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悪女・シエラ皇女は黒幕
しおりを挟む「シエラ皇女、貴女を以上の罪状で死刑にする。」
まるで、オペラ劇場のような三階まである裁判場の回覧席。
360度を人に囲まれ恨み、憐れみ、殺気、様々な負の感情と、視線を浴びながら小刻みに震える脚にグッと力を入れた。
「ジェレミー!!私じゃないわ……。」
「お姉様…僕もこんな事信じたく無かったが…どうしてだ?!」
「違っ……」
身に覚えの無い数えきれない程の罪、中には殺人罪までもか含まれていた。
"容姿しか取り柄のない馬鹿な皇女"らしくジェレミアを皇帝にする為になんだって出来る事は協力したが、それらの罪は全く身に覚えの無いものであった。
ジェレミアがシエラの元に歩み寄って悲しそうに強く抱きしめる。
「ジェレ……
「姉様、最後のお願いだよ。皇帝になる為には必要だったんだ、全部だから…僕の為に死んで?」
「!!!!」
「大変残念だが…皇女は容姿を使って言葉巧みに罪を逃れようとするだろう。喉を潰して牢にいれておけ…。」
涙を流しながらそう言ったジェレミアに貴族や国民達は同情した。
前皇帝亡き後、実母である皇太后を亡くし血の繋がりが半分とはいえ、仲睦まじかった唯一の家族である姉は罪人として死刑になるのだ…。
それでなくてもジェレミアはその金髪碧眼、その美しくも甘い容姿に加えて表の顔は好青年で国民や多くの貴族からも支持を得ていた。
同じく偶然、金髪碧眼の本当に生きているのかと人形と見紛う程に整った顔に、真っ白な肌と絶妙なバランスの肢体。
だがシエラの実母はジェレミアの実母とは違う。
前皇帝の前妻である。その上、不貞によって出来た子であり偶々金髪碧眼であった為に皇族の醜聞となるその事実を伏せ、
子に罪は無いと今まで皇女として生かされてきた。
あからさまに毛嫌いする皇后と違って国王は優しかったが、あくまでそれは他人の距離感であった。
だがそれは実子であるジェレミア自体も同じで可愛がられていた訳ではなく、あくまで王太子に接する国王であった。
孤独という意味ではシエラとジェレミアは一番似た立ち位置に居たのではないかと思っていたし、シエラは何と言われようとジェレミアを弟として愛していたから、辛いことも引き受けて来た。
ジェレミアの仕事のおかげで初恋であり婚約者のリヒト・マッケンゼンとも良い関係とは言えなかったがこの春には婚姻を結ぶ予定であった。
ジェレミアはあまりいい顔をしなかったが、嫌われてるいようと初恋の人。この婚姻だけは是が非でも通すつもりだった。
(人生で唯一、自分で望んだ事だったのに…)
冷たい地下の最下層、厳重な牢で喉を潰され視界を奪われたままに囚われるシエラを尋ねたのはその後、たった二人であった。
どちらも見知った匂いに感じたが、シエラはもう意識も薄くはっきりと認識出来なかった。
一人は優しく頬を撫で、何か言った気がしたが
一人はそっと目の前に膝をついて泣いているような声だけが聞こえた気がするだけであった。
(思い出せない…だれ?…)
「皇女殿下….、皇女殿下っ!!??」
「ーーッ!!!!!!」
「よかった!お目覚めになられて…階段で脚を滑らせてからもう2日も寝ていらしたのですよ…!」
「へ…っ?今は…何年かしら。」
「438年でございます、」
「季節は…」
「春でございます。本日は4月の13日です。」
「夢…」
「??」
(まだ、意識が定まっておられないのかしら?)
「いえ、何でもないわ。」
(妙にリアルだった。あれは夢ではなく過去に体験した事よ。何故だか分からないけれど、私は戻って来た。幸いまだかなり時間はある…。)
「ジェレミア殿下が目覚めたらお呼びするようにと…、」
「…っ!ええ、…準備をお願い。」
「ですがまだ目覚められたばかりです!まず医者に…!」
「大丈夫よ。すぐに準備して頂戴…。」
「…かしこまりました。」
ー絶対に同じ結末だけは避けなきゃ。
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