公爵令嬢は破棄したい!

abang

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公爵令嬢は残さない3

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「テオ、全て終わるわ」


セシールがそう言った時、アルベーリア中が闇に包まれた。

そして、王都でクーデターを起こしている者たちは次々に闇に引きずり込まれて行った。


魔力の強いものは生き残ったが、マケール達が居ればそのくらいは時間はかからないだろう。


そして、この戦いを想いセシールは涙を一筋流した。
涙が地面に落ちると、そこから順番に、血の海と化していた地面を綺麗にしていく。

エラサの街から青白い光が降り注ぎ、キラキラとダイヤのようにセシールの闇を飾った。


国一つを包むなど、容易なことではない。
普通なら魔力を使い果たして命にかかわる程。

魔力が多く、月の女神であるセシールだからこそできる大技であった。

セシールがリアムに王都を見たいと言ったのは、この為だったのだ。

詠唱や魔法陣ではなく、セシール達ごく一部の人間はイメージによって魔法を使っているからであった。


美しいエラサの街並みが戻り、たまたまリアムが掴んでいたアルフレッドの首以外の人だったものは、綺麗に消えた。


テオドールは何が起きているのか分からなかった。
いや、全員がわからなかった。

ハッとなにかを思い出したように我に返ったマチルダ、


「リアムっ、王都は…どうなったのかしら、」



リアムを含む他の者も、ハッと我に返りリアムによって映し出された王都の現状を見た。


闇が晴れて、はっきりと王都見える王都の様子を見て驚愕した。


エラサと同じく、セルドーラ軍も、エウリアス軍も居ない。
テオドールの攻撃魔法の様に、人が消滅するのか、

闇の中、どこかで人々は生きているのかはセシールにも分からなかった。

光の属性を持つセシールだが闇の方が相性が良く、それは月の女神の力と関係しているのかもしれない。



まさにセシール自体が未知であり、神秘だった。



アルベーリア中をセシールの闇が守り、

アルベーリア中でセシールの月の光が浄化した。


そしてセシールの言った通り、全てが終わった。

後、光を纏い浮遊していたセシールは気を失ったようで、プツリと電池が切れたかのように、落下してきた。

セシールに目掛けて走るクロヴィスは、セシールを受け止め、ぎゅうっと、大切そうに抱きしめた。


テオドールは咄嗟に駆け寄った。

皆も駆け寄り、眠るセシールを覗き込んだ。

「魔力の使いすぎだね、尽きたわけじゃないよ。」

テオドールが悔しそうに、セシールの頬に触れ、目をぐっと閉じた。

「セシール、また守られてしまったね…」


膝をついてセシールを抱えるクロヴィスの後ろに立ったまま涙をポロポロと流し、マチルダはセシールに回復魔法を当て続けた。



「マチルダ、もうこれ以上意味が…セシール様ならきっとすぐに目を覚ますよ。」

リシュがマチルダの手を握って悲しげに言う。

リアムとダンテは俯いたまま、拳を強く握っていた。

(お護りすると誓ったのに…なにも、出来なかった。)


マチルダはそっとセシールのマントを彼女に掛けて、涙を拭った。

テオドールと先程駆けつけた、アルマンとフェランは目の前の光景を信じられないと言う顔で見ていて、

他の者も達の表情はなんとも複雑な、読み取れ無いものであったが、セシールの事を心配していた。


ーー王都

攻め込む兵の数に、キリがないと皆が疲労を見せていた。

ノーフォード家の者たちが黙々と敵軍を殲滅して行く。



「マケール…」


ディアーナが何かを決めたような眼差しをした。



「いや、私が…。ディアーナ、君を愛している。ノーフォードの者にはもしもの時、君とセシールを任せてある。」



「だめよ、それなら一緒に…!」


「私は君の恩恵を受けている、底が尽きて命を取られるようなことは無い。」

マケールは向かってくる敵軍に、腕をひと振り、軽く上げるような仕草をすると、黒々とした闇の渦がマケール達を囲った。


それは近づくと者を切り裂き、引きちぎった。



「あ"ぁあ"ああ!う、ずにのまれるな…ッ」



そして、マケールは最期の別れかのように、ディアーナを抱きしめ、愛しむ目で、深く、深くキスをした。


そして、マケールが動き出そうとした時…

周りが闇に包まれ、視界が無くなる。
声を上げる暇もなく敵軍は闇に飲まれ消えた。

そして、優しい光が星空のように闇に散りばめられ、幻想的な美しい風景にみながここが戦地だと言うことを忘れそうになった。


「ぁ…マケール…っ」

「セシール……!」

2人にはそれがセシールの力だとすぐに分かった。

戦地だった王都は元の綺麗な街並みを取り戻し、
それが、王宮だけでなく、王都中、アルベーリア中を呑み込んだのだと分かった。


セシールの生死を案じ、静かに涙を流すディアーナを抱きしめ、残る者をありったけの力で一気に片付けた。


「陛下!私はエラサへ行かなければ!!!」


すると、陛下は悲しげにうなづいて、セシールの無事を願っていると言った。


マケールが礼をして、ディアーナと転移しようとしたその時、




「まて、マケール…ッ!!ディアーナ様は、僕の…僕のモノだ…!!!!」



王権の光の魔法を放ち、エレメントはマケールに挑んだのだ。
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