49 / 58
可愛い ※
しおりを挟む
ギシギシと畳で出来たベッドが軋み、メイデルが強い力で逃げる腰を捕まえて、後ろから穿たれては音を響かせる。家に帰ってきて、どのくらいの時間が経ったのか発情した頭では判別がつかず、ただ求めて求められてをお互いに繰り返し、先にギブアップしたのは体力のない俺の方だった。
「んっあっ、や……もっと、ゆっく、り……っ、あ、や……っ!」
「覚悟、して下さいと、言ったはずですよ……っ、ん」
力強く奥まで突き入れられて、ゴリッと奥に当たる。
足がガクガクと震えて、シーツを握り締めて呼吸を乱す。それでもメイデルは休ませてはくれず、また覆いかぶさるように激しく腰を突き動かしてきた。
「っ、あっ、ううっ!」
「素直に、乱れてしまいなさい」
イヤイヤと首を振れば、首筋の裏をキツく噛まれ、奥を深く抉るように楔を打ち込まれる。
下がってきた子宮に先端を擦り合わせて、ドクリと精を放つ。
中に注ぎ込まれて発情が治まりを見せ、冷静な思考が戻り始めてしまうと散々乱れた後で、また乱れることも出来ずにいる。
シーツをギュッと握り締めると、握り締めた手の上からメイデルの手が重なってきた。
「何を、意地を張っているんです?」
「いじ、なんか……んっ、はって、ない……」
「そうですか」
乱れた吐息混じりに図星を突かれて、否定した。
ゆっくりとメイデルが腰を引くと、腸壁がカリ部分に撫でられるように擦られて快感が背筋をゾクリと粟立たせる。
「ひっ、う……っ、……っ!」
抜き去られると思っていた雄は、また奥まで穿たれ、声にならない悲鳴が上がる。
もう快感なのか拷問なのかも分からない。
「後ろからだと、サキさんの顔が見えないですね」
「んぐっ」
片足を持たれて、そのまま横を向いたまま腰を動かして、俺の感じる弱い部分を先端で断続的に擦っては、イキそうになると意地悪をするようにゆっくりと焦らして動かしてくる。
「やめ……っ、それ、やだ……っ、あ、っ……」
「サキさんの泣きそうな顔、可愛くて、そそりますね」
「……っ!」
「んっ、締めつけなくても、まだ可愛がってあげますよ」
そうじゃないと思いながらも、抉るように肉壁をカリ部分で摩擦されて、甘く痺れた快感に身を任せてイッてしまえば、あとは求められるままに嬌声を上げ続けさせられるだけだった。
***********(メイデル視点)********
ふぅ、と一息ついて、横で気を失うように寝てしまったサキを見る。実際、気を失わせてしまった自覚もある。
自分の満たされない何かを満たす『運命の番』と、こうして出会い、体を繋げることが出来ることにタガが外れてしまうのも、致し方ない事だろう。
体の相性が良すぎて自分でも止められないところがある。
「サキが可愛いのが、悪い」
呟いてから眠るサキを見れば、眉間にしわを寄せ「可愛いって、言うな……」と寝言が返ってきた。
そういえば、最中も「可愛い」と言えば中がギュッと締まりが良くなったな。と、思い出す。
サラサラとしたサキの黒髪を手で触り、頬にキスをする。
今、自分は一番幸せだと思えるひと時を過ごしていることに感謝したい。
「サキが一番かわ……」
ドンドンドン……『ちょっと! 僕を待たせるとか、ありえないんだけどー!』と、声が部屋の外から聞こえる。
折角の幸せのひと時も、サキの弟と名乗る口煩いシズクに関わると台無しにされる。本当に邪魔な奴でもあるのだ。
サキを起こしては可哀想だと、部屋を出て行くと、姿かたちだけは少年のようなシズクが立っている。
「遅いんだけど? まったく、三日間もやるとか無茶させ過ぎだからね!」
「……三日も経っていたか」
「ちょっと、日付の感覚くらい持ちなよね! うちの咲は、オッサンと違って軍人並みの体力なんか無いんだからね!」
それは自分でも反省しているところだが、キャンキャン子犬のように吠えられてはたまらない。
三日も経っていたとは、夢中になり過ぎた事には反省をしなくては……
「サキが可愛すぎて、抑えが効かなかったようだ」
「オッサン。その『可愛い』は咲に禁句だからね? あんまり言ってると逃げられるから」
シズクに睨み上げられ、何を言っているのだ? と、肩をすくめれば、シズクはフンと鼻で言ってそっぽを向く。
本当に可愛くない弟だ。
「サキはね、オメガの組織で他のオメガに比べられて『平凡な顔』って言われてたし、『売れ残り』だったから、普通の顔なのに、極端に自分の顔を嫌ってるんだよ」
「お前がそうしていたんじゃないのか? お前はサキを気に入っているからな」
「そりゃね、サキをオメガの商品として、客に出すのは禁止はさせてた。でもね、元々、あの組織のオメガは僕みたいに可愛い子や、ササメみたいな綺麗どころばかりで、咲は埋もれちゃうんだよ」
まさかサキが、そんな事を気にしているとは思わなかった。
しかし、思い出せば……サキに「可愛い」と言った時に、「可愛くないから」と返されたこともあった。そして少し目を逸らしたりしていたが、あれは恥ずかしがっている訳ではなかったのか。
行為の最中も、恥ずかしがっての締めつけではなく、傷ついて身を固めていただけだったのだろうか?
「サキが起きたら、色々話し合わなくてはな……」
溜め息混じりに呟くと、幸せな気分は重く苦いものに変わってしまった。
「んっあっ、や……もっと、ゆっく、り……っ、あ、や……っ!」
「覚悟、して下さいと、言ったはずですよ……っ、ん」
力強く奥まで突き入れられて、ゴリッと奥に当たる。
足がガクガクと震えて、シーツを握り締めて呼吸を乱す。それでもメイデルは休ませてはくれず、また覆いかぶさるように激しく腰を突き動かしてきた。
「っ、あっ、ううっ!」
「素直に、乱れてしまいなさい」
イヤイヤと首を振れば、首筋の裏をキツく噛まれ、奥を深く抉るように楔を打ち込まれる。
下がってきた子宮に先端を擦り合わせて、ドクリと精を放つ。
中に注ぎ込まれて発情が治まりを見せ、冷静な思考が戻り始めてしまうと散々乱れた後で、また乱れることも出来ずにいる。
シーツをギュッと握り締めると、握り締めた手の上からメイデルの手が重なってきた。
「何を、意地を張っているんです?」
「いじ、なんか……んっ、はって、ない……」
「そうですか」
乱れた吐息混じりに図星を突かれて、否定した。
ゆっくりとメイデルが腰を引くと、腸壁がカリ部分に撫でられるように擦られて快感が背筋をゾクリと粟立たせる。
「ひっ、う……っ、……っ!」
抜き去られると思っていた雄は、また奥まで穿たれ、声にならない悲鳴が上がる。
もう快感なのか拷問なのかも分からない。
「後ろからだと、サキさんの顔が見えないですね」
「んぐっ」
片足を持たれて、そのまま横を向いたまま腰を動かして、俺の感じる弱い部分を先端で断続的に擦っては、イキそうになると意地悪をするようにゆっくりと焦らして動かしてくる。
「やめ……っ、それ、やだ……っ、あ、っ……」
「サキさんの泣きそうな顔、可愛くて、そそりますね」
「……っ!」
「んっ、締めつけなくても、まだ可愛がってあげますよ」
そうじゃないと思いながらも、抉るように肉壁をカリ部分で摩擦されて、甘く痺れた快感に身を任せてイッてしまえば、あとは求められるままに嬌声を上げ続けさせられるだけだった。
***********(メイデル視点)********
ふぅ、と一息ついて、横で気を失うように寝てしまったサキを見る。実際、気を失わせてしまった自覚もある。
自分の満たされない何かを満たす『運命の番』と、こうして出会い、体を繋げることが出来ることにタガが外れてしまうのも、致し方ない事だろう。
体の相性が良すぎて自分でも止められないところがある。
「サキが可愛いのが、悪い」
呟いてから眠るサキを見れば、眉間にしわを寄せ「可愛いって、言うな……」と寝言が返ってきた。
そういえば、最中も「可愛い」と言えば中がギュッと締まりが良くなったな。と、思い出す。
サラサラとしたサキの黒髪を手で触り、頬にキスをする。
今、自分は一番幸せだと思えるひと時を過ごしていることに感謝したい。
「サキが一番かわ……」
ドンドンドン……『ちょっと! 僕を待たせるとか、ありえないんだけどー!』と、声が部屋の外から聞こえる。
折角の幸せのひと時も、サキの弟と名乗る口煩いシズクに関わると台無しにされる。本当に邪魔な奴でもあるのだ。
サキを起こしては可哀想だと、部屋を出て行くと、姿かたちだけは少年のようなシズクが立っている。
「遅いんだけど? まったく、三日間もやるとか無茶させ過ぎだからね!」
「……三日も経っていたか」
「ちょっと、日付の感覚くらい持ちなよね! うちの咲は、オッサンと違って軍人並みの体力なんか無いんだからね!」
それは自分でも反省しているところだが、キャンキャン子犬のように吠えられてはたまらない。
三日も経っていたとは、夢中になり過ぎた事には反省をしなくては……
「サキが可愛すぎて、抑えが効かなかったようだ」
「オッサン。その『可愛い』は咲に禁句だからね? あんまり言ってると逃げられるから」
シズクに睨み上げられ、何を言っているのだ? と、肩をすくめれば、シズクはフンと鼻で言ってそっぽを向く。
本当に可愛くない弟だ。
「サキはね、オメガの組織で他のオメガに比べられて『平凡な顔』って言われてたし、『売れ残り』だったから、普通の顔なのに、極端に自分の顔を嫌ってるんだよ」
「お前がそうしていたんじゃないのか? お前はサキを気に入っているからな」
「そりゃね、サキをオメガの商品として、客に出すのは禁止はさせてた。でもね、元々、あの組織のオメガは僕みたいに可愛い子や、ササメみたいな綺麗どころばかりで、咲は埋もれちゃうんだよ」
まさかサキが、そんな事を気にしているとは思わなかった。
しかし、思い出せば……サキに「可愛い」と言った時に、「可愛くないから」と返されたこともあった。そして少し目を逸らしたりしていたが、あれは恥ずかしがっている訳ではなかったのか。
行為の最中も、恥ずかしがっての締めつけではなく、傷ついて身を固めていただけだったのだろうか?
「サキが起きたら、色々話し合わなくてはな……」
溜め息混じりに呟くと、幸せな気分は重く苦いものに変わってしまった。
1
あなたにおすすめの小説
氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。
水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。
「君はもう、頑張らなくていい」
――それは、運命の番との出会い。
圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。
理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
こじらせΩのふつうの婚活
深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。
彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。
しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。
裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
金色の恋と愛とが降ってくる
鳩かなこ
BL
もう18歳になるオメガなのに、鶯原あゆたはまだ発情期の来ていない。
引き取られた富豪のアルファ家系の梅渓家で
オメガらしくないあゆたは厄介者扱いされている。
二学期の初めのある日、委員長を務める美化委員会に
転校生だというアルファの一年生・八月一日宮が参加してくれることに。
初のアルファの後輩は初日に遅刻。
やっと顔を出した八月一日宮と出会い頭にぶつかって、あゆたは足に怪我をしてしまう。
転校してきた訳アリ? 一年生のアルファ×幸薄い自覚のない未成熟のオメガのマイペース初恋物語。
オメガバースの世界観ですが、オメガへの差別が社会からなくなりつつある現代が舞台です。
途中主人公がちょっと不憫です。
性描写のあるお話にはタイトルに「*」がついてます。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる