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第87話 慌ただしさは幸せに向けて
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それからというもの、ユリウスは一段と忙しくなった。
私は少し結婚式について切り出したのを後悔したが、周りは思った以上に歓迎ムードだった。
「お妃様が結婚してくれれば我が家の両親も愚かなことはもう言わないでしょう!」
ドラキュラは血走った目でそう言った。
「……ぜひ、結婚式にはお呼び立てください。完璧なゲストとしての振る舞いを、わきまえぬ愚かな他の魔族共に見せつけてやります」
カーミラ嬢はそう言い放ち、そして、しばらく魔王城に滞在することになった。
それは私のためだった。
まだ完璧ではない私の魔界での作法をカーミラ嬢は厳しく叩き込んでくれた。
ニンフとシルフが思わず抗議しそうになるくらいに、カーミラ嬢は厳しかったが、すべてはユリウスの王妃として恥ずかしくない振る舞いをするためだったので、私はありがたく受け入れた。
賢者との授業は週一に減ったが、その週一で魔族の歴史や儀式について賢者は突っ込んで教えてくれた。
一番、迷惑をかけたのは仕立て部屋だった。
のんびりと黒いウェディングドレスを仕立てていた仕立て部屋は修羅場と化した。
私はフィッティングのために何度か仕立て部屋に呼び出されたが、いつ行ってもエルフたちは慌ただしく駆け回っていた。
それから私はユリウスとふたりで玉座の間を訪れた。
結婚式の段取りを確認した。
すべてが私達の結婚式に向けて慌ただしく動き始めていた。
「ふー……」
ユリウスの執務室のソファにドラキュラが倒れ込んで息を吐く。
ユリウスは執務室の机の上に転がっている。
私はドラキュラのソファの対面に腰掛けていた。
「ええと……神官共を呼びつけ終えました……あと、エッダから血縁証明の儀式に参加承諾ももらえました。あと地獄の大楽団からの抗議はガン無視して、結婚式の音楽を練習させていて……あとなんかあったっけ……」
ドラキュラが指折り数える。
「シビュラはどうだ……?」
「あー、そうだそうだ。巫女様は穏健派ですから、大丈夫でした。お越しいただけます」
「彼女なくして各儀式は成り立たんからな……」
私はなるべくユリウスたちの頑張りを見届けたくて、執務室にお邪魔できるときはするようになっていた。
ユリウスの目が疲れ切っているときは、代わりに書類を読み上げるくらいは手伝えるようになっていた。
「……お茶にするか」
「お茶にしましょう……」
ユリウスがフラフラと机から立ち上がり、私の隣に腰掛ける。
私はニンフたちを呼ぶ時間も惜しんで、自分でふたりのお茶を煎れた。
「ああ、お妃様……お妃様にこのような雑用を……申し訳ない……」
そう言いながら、ドラキュラは起き上がる様子がない。
相当疲れている。
「おいしい……おい、ドラキュラ、ミラベルのいれてくれたお茶はおいしいから飲め」
そんなドラキュラにユリウスは厳しいことを言う。
私は少し結婚式について切り出したのを後悔したが、周りは思った以上に歓迎ムードだった。
「お妃様が結婚してくれれば我が家の両親も愚かなことはもう言わないでしょう!」
ドラキュラは血走った目でそう言った。
「……ぜひ、結婚式にはお呼び立てください。完璧なゲストとしての振る舞いを、わきまえぬ愚かな他の魔族共に見せつけてやります」
カーミラ嬢はそう言い放ち、そして、しばらく魔王城に滞在することになった。
それは私のためだった。
まだ完璧ではない私の魔界での作法をカーミラ嬢は厳しく叩き込んでくれた。
ニンフとシルフが思わず抗議しそうになるくらいに、カーミラ嬢は厳しかったが、すべてはユリウスの王妃として恥ずかしくない振る舞いをするためだったので、私はありがたく受け入れた。
賢者との授業は週一に減ったが、その週一で魔族の歴史や儀式について賢者は突っ込んで教えてくれた。
一番、迷惑をかけたのは仕立て部屋だった。
のんびりと黒いウェディングドレスを仕立てていた仕立て部屋は修羅場と化した。
私はフィッティングのために何度か仕立て部屋に呼び出されたが、いつ行ってもエルフたちは慌ただしく駆け回っていた。
それから私はユリウスとふたりで玉座の間を訪れた。
結婚式の段取りを確認した。
すべてが私達の結婚式に向けて慌ただしく動き始めていた。
「ふー……」
ユリウスの執務室のソファにドラキュラが倒れ込んで息を吐く。
ユリウスは執務室の机の上に転がっている。
私はドラキュラのソファの対面に腰掛けていた。
「ええと……神官共を呼びつけ終えました……あと、エッダから血縁証明の儀式に参加承諾ももらえました。あと地獄の大楽団からの抗議はガン無視して、結婚式の音楽を練習させていて……あとなんかあったっけ……」
ドラキュラが指折り数える。
「シビュラはどうだ……?」
「あー、そうだそうだ。巫女様は穏健派ですから、大丈夫でした。お越しいただけます」
「彼女なくして各儀式は成り立たんからな……」
私はなるべくユリウスたちの頑張りを見届けたくて、執務室にお邪魔できるときはするようになっていた。
ユリウスの目が疲れ切っているときは、代わりに書類を読み上げるくらいは手伝えるようになっていた。
「……お茶にするか」
「お茶にしましょう……」
ユリウスがフラフラと机から立ち上がり、私の隣に腰掛ける。
私はニンフたちを呼ぶ時間も惜しんで、自分でふたりのお茶を煎れた。
「ああ、お妃様……お妃様にこのような雑用を……申し訳ない……」
そう言いながら、ドラキュラは起き上がる様子がない。
相当疲れている。
「おいしい……おい、ドラキュラ、ミラベルのいれてくれたお茶はおいしいから飲め」
そんなドラキュラにユリウスは厳しいことを言う。
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