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公爵様は守りたい2
しおりを挟む学園から帰ったセシールはディアーナと共にマケールの執務室に呼ばれている。
彼の無造作に流れる銀糸のような髪が少し暗め部屋の窓からは入る、夕日の朱に染められている。
「お父様、それはどう言う事でしょうか?」
「セルドーラは近々王都に攻め入る」
「あなた、どうしてそれが分かるの?今の状態からはとても考えられないわ、」
「いいや、元々不安因子は居た。ただ行動を起こすきっかけが無かっただけだろう。」
どうやら、王宮で不穏な動きがあるらしく、国王と歳の離れた王弟を次期国王にと推す者たちに動きがあるらしく、エミリー嬢に求婚を申し込んだセルドーラ国と何か企んでいるのではないかとマケールの推測である。
そして、その計画は全てとまでもいかないが見事に当たっており、エミリーはその計画内で、人々を奮い立たさせるのに、ピッタリな人材だったのだ。
「そして、テオドール殿下との休暇を許可したのは、もしもの場合、エラサを、そしてセシールとテオドール殿下を護るための避難策でもある。
よって、行き先は口外禁止であり、道中は私の転移魔法で、殿下、セシールとその部下達を最小限で送り届ける。
友好関係のある侯爵家、辺境伯家とは王都の危険性を見越して、ご子女の避難という意味でもエラサ防衛に協力してもらっている。前持って時間差で秘密裏に移動しているので、ひと足先に到着する予定だ。」
セシールは不自然だと思った。
あくまで憶測のはずなのに、対策が具体的すぎる。
「お父様、あくまで可能性のはずですが、ここまで具体的な策を練る理由がおありですか?」
「正式な宣戦布告はない、だか確実にクーデターは起こるだろう。セルドーラの真の目的はわからんが、お前達は各自に標的となる。」
ディアーナな少し考えて、マケールの目を見て言った。
「あなた、私あなたの側にいます。
セシール、貴方が強いのは知っているわ、だけどエラサを出てはだめよ。
何も起こらないわ、ここには父と母が居ます。
ノーフォード家がいるのですから。
貴方は休暇を楽しんで来なさい。」
「お母様っ…ですが…」
「ディアーナ…、分かっている。だが君は私の側を離れてはならない。王宮の誰を信用していいのかが分らない為に、ノーフォード公爵家を含む、数少ない家門で王都の敵を迎え打つ。そして。国王両陛下をお護りするのは我がノーフォードである。」
ノーフォード家は一国にもひけを取らない戦力を持つが、ディアーナは月の女神の末裔であり、若い頃から歳をとらず美しい外見のままであり、彼女自体を狙うものは多々居る。
「まぁ思い過ごしだといいのだが、しばらくは警戒をして欲しいということなんだ。」
と、少し気の抜けた笑いでふたりを抱きしめて言ったマケールにふたりとも少し安心した。
食事が終わりセシールが湯浴みに行くと、
マケールはセシールの別邸を訪れ、全員を集めた。
「セシールに付いているエイダ、エイミーには話したが、皆に休暇の前に話しておくことがある。」
「ダンテ、常に娘から目を離さないように頼みたい。ここにいる者はノーフォードの中で最もセシールに近い部下となる。まだ、若いがお前を信頼している。
グレース騎士団にセシールとエラサの護衛を命じる。秘密裏にエラサに入りセルドーラに備えよ。」
ノーフォード家の騎士団の殆どがソードマスターである故に半数以上が平均以上の魔法を使える。
娘を溺愛するマケールはその中でも選りすぐりの人材をグレース騎士団として、セシールにその権限を渡したのだ。
ダンテはまだ若くソードマスターにはなって居ないが騎士として、ノーフォードではトップである。
彼を手放したヴァーナヴィアスは理解できないが、こうして我が家の新しい星となったので感謝しよう。
「半数は休暇に入る前に転移でエラサへ行く。転移は魔力を大量に浪費する為、魔力量の多い私と執事のスティーヴ、暗部を含む数名で、最低限の回数で分けて転移する。」
まだ休暇までは数日あるが、公爵家同様、各家門でそれぞれ休暇に向けて動き始めていたのだ。
ダンテはマケールを礼で見送り、その足音を聞きながらセシールの笑顔を、自分たちに向ける優しさを、尊敬に値する強さを、気高さを、彼女の全てを心に映した。
(セシールお嬢様となら例えそこが戦地になろうとも、俺にとっては楽園。彼女の優しさに触れてはもう全てを捧げずにはいられない。それほど彼女は気高く甘い。)
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