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公爵令嬢と幼馴染
しおりを挟むエイダとエイミーは久々にセシールの外出の支度を手伝えてはりきっていた。
「こんなに張り切らなくてもいいのよ….?」
「いいえ!お嬢様の久々の外出のお手伝いですもの!」
「張り切って用意します!」
二人はとても真剣にクローゼットへ入っていき、手際よく着せていった。
「お嬢様の髪色に似合う、ノーフォードの濃紺のドレスに致しました。相手が女性、マチルダ様と言う事でいつもより、少し大胆でも大丈夫だと判断し、こちらを…」
「お嬢様、今日は髪は下ろされましょう!片側に寄せて…」
いつも首元の詰まったドレスが多いセシールは珍しく、鎖骨の見える、下品じゃ無い程度に胸元の開いたドレスであった。
スレンダーなデザインに太ももまでスリットが入っており、艶のある濃紺に袖はなく、小さなダイヤが散りばめられた白の肘までの手袋をして、艶のある濃紺の、ダイヤを散りばめたパンプスを履いて、アクセサリーはダイヤで統一されていた。
「お嬢様、ショールを。」
シースルーの濃紺のショールを肩にかけ、エイダとエイミーを連れてマチルダの所へ行く前に少し早めに街でなにか珍しい手土産を探そうと、街へ行った。
ーーー
少し空きができたので、気分転換に歩こうとクロヴィスが街に出ると、ノーフォード家の馬車を見つけ、どこに居てもすぐに見つけてしまう、彼の最愛の女性が馬車を降りるのが見えた。
「セシール、」
「あら、クロ!ご機嫌よう、!貴方にも早く会いに行かないとと思っていたのよ。エラサではありがとう。」
微笑んだ彼女はいつもの、清楚な格好より少しだけ大胆なドレスを着ていて、ノーフォードの濃紺は彼女の白い肌を際立たせていた。
スレンダーでシンプルなドレスは引き締まった彼女の腰を強調させ、覗く白い太ももはひどく何かを駆り立てるものだ、
「いや…問題はない。お前が片付けたよ、全部。」
「まだ時間があるの、少しお茶でも?」
「ああ、喜んで。」
セシールに街の皆の視線が集まっているような気がしたし、その白い肌を細い腰を、人の目に晒しておくにはもったいなく感じた、何よりクロヴィスがそれは嫌だったのだ。
クロヴィスは自分の着ている上着をセシールの肩にかけてやると、セシールの手を取り腰に手を添えて、たった今セシール達が入ろうとしていた店へエスコートした。
「あら、クロヴィスありがとう。」
「あまり薄着だと身体を冷やすぞ。」
エイダとエイミーは顔を見合わせ、頬を染め声に出さずにクロヴィスの小さな嫉妬と紳士的な対処にこっそり盛り上がっていた。
((キャ~なんてお可愛らしいお二人なの!!))
ランスロットの紋章が入った黒地に金の装飾が施されているジャケットはセシールのドレスとも良く合い、店に入ると目を丸くした店主が、急いで案内したのは高位貴族のカップルがよく使う、隣同士に座り、窓からは街が見える高級品のソファと煌びやかな装飾の個室であった。
クロヴィスとセシールは驚いたが、
子供の頃から隣に座ることなどよくある事だったので、まぁ別にいいかとお互いに顔を見合わせて苦笑して、少し間を空けて席についたのだった。
「ほんとうに、困ってしまうわね、」クスクス
久々に近くに感じるセシールの体温に耳を少し赤くして、頷くクロヴィスに、不思議そうな顔をするセシールを見てクロヴィスは部屋を変えなかった事を後悔した。
ジャケットと元々控えめに開いているせいもあり、胸元は目立たないものの、ちょうどクロヴィス側から彼女の白い太ももが少しだけ見える。
(こいつは危機感がないのか、俺が意識されていないのか…)
「ねぇ貴方覚えている?私と貴方って凄く幼い頃は婚約者のつもりだったようよ。」クスクス
クロヴィスは少しだけ寂しそうに笑って、
「ああ覚えているよ、ずっとお前が俺の妻になるんだと思っていたよ。そして子供だったけどきっと本当の愛だった」
セシールは目を丸くして、頬を染めた。
「そ、そうだったのね、私もきっと貴方に本当に恋していたと思うわ、覚えてはいないのだけど、」
今度はクロヴィスが目を丸くして、思わず、衝動的にセシールを抱きしめてしまった。
急なクロヴィスの行動に驚きフォークを落としたセシールはチラリと床をみたが、首元にかかるクロヴィスの息がくすぐったくて身を捩った。
「くすぐったいわ、クロったら具合でも悪いの??」
「いや、お前の美しさにやられたみたいだ。離してやれそうにない。」
セシールは内心ドキリとした。
「…っ、からかわないで下さる?」
「急にすまない。ただ抑えられなくて、今言うべきではないと思ったんだが……今も変わってない。ずっとセシールだけを愛してる。」
真っ赤になって慌ててクロヴィスの胸を押したセシールに、眉尻を下げて両手を降参するように軽く挙げた。
「これ以上は、何もしない。俺にとってはテオも大切な人だから。ただ、知って欲しかったんだ昔も今も、これからもずっとセシールだけを愛してるし、何があっても俺だけはお前の味方だと。」
マチルダもそうだが…と戯けてはいるが、切なげな顔で言うクロヴィスにセシールは幼いクロヴィスが彼女が婚約の為に王宮に行く日に、セシールを見送る時、セシールの手を離した時の切ない、苦しそうな顔を思い出した。
「クロ…思い出したの。貴方昔も同じ顔で私を見送ったわ。私幼くて、きっと今も愛をきちんと分かっていないままだけれどっ、貴方の手を離す時に泣いたのね私貴方を失ってしまうと思って、」
クロヴィスはそっとセシールの頭を撫でて、切なさを秘めたその金色の瞳で慈しむように、言った。
「昔の話だよ、セシールはゆっくり前に進めばいい。さっきも言ったが、俺はどんな形であれずっとセシールの味方だから…」
「お前の幸せを、俺の全てをかけて応援する。」
セシールの胸はいっぱいだった。
クロヴィスの見返りを求めない優しさは、彼女の全てを受け止めるその広さは、ドロドロに甘やかしてくれるところも、ぜんぶ昔から当たり前にあったものだが、本当はとっくに失っていてもおかしくなかったのだと思った。
「時間まで、お茶だけは俺としてくれる?」
申し訳無さそうにセシールと距離を取って言ったクロに、
「ええ、貴方が良ければ…」
と、温かいけど落ち着かない心で返事をしたセシールだった。
(こういう時はきちんと返事をするのかしら?求められた訳でもないのに図々しいのかな、…マチルダ助けて、私どうすればいいの…。)
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