。
「グリムレイン、旅行途中で中断になってごめんね」
「それは仕方がない。チビッ子共が大事だしの」
「もしあのまま旅行が続いていたら何所に行ってたの?」
「次はオクシャン都市の古代遺跡探索に行くつもりだった。冬の間にしか見れない死都を見に行くつもりだった」
「何だか不穏な都市なんですけど?」
「消えた筈の都市が冬の寒さで元の都市の形に戻る様は中々に見物だぞ」
「不思議な感じ?」
「ああ、原理がわからん。浪漫だな」
何もない古代都市跡地に冬の間だけ氷で元の都市が復元されるという現象が起きる、この世界の7不思議の1つがこのオクシャン都市の死都の復元と言われている。
ドラゴンですらよくわからない古代都市なので知識の宝庫ドラゴン達は謎をいつか解明できる日を楽しみにしているのだとか。
「グリムレイン、また旅行に行こうね」
「ああ。我がまた嫁を連れて行こう」
「ふふっ、とりあえず今回の旅行、お疲れ様でした!」
「うむ。小腹が空いたの。何か買っていくか?」
「はい!グリムレインに賛成です!買い食いしましょ!」
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