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第74話 なすべきこと
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そのさらに数日後、ユリウスの元にカーミラ嬢からの招待状が届いた。
私はユリウスの執務室に呼び出された。
「本当に散らかっている……」
ユリウスの執務室は書類が山積みになっていた。
「いや、恥ずかしい。どうしても仕事が増えていってな……。それで本題なんだが、カーミラが君をお茶会に招待したいそうだ」
見るからに嬉しそうなユリウスの後ろでヴァンパイア……ドラキュラが困ったようにため息をついた。
「……陛下、あのような無愛想な妹のお茶会など……お妃様も楽しくはないでしょう」
「うっ……」
ユリウスは言葉に詰まった。
「いや、でも、カーミラは悪い子ではないし……いや、もちろんミラベルが嫌なら嫌でいいのだが……」
「行きます」
私は即答していた。
ドラキュラがさらに困った顔になる。
「……あなたの味方に認めてもらえないなら、王妃を務める資格はありません」
「そんなことはない!」
ユリウスは声を荒げた。
「ミラベル、そんなことは気にしなくていいんだ。……そもそも君は先代魔王の娘なんだ。認めてもらえてないのは、俺の方がよっぽどだ」
「……でも、私、認めてほしいの。あなたの味方になら」
「……そうか」
ユリウスは複雑な表情で招待状を私に手渡した。
すっかり私はそれが読めるようになっていた。
「一週間後ね。もう秋も深まって、寒いでしょうね」
「ああ、仕立て部屋に声をかけないといけないな」
「やっておきます。……がんばります」
「うん……。当日はヴァンパイアをお供につける。俺は呼ばれてもいないのに行くわけにもいかないが、ヴァンパイアにとっては実家だからな」
「わかりました」
「じゃあ、打ち合わせしてきますね」
「ああ、……ミラベル、大丈夫か。嫌なら本当に断ってもいいんだぞ」
「嫌じゃないから、大丈夫」
私の笑顔にユリウスはホッとしたような顔をした。
「本当によろしいのですね?」
「ヴァンパイア……じゃなかったドラキュラは意外と心配性ね」
ユリウスの執務室を出て、ドラキュラとともに仕立て部屋に向かう。
「ユリウスのお供をやっていると自然とそうなるんですよね……」
「……お疲れ様」
私はここに来てからユリウスが二度も酷い怪我をしたことを思い出す。
「……一回は私が狙われたせいだったけど、もしかしてユリウスって私がいなくてもあんな感じ……?」
「はい。体はなんだかんだまだ人間の部分が残っているのに魔王として無理しますからね……」
「……魔王としての仕事、私に手伝えることあるかしら」
「あるとしても危険なことはさせられませんよ。多分、お妃様の方が最終的には丈夫になられると思いますけど……今はまだ魔界に来て魔力が馴染みきっていない状態です。たまたま瘴気には耐性がありましいたけど、それでもユリウスよりは脆いです」
「ままならないわね……」
「何より、ユリウスが、自分を自分で許せなくなりますよ、お妃様を危険にさらすなんて」
「……ええ、そうね」
そういう人だ。わかっている。
「……できることからするわ、少しずつ」
「はい。そのようにお願いします」
「お妃様、来月のパーティーの衣装はどれが良いと思われますか?」
仕立て部屋でドラキュラのアドバイスを受けつつお茶会の衣装を選んだ後、エルフは男物の衣装を数点、持ってきながら訊ねてきた。
「…………ええと」
ユリウスの、魔王の、主役の服を選べと言われているのだ。
緊張が走る。
だけど、私は学んできた。賢者から本だって借りた。
「赤い宝石で作る私のネックレスが完成するのよね?」
「はい」
「じゃあ、このボタンに赤い飾りがついているのなんて、合わせた感じがするかしら……?」
「よろしいと思います」
ホッと安堵のため息が出る。
「楽しみですね、二度目のパーティー」
「ええ……」
二度目のパーティーはこの間より大規模に人を呼ぶ予定だという。
「がんばるわ」
私の前にはこなすべきことが山積みだった。
私はユリウスの執務室に呼び出された。
「本当に散らかっている……」
ユリウスの執務室は書類が山積みになっていた。
「いや、恥ずかしい。どうしても仕事が増えていってな……。それで本題なんだが、カーミラが君をお茶会に招待したいそうだ」
見るからに嬉しそうなユリウスの後ろでヴァンパイア……ドラキュラが困ったようにため息をついた。
「……陛下、あのような無愛想な妹のお茶会など……お妃様も楽しくはないでしょう」
「うっ……」
ユリウスは言葉に詰まった。
「いや、でも、カーミラは悪い子ではないし……いや、もちろんミラベルが嫌なら嫌でいいのだが……」
「行きます」
私は即答していた。
ドラキュラがさらに困った顔になる。
「……あなたの味方に認めてもらえないなら、王妃を務める資格はありません」
「そんなことはない!」
ユリウスは声を荒げた。
「ミラベル、そんなことは気にしなくていいんだ。……そもそも君は先代魔王の娘なんだ。認めてもらえてないのは、俺の方がよっぽどだ」
「……でも、私、認めてほしいの。あなたの味方になら」
「……そうか」
ユリウスは複雑な表情で招待状を私に手渡した。
すっかり私はそれが読めるようになっていた。
「一週間後ね。もう秋も深まって、寒いでしょうね」
「ああ、仕立て部屋に声をかけないといけないな」
「やっておきます。……がんばります」
「うん……。当日はヴァンパイアをお供につける。俺は呼ばれてもいないのに行くわけにもいかないが、ヴァンパイアにとっては実家だからな」
「わかりました」
「じゃあ、打ち合わせしてきますね」
「ああ、……ミラベル、大丈夫か。嫌なら本当に断ってもいいんだぞ」
「嫌じゃないから、大丈夫」
私の笑顔にユリウスはホッとしたような顔をした。
「本当によろしいのですね?」
「ヴァンパイア……じゃなかったドラキュラは意外と心配性ね」
ユリウスの執務室を出て、ドラキュラとともに仕立て部屋に向かう。
「ユリウスのお供をやっていると自然とそうなるんですよね……」
「……お疲れ様」
私はここに来てからユリウスが二度も酷い怪我をしたことを思い出す。
「……一回は私が狙われたせいだったけど、もしかしてユリウスって私がいなくてもあんな感じ……?」
「はい。体はなんだかんだまだ人間の部分が残っているのに魔王として無理しますからね……」
「……魔王としての仕事、私に手伝えることあるかしら」
「あるとしても危険なことはさせられませんよ。多分、お妃様の方が最終的には丈夫になられると思いますけど……今はまだ魔界に来て魔力が馴染みきっていない状態です。たまたま瘴気には耐性がありましいたけど、それでもユリウスよりは脆いです」
「ままならないわね……」
「何より、ユリウスが、自分を自分で許せなくなりますよ、お妃様を危険にさらすなんて」
「……ええ、そうね」
そういう人だ。わかっている。
「……できることからするわ、少しずつ」
「はい。そのようにお願いします」
「お妃様、来月のパーティーの衣装はどれが良いと思われますか?」
仕立て部屋でドラキュラのアドバイスを受けつつお茶会の衣装を選んだ後、エルフは男物の衣装を数点、持ってきながら訊ねてきた。
「…………ええと」
ユリウスの、魔王の、主役の服を選べと言われているのだ。
緊張が走る。
だけど、私は学んできた。賢者から本だって借りた。
「赤い宝石で作る私のネックレスが完成するのよね?」
「はい」
「じゃあ、このボタンに赤い飾りがついているのなんて、合わせた感じがするかしら……?」
「よろしいと思います」
ホッと安堵のため息が出る。
「楽しみですね、二度目のパーティー」
「ええ……」
二度目のパーティーはこの間より大規模に人を呼ぶ予定だという。
「がんばるわ」
私の前にはこなすべきことが山積みだった。
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