56 / 56
幸せなんて言い表せない程
しおりを挟む
シュテルン侯爵の挙式は近しい者だけで、ロマンチックな式が挙げられたという。その代わり披露宴は盛大で、すっかり整い潤ったシュテルン領での盛大な披露宴には国中の者達が集まった。
隣の観光地であるバロウズ領のアフェットでは、元来恋人達の聖地ということもあり、隣のシュテルン侯爵夫人がバロウズの令嬢だと言う事も相まってイルザに言わせれば「相乗効果だ、儲かった」らしい。
すっかりと、軍事と魔道具のシュテルンとなったこの領地では今も人が賑わいディートリヒやイブリアの強さに憧れる猛者達も集まっていた。
ディートリヒは他国にも知れ渡る名将シュテルン侯爵となった。
その数年後、無事にすくすくと育っている子供とディートリヒは戸惑いながらも遊んでいる。
公務の隙間を縫ってイブや子供達とは良く時間を作り、自分が親に遊んで貰った記憶こそ無いので戸惑いながらも、良き父となっていた。
「ふふっ、すっかりお父さんねディート」
「……嬉しいですね。イブは座ってて、身体に触ります」
「ママ、びょうきなのー?」
「もう、相変わらず心配性なんだから。大丈夫よルシア」
イブリアのものより暗めの桃色の髪と真っ白な肌、深い紫の中に星空を詰め込んだような美しい瞳は涼しげで何処となく目元はディートリヒに似ている幼い少年はルシアと名付けられた。
「ルシア、母上のお腹には妹が居るんだ」
「わぁい!ぼく楽しみにしてたんだ!お兄ちゃんになるの!」
「ふふっ、パパも凄く楽しみにしてるのよ勿論ママも。同じね」
「やったぁ!ぼくが妹を守ってあげるんだ!」
「見て!」そう言ったルシアが両手に見せる魔法の渦は余りにも子供にしては精巧で強い。「「えっ」」と驚いたように顔を見合わせた二人は幼い頃に自分達が大人にそんな顔をさせた事を思い出し、可笑しくて笑った。
「ーっふふ!懐かしいわね」
「イブと僕の子ですね。ルシアは凄いなぁきっと強くなるぞ」
「ママとパパみたいに?」
「ええ」
「そうだな、その力は守る為に使うんだぞ」
「分かった!パパママのこと一日中守ってるもんね!」
「え……」
「ずっと気にしてる!僕とママを、僕も気配がわかるもん」
「……っふふふ!!」
「イブ、笑わないで下さい」
「ルシア、パパは……ディートはね。小さな頃からずっとママを守ってくれているの」
「あいしてるから?」
「まぁ!」
「ママ、顔があかいよ」
「そう。愛してるからだよ」
「パパ!じゃあ僕のこともあいしてるってこと?」
「ああ、勿論愛してるよ」
片腕にイブリアを引き寄せて、もう片方でルシアを抱き上げたディートリヒは二人の頬にキスをして愛おしげに目を細めた。
「おーい、お前たち。俺も父になるが、先ずはこの可愛い甥っ子を愛してるぞ~~!!」
「カミル……また突然だな」
「ディートリヒさん、イブちゃん突然御免なさい。カミルったら聞かずに勝手にゲートを開くのよ」
「お兄様ったら」
カミルもまた、父となりマルティナのお腹には双子が宿っている。
相変わらず騒がしいものの出来る限りマルティナを手放さずにあれこれ気遣っている姿は微笑ましく、ルシアの事もまたよく可愛がっていた。
マルティナもまたイブリアと仲良く、ルシアを可愛がってくれていたし、イブリアもまたマルティナとカミルの子を楽しみにしている様子だった。
「お義姉様、調子は?」
「ええ良好よ!時期が似ていそうね」
「この子達はアカデミーの同期になるわね」
イルザはすっかり丸くなり、イブリアだけでなくルシアにまで骨抜きで、イブリアとディートリヒ同様に幼い頃から度々大人を驚かせるルシアの才能に「懐かしいな」と目を細めて亡くなった妻の肖像画に語りかけていた。
結婚式の日に、セオドアから送られた貴船菊には「あなたを忘れない」という花言葉があったがそれと共に「薄れゆく愛」も意味する花で彼がイブリアへの想いを胸にしまって、前を向くという意思が宿っていた。
その言葉同様、彼は王太子として政略結婚ではあるが妃を迎えその責務を全うしている。
ルシアンは所属する部隊で近隣国による侵攻を防ぎ国境付近の村の救助と復興に貢献したという話が首都では話題になっているし、ティアードは実家の爵位を近々継ぐらしい。
レイノルドは相変わらずカミルに叱られては拗ねているが、着々と力をつけていて彼の父に認められる日もそう遠くないだろうとカミルは面倒そうに、けれど口元を緩めて話していた。
そんなルシアン達を「エリートだったはずが酷く遠回りしたな」と陰口を言う者は未だに沢山居るが、あの未熟なままの自分達がこの国を率いていた方が怖かった。
だからこれで良かったのだと、イブリアは目の前の幸せな家族の姿を噛み締めていた。
「皆、愛してるわ」
「ふふっ私もよ」
「あ!ずるいぞ!俺が一番愛してる!」
「僕も愛しています」
そう言ってイブリアの頬に口付けたディートリヒに「あ!」と声を上げたカミルに皆で笑った。
「ぼくが妹たちを守ってあげるんだ」
そう言ってイブリアとマルティナのお腹に触れたルシアに皆が心をぎゅっと掴まれたのは言うまでもなかった。
-fin
隣の観光地であるバロウズ領のアフェットでは、元来恋人達の聖地ということもあり、隣のシュテルン侯爵夫人がバロウズの令嬢だと言う事も相まってイルザに言わせれば「相乗効果だ、儲かった」らしい。
すっかりと、軍事と魔道具のシュテルンとなったこの領地では今も人が賑わいディートリヒやイブリアの強さに憧れる猛者達も集まっていた。
ディートリヒは他国にも知れ渡る名将シュテルン侯爵となった。
その数年後、無事にすくすくと育っている子供とディートリヒは戸惑いながらも遊んでいる。
公務の隙間を縫ってイブや子供達とは良く時間を作り、自分が親に遊んで貰った記憶こそ無いので戸惑いながらも、良き父となっていた。
「ふふっ、すっかりお父さんねディート」
「……嬉しいですね。イブは座ってて、身体に触ります」
「ママ、びょうきなのー?」
「もう、相変わらず心配性なんだから。大丈夫よルシア」
イブリアのものより暗めの桃色の髪と真っ白な肌、深い紫の中に星空を詰め込んだような美しい瞳は涼しげで何処となく目元はディートリヒに似ている幼い少年はルシアと名付けられた。
「ルシア、母上のお腹には妹が居るんだ」
「わぁい!ぼく楽しみにしてたんだ!お兄ちゃんになるの!」
「ふふっ、パパも凄く楽しみにしてるのよ勿論ママも。同じね」
「やったぁ!ぼくが妹を守ってあげるんだ!」
「見て!」そう言ったルシアが両手に見せる魔法の渦は余りにも子供にしては精巧で強い。「「えっ」」と驚いたように顔を見合わせた二人は幼い頃に自分達が大人にそんな顔をさせた事を思い出し、可笑しくて笑った。
「ーっふふ!懐かしいわね」
「イブと僕の子ですね。ルシアは凄いなぁきっと強くなるぞ」
「ママとパパみたいに?」
「ええ」
「そうだな、その力は守る為に使うんだぞ」
「分かった!パパママのこと一日中守ってるもんね!」
「え……」
「ずっと気にしてる!僕とママを、僕も気配がわかるもん」
「……っふふふ!!」
「イブ、笑わないで下さい」
「ルシア、パパは……ディートはね。小さな頃からずっとママを守ってくれているの」
「あいしてるから?」
「まぁ!」
「ママ、顔があかいよ」
「そう。愛してるからだよ」
「パパ!じゃあ僕のこともあいしてるってこと?」
「ああ、勿論愛してるよ」
片腕にイブリアを引き寄せて、もう片方でルシアを抱き上げたディートリヒは二人の頬にキスをして愛おしげに目を細めた。
「おーい、お前たち。俺も父になるが、先ずはこの可愛い甥っ子を愛してるぞ~~!!」
「カミル……また突然だな」
「ディートリヒさん、イブちゃん突然御免なさい。カミルったら聞かずに勝手にゲートを開くのよ」
「お兄様ったら」
カミルもまた、父となりマルティナのお腹には双子が宿っている。
相変わらず騒がしいものの出来る限りマルティナを手放さずにあれこれ気遣っている姿は微笑ましく、ルシアの事もまたよく可愛がっていた。
マルティナもまたイブリアと仲良く、ルシアを可愛がってくれていたし、イブリアもまたマルティナとカミルの子を楽しみにしている様子だった。
「お義姉様、調子は?」
「ええ良好よ!時期が似ていそうね」
「この子達はアカデミーの同期になるわね」
イルザはすっかり丸くなり、イブリアだけでなくルシアにまで骨抜きで、イブリアとディートリヒ同様に幼い頃から度々大人を驚かせるルシアの才能に「懐かしいな」と目を細めて亡くなった妻の肖像画に語りかけていた。
結婚式の日に、セオドアから送られた貴船菊には「あなたを忘れない」という花言葉があったがそれと共に「薄れゆく愛」も意味する花で彼がイブリアへの想いを胸にしまって、前を向くという意思が宿っていた。
その言葉同様、彼は王太子として政略結婚ではあるが妃を迎えその責務を全うしている。
ルシアンは所属する部隊で近隣国による侵攻を防ぎ国境付近の村の救助と復興に貢献したという話が首都では話題になっているし、ティアードは実家の爵位を近々継ぐらしい。
レイノルドは相変わらずカミルに叱られては拗ねているが、着々と力をつけていて彼の父に認められる日もそう遠くないだろうとカミルは面倒そうに、けれど口元を緩めて話していた。
そんなルシアン達を「エリートだったはずが酷く遠回りしたな」と陰口を言う者は未だに沢山居るが、あの未熟なままの自分達がこの国を率いていた方が怖かった。
だからこれで良かったのだと、イブリアは目の前の幸せな家族の姿を噛み締めていた。
「皆、愛してるわ」
「ふふっ私もよ」
「あ!ずるいぞ!俺が一番愛してる!」
「僕も愛しています」
そう言ってイブリアの頬に口付けたディートリヒに「あ!」と声を上げたカミルに皆で笑った。
「ぼくが妹たちを守ってあげるんだ」
そう言ってイブリアとマルティナのお腹に触れたルシアに皆が心をぎゅっと掴まれたのは言うまでもなかった。
-fin
327
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(209件)
あなたにおすすめの小説
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
幸せそうな家族の良いエンディングだった(*´∀`*)
…が産まれたお子さんの『ルシア』は女性名。
ルチア、ルキア、ルーシア、ルーシー、リュシー、皆ルシアと同じ意味合いの女性名。
日本人なら男児に『光子』とか『輝子』って命名したレベルの名付けなので、せめて『ルシオ』にしてあげて欲しいと思う。
まあ異世界の話なので『この世界でルシアは男性名です』と言われればそこまでなのですが(´-ω-`;)
(*」´□`)」同じ内容が投稿されてますよー
なにかと空気をぶち壊すカミル👍
いい味出してますね(๑˃̵ᴗ˂̵)