黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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27章

ドラゴンハーレム19

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 流石にルーファスも小さな子供の前で大人げない事も出来ないようで、威嚇は眉間にしわを少し寄せる程度。
 でもスッカリ日南子さんを畏縮いしゅくさせ、フリーレンくんを脅えさせている。
 可哀想に尻尾が足の間でくるんとしていて、小さな手で自分の尻尾を持っているのだから……うちのスクルードを見ているようで可愛いかなー? とは、思うけどね。

「ルーファス。小さな子を苛めたら駄目よ」
「苛めてはいない」
「なら、その眉間のしわを元に戻してちょうだいな。ごめんなさいね、この人ったら、私の事になると周りが見えないから」
「こちらこそ、番持ちの方には同姓とはいえ、配慮すべきでした」
「ごめんなさい……」

 旦那さんのグーエンさんが小さく頭をさげると日南子さんも深々と頭をさげて、フリーレンくんと同じ様な顔で眉が下がっている。

「何か私に話があるのでしょう? 立ち話もなんですし、そこら辺でお茶でもしましょう」

 私の提案に素直に応じてくれて、ホール内にある【刻狼亭】が出品している喫茶店に入った。
 うちもね、温泉鳥の卵を使ったお菓子を色々と、お洒落な感じに売り出しているのですよ。【刻狼亭】らしさを求めると和風っぽい感じにはなるけれど、そこは【もんふぇ】と共同開発で洋風との融合をしている。
 
「おススメは、この温泉鳥の卵たっぷりのスフレに黒蜜ジェルと魔牛のソフトクリーム添えね」
「うわぁ~。スフレ! ああ! このメニュー表、これ写真! この世界にカメラがあるんですか!?」
「うふふ。まだ少しお高いけど、私と同じ様に日本からこの世界に来た人が作ったのよ」
「カメラ……!! お幾ら万円ですか!? これはもう、フリーレンの成長記録の為にも、わたし、大枚はたいちゃいます!」
「子供の可愛い姿は撮っておきたいものね。確か今開発中のスマートフォン型カメラが、あった気がするのよねー」
「スマートフォン!?」

 日南子さんががぶり寄りで私とメニュー表に食いつき、私も携帯が自分と一緒にこの世界に落ちていて、自分の手元に戻った時に喜んだものだなぁと懐かしく感じる。
 あれから、ありすさんのおかげでカメラも充実してきたのよね。
 私はルーファスの異空間倉庫を漁り、スマートフォン型のカメラを取り出す。

「はい。これよ。使い方はわかるかしら?」
「分かります! スマートフォン世代なので……って、朱里さんも、ですよね?」
「一応ね。でも、私は携帯を使っていたから、スマートフォンはそこまで使えないのよね」
「そうなんですか。わっわっ! 四年ぶりに、スマートフォンだぁ~」

 目を輝かせる日南子さんに可愛いなぁと目を細めると、グーエンさんも愛おしそうに日南子さんを見つめている。
 ルーファスも美形だとは思うけど、グーエンさんの美形具合とは違うのよね。
 氷の美しさを兼ね備えているようで、冷たいように見えて日南子さんとフリーレンくんにだけは、小春日和の暖かな柔らかさを出している。
 うん。美形は目の保養よねぇ。
 
「アカリ……」
「うん? なぁに? ルーファス」
「オレが一番だよな」
「そんなどすの利いた声で言わなくても、ルーファスが一番ですよ。何を言っているの」
「アカリがそいつを見る目が違うからだ」

 あらまぁ、目ざとい。
 浮気じゃなくて、これは目の保養。アイドル枠というか俳優を見るようなものである。
 うん。断じて、違うんだけど……ルーファスの目が怖い。
 嫉妬の文字が浮かんでいる。

「えーと、そうだ。スーとコハルでも連れてこようかしら! 甘味を食べさせてあげたいしね」
「アカリ。話はまだ……」
「行ってきます!」

 ルーファスに詰め寄られそうなのな予感に、私はすぐさま移転魔法で自宅へゴーよ。
 自宅ではミルアが子供達の相手にぐったりしていたから、シャルちゃんとコハルとスクルードを連れて再び戻ってきた。 
 戻るとルーファスが注文をしてくれていたらしく、テーブルには大量の甘味が並んでいた。

「ルーファス、これは……」
「何を食うか分からなかったからな」
「もう。こんなにいっぱい頼んじゃって……」
「わぁ! ちちうえ、しゅごーい!」
「……じぃじ、しゅごーい」
「いっぱいだね。父上」

 ああ、コハルやシャルちゃんにスクルードに満漢全席状態の甘味を目で楽しませてあげたかったのね。
 まったく、こういうところはお金持ちのお坊ちゃんなんだから。
 日南子さんはメモをしていて、グーエンさんはフリーレンくんにメニューを見せている。

「フリーレンくん。うちのスクルードにコハル。そして孫のシャルちゃんだよ。仲良くしてあげてね。ほら、皆も、新しいお友達のフリーレン君だよ。ご挨拶して」

 食べ物から三人をフリーレンくんの方へ向かせると、ここで興味津々で近付くのは、やっぱりコハルで、早速両手を広げてハグをする。

「ふりゅりゅー、ようしくね!」
「よろしく……ね?」

 コハルに抱きつかれたフリーレン君は首を傾げて状態が把握できていないようで、私としては微笑ましいなぁと思うのだけど、ルーファスとスクルードは同じような顔をしてムッとした表情だ。
 大事な娘と妹が男の子に抱きつくのは嫌みたい。 
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