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王弟殿下は諦めない
しおりを挟む「エレメント!」
「あぁ兄上。まだ生きてたんたね。さすがノーフォードと言うところか…」
エレメントが虚ろな目で国王を見たあと、ディアーナを見る。
マケールが庇うようにディアーナの前に立ち視線を遮ると、エレメントは狂ったかのように笑った。
「くっ…っあははははははは!!!!
お前達、今にセルドーラがテオドールの首を持ってくるぞ!!!!あははははは!!」
「!?」
「そんな筈ないわ、あの子達がまさか…」
「エラサには多すぎる位の大軍を送ってある、テオドールとセシールといえど、もたないだろう。」
「なんと!エラサに!?」
「やはりか…、だかなぜ、」
国王は驚愕したが、マケールはやはりと納得しただけであった。
「セルドーラの王太子はセシールにご執心でね。エサとしてくれてやったのさ!!」
「あなた…!!一体なにを言っているの!?」
「さあ、ディアーナ様はわたしと一緒に、僕が幼い頃からずっと、貴方に憧れていた、ずっと愛していたんだ!」
「私は…マケールを愛しているわ。」
「きっと僕を愛するさ!!!」
「それはないわ。私には生涯マケールだけよ。」
「嘘だ!きっと変わる!!!」
「いいえ、残念ながら…。」
「見苦しいぞ、エレメント。ディアーナを誰にもやる気はない。私の生涯、唯一の愛する女性だ。」
エレメントが血走った目で、マケールに攻撃を仕掛ける、
マケールが跳ね返してエレメントが尻餅をついた時、
急に、転移空間が数個開き、
アルフレッドの首を持ったテオドール、
リアムとダンテ、アルマンとトリスタン、
フェランとシェリー、グレゴリーが到着し、
続けて、
セシール抱いたクロヴィス
マチルダとリシュ、クレマンが現れた。
皆、膝を着き、国王に向いた。
「陛下、この通り、攻め入ったセルドーラの王太子であり、敵軍の主将、アルフレッド王子を討ち取りました。」
テオドールがアルフレッドの首を置いて、クロヴィスとアイコンタクトを取ると、クロヴィスが頭を下げたまま言う。
「セシール嬢により、事の終結を迎えました。この王都においてもセシール嬢の力が作用したものと考えております。」
「偽物だ!そんなわけない。あの大軍が…」
「では、叔父上。王都に居た兵が消えた事はなんと?」
エレメントは膝を床について蹲った。
「なんで、っ」
くるりと仰向けになり、地べたに背中をついたまま、エレメントは力なく額に腕を乗せて言った。
「もういい、お前達に力尽くでなんか無理な話だったよ。
ただ、テオドール…」
「なんでしょう、」
「お前はセシール嬢の心を手放してしまったようだね、ククッ」
テオドールは、拳を強く握りしめ悲しそうな顔をした。
返す言葉が無かったのだ。
「いいえ、愛想を尽かされたの間違いでしょう。セシールはよく耐えてくれたわ。」
「義姉上…」
エレメントは上体を起こし、国王が焦ったように声を少し荒げる。
「出てきてはならんと言ったはずだ!」
王妃が階段をおりながら何ともない顔で続けた。
「ディアーナと私は良き親友です。彼女がここにいるのに、私だけ部屋にいるわけにはいきません。裏に居た敵兵はとっくに片付けてしまっています。」
"あなた達のように化け物じみていないので、来るのに時間がかかりましたが…。"
と少し疲れたように笑った王妃に国王は立場を忘れたかのようにかけより、頬を触り、頭を撫で、心配そうに「どこにも怪我はないか?」と聞いていた。
そんな国王を制し、テオドールに向いた王妃。
「あなたは馬鹿です。どこを探してもセシール程良い子はいないでしょう。」
テオドールは瞳をギュッと閉じ、涙を堪えるように眉間にシワを寄せた。
「母上…っ。ちゃんと、理解しています。セシールを失わない方法が、見つからなくて。虫が良いと思いながら、言い訳をして、優しい彼女を引き止めるしかしなかった。」
テオドールを向いて厳しい目線で頷き、エレメントへ感情のない表情を向けた。
「ですが、罪人となった貴方に関係のない事です。詳しくは後で話を聞きましょう。国王陛下、」
王妃が国王に促すと、急いで国王の顔に戻って罪状を言い渡した。
「この謀反によって王都では多くの命を落とした。エレメント・シズリー・アルベーリアを死刑と処す。」
エレメントは諦めたように軽く笑っただけだった。
(一度くらいはディアーナ、あなたを私のこの腕で抱きしめたかった。)
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