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第18話 あの男
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「はあ……はあ……」
ランドルフが肩で息をする。
ベアトリクスはぐったりとランドルフの胸板に身を預けていた。その意識はほぼ失われていた。
ランドルフはゆっくりとベアトリクスの体をベッドに横たえた。
そして剛直を引き抜く。
ベアトリクスの蜜とランドルフの白濁液、そしてかすかな出血がベアトリクスの中から漏れいでた。
「……血?」
思わずランドルフは小声でつぶやいた。
ベアトリクスは体力の限界に達したのか寝息を立て始めていた。
ランドルフはベアトリクスの上半身にシーツをかぶせ、そして下半身の汚れを拭くものを探すため室内を見回した。
すると、部屋の隅にいる女と目が合った。
「!?」
ベアトリクスを起こさないために声を押し殺して驚くと、女はスッとこちらに寄ってきた。
手にタオルを持った女はサラだった。
「あ、あの……えっと、俺……あの……」
「大丈夫です。委細承知しております。王族の褥とはそういうものです。お慣れください。あなたがこの先も、ベアトリクス様と歩む勇気があるのなら」
「えっと……あの、それはどういう……」
サラはタオルのうち一枚をランドルフの股間に投げた。
ランドルフは手触りのいいタオルで下半身を拭くことを少しためらいながら、そこを拭く。
「まず、申し上げておきます。姫様は処女です」
「えっ……」
「ああ、やはりお気付きではなかった……」
「だ、だって、あれほど慣れた様子で……」
「事情がいろいろとありまして、そしてもうひとつ」
サラは丁寧にベアトリクスの体を拭きながら、淡々と、しかしどこか苦々しげに続けた。
「あなたと姫様がこうなった以上、あの男が動きます」
「あの男……?」
「はい、国王陛下が、動きます。あの男はそういう男です」
「陛下……!?」
ランドルフは呆然とした。
思わずベアトリクスの寝顔を見る。
彼女は何も知らずすやすやと眠りの中にいた。
幸せそうな顔で。
朝が来た。
「おはよう、サラ」
「はい、おはようございます、姫様」
ベアトリクスはベッドに潜ったまま、微笑んだ。
その傍らに立ち、サラはうなずく。
「なんだかね、昨日は良い夢をみたわ。ランドルフ殿と結ばれる夢!」
「それは……」
サラは少し困った顔をして、室内にある椅子を見た。
そこではランドルフが半裸で眠りについていた。
「……あ、ああ……」
ベアトリクスの顔が朱に染まっていく。
それと同時に、彼女はシーツ越しに、股間をおさえた。
「い、痛いわ……」
「初めてならそんなものです」
「た、大変なのね……」
「寝ている間に薬をお塗りしました。他に体で痛むとところは? ランドルフ殿に押さえつけられたところとか、痛くはありませんか? ランドルフ殿がいかに紳士だとしても、彼我の力の差はどうしようもできませんからね」
「えっと……大丈夫みたい」
「分かりました。立てますか?」
ベアトリクスはベッドに半身を起こした。それだけで少し顔をしかめた。
そしてベッドの外に足を出し、立ち上がろうとして、ふらふらとベッドに崩れ落ちた。
「……ちょっとキツイわ」
「お風邪ということにしましょう」
「アルフレッドが心配するわ……」
「そのお姿を見せたほうが心配なさるはずです」
「そう、ね……」
ベアトリクスはおとなしくベッドに戻った。
「ランドルフ殿がお目覚めになったらお話があると思います。起こします?」
「いえ、そのままにしてあげて」
「かしこまりました。それでは朝食の準備をさせてまいります」
サラはしずしずと退室した。
ベアトリクスはランドルフとふたりきりになって、彼の顔を見つめた。
あどけない寝顔、その口からはよだれが漏れている。
よだれ、その存在に昨夜のことを思い出し、ベアトリクスはまたしても顔を赤くした。
胸を思わず持ち上げる。
この胸にランドルフが触れた。
この腰に、この体に、この足に、そして、あの奥に、ランドルフの精が。
それを思い出すと、顔が赤くなっていくのを止められなかった。
ベアトリクスは下腹部を撫でた。
一度の行いで妊娠するようなものではない。
それでもそこに宿ったかもしれないものが愛おしかった。
「ん……」
ランドルフが目を覚ました。
ベアトリクスは髪を撫でる。
昨日さんざん乱れた髪でも、キレイに整えたいそんな乙女心であった。
「あ、姫様……」
ランドルフは寝ぼけた顔でベアトリクスを見つめ、そして床に滑り込んだ。
「ランドルフ殿!?」
「申し訳ありません! し、知らぬこととはいえまさか……まさか、姫様の処女を奪うとは……!」
「!?」
突然のランドルフの謝罪にベアトリクスは目を白黒させた。
ランドルフが肩で息をする。
ベアトリクスはぐったりとランドルフの胸板に身を預けていた。その意識はほぼ失われていた。
ランドルフはゆっくりとベアトリクスの体をベッドに横たえた。
そして剛直を引き抜く。
ベアトリクスの蜜とランドルフの白濁液、そしてかすかな出血がベアトリクスの中から漏れいでた。
「……血?」
思わずランドルフは小声でつぶやいた。
ベアトリクスは体力の限界に達したのか寝息を立て始めていた。
ランドルフはベアトリクスの上半身にシーツをかぶせ、そして下半身の汚れを拭くものを探すため室内を見回した。
すると、部屋の隅にいる女と目が合った。
「!?」
ベアトリクスを起こさないために声を押し殺して驚くと、女はスッとこちらに寄ってきた。
手にタオルを持った女はサラだった。
「あ、あの……えっと、俺……あの……」
「大丈夫です。委細承知しております。王族の褥とはそういうものです。お慣れください。あなたがこの先も、ベアトリクス様と歩む勇気があるのなら」
「えっと……あの、それはどういう……」
サラはタオルのうち一枚をランドルフの股間に投げた。
ランドルフは手触りのいいタオルで下半身を拭くことを少しためらいながら、そこを拭く。
「まず、申し上げておきます。姫様は処女です」
「えっ……」
「ああ、やはりお気付きではなかった……」
「だ、だって、あれほど慣れた様子で……」
「事情がいろいろとありまして、そしてもうひとつ」
サラは丁寧にベアトリクスの体を拭きながら、淡々と、しかしどこか苦々しげに続けた。
「あなたと姫様がこうなった以上、あの男が動きます」
「あの男……?」
「はい、国王陛下が、動きます。あの男はそういう男です」
「陛下……!?」
ランドルフは呆然とした。
思わずベアトリクスの寝顔を見る。
彼女は何も知らずすやすやと眠りの中にいた。
幸せそうな顔で。
朝が来た。
「おはよう、サラ」
「はい、おはようございます、姫様」
ベアトリクスはベッドに潜ったまま、微笑んだ。
その傍らに立ち、サラはうなずく。
「なんだかね、昨日は良い夢をみたわ。ランドルフ殿と結ばれる夢!」
「それは……」
サラは少し困った顔をして、室内にある椅子を見た。
そこではランドルフが半裸で眠りについていた。
「……あ、ああ……」
ベアトリクスの顔が朱に染まっていく。
それと同時に、彼女はシーツ越しに、股間をおさえた。
「い、痛いわ……」
「初めてならそんなものです」
「た、大変なのね……」
「寝ている間に薬をお塗りしました。他に体で痛むとところは? ランドルフ殿に押さえつけられたところとか、痛くはありませんか? ランドルフ殿がいかに紳士だとしても、彼我の力の差はどうしようもできませんからね」
「えっと……大丈夫みたい」
「分かりました。立てますか?」
ベアトリクスはベッドに半身を起こした。それだけで少し顔をしかめた。
そしてベッドの外に足を出し、立ち上がろうとして、ふらふらとベッドに崩れ落ちた。
「……ちょっとキツイわ」
「お風邪ということにしましょう」
「アルフレッドが心配するわ……」
「そのお姿を見せたほうが心配なさるはずです」
「そう、ね……」
ベアトリクスはおとなしくベッドに戻った。
「ランドルフ殿がお目覚めになったらお話があると思います。起こします?」
「いえ、そのままにしてあげて」
「かしこまりました。それでは朝食の準備をさせてまいります」
サラはしずしずと退室した。
ベアトリクスはランドルフとふたりきりになって、彼の顔を見つめた。
あどけない寝顔、その口からはよだれが漏れている。
よだれ、その存在に昨夜のことを思い出し、ベアトリクスはまたしても顔を赤くした。
胸を思わず持ち上げる。
この胸にランドルフが触れた。
この腰に、この体に、この足に、そして、あの奥に、ランドルフの精が。
それを思い出すと、顔が赤くなっていくのを止められなかった。
ベアトリクスは下腹部を撫でた。
一度の行いで妊娠するようなものではない。
それでもそこに宿ったかもしれないものが愛おしかった。
「ん……」
ランドルフが目を覚ました。
ベアトリクスは髪を撫でる。
昨日さんざん乱れた髪でも、キレイに整えたいそんな乙女心であった。
「あ、姫様……」
ランドルフは寝ぼけた顔でベアトリクスを見つめ、そして床に滑り込んだ。
「ランドルフ殿!?」
「申し訳ありません! し、知らぬこととはいえまさか……まさか、姫様の処女を奪うとは……!」
「!?」
突然のランドルフの謝罪にベアトリクスは目を白黒させた。
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