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冒険へ
20話 訓練場
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「え! 不可思議書店⁈ い、行ったんですか?」
「あ……はい」
「ほ、本当に、あの伝説の本屋に?」
「え、どういうことですか?」
受付人のペルさんに、昨日の本屋について話したところ、ずいぶん驚いていた。
今日は、昨日のゴブリンとの課題点を中心に、訓練場で練習しようと思った。そのために、受付で何の訓練を何時間やるか、の名前を記入した。
どこで何をしても、ギルドは冒険者達の状況ややる事に、記録をとりたがる。訓練場の使用も、名前を書かなければならない。
管理がしっかりしている意味では、良いことなんだけど、ちょっと面倒な感じがなぁ……。
そこで、昨日のことを会話の一部として、ペルさんに本屋の話をしたが、話を聞いたところ珍しい本屋らしい。
転移魔法とタイムマシンは現実上不可能。異世界だからできそうな気がするが、今の技術では地に足もついていない状態なんだとか。言い伝えでは、未来から来た本屋、世界を旅している本屋、と考えられている。
昔からこの不可思議書店はあるそうだが、幸運な人しか入ることができない。購入し終わって外に出ると消えている、その本はその人の人生を変える、とペルさんは話していた。
「良いですね。私にもチャンスが訪れて欲しいです。
ちなみに、買った本はどんな本ですか?」
「魔法に関する本です。
魔法試験もありますので、参考書を買おうと書店を探していたら、不可思議書店を見つけました」
魔法が全くできないレオでも、この本で魔法が使えるようになるのだろうか。その人の人生を変えるって、それほどの影響を与えるぐらい、僕には魔法が……。
「頑張って下さいね」
消極的な考えになっていると、ペルさんは応援してくれた。それが、なんだか嬉しくて、そう言われたら頑張れそうで、できそうな気になってくる。
彼は、受付人との会話を終えると、訓練場に向かった。
「訓練場では何をするの?」
「まずは、剣の振り方を見直して、連続で動く練習をしようかな。あと、足の踏み込みとか、バランスが崩れた時の対応とか、対人での動きもやりたい。
アメリアは、何しとく? 訓練場を眺めるだけじゃ暇でしょ」
「私は、うーん……。ギルドの中を歩いていようかな。
広いから、ぶらぶら探検しとくよ」
「オッケー」
レオは、ロビーを出ると訓練場に訪れた。正方形の石畳のフィールドが中央にあり、その端に木でできた人形や小さい的、壁に縄が吊るされていたり、などと様々な訓練施設があった。
練習に勤しむ冒険者は、十何人くらいで、的に魔法を命中させたり、木剣で人形を打ったり、腕だけで縄を上がったりと、練習内容には充実しているようだ。レオも参加しようと、準備されている木剣を手に取った。
まずは、振り方から見直して、動きの改善を考えようと思う。昨日のゴブリン討伐では、足の動きと腕の方向がよくなかった。フットワークが乱れていて、足の方向と腕の方向がバラバラだったのだ。無理矢理上半身ばかり動かして、足はあまり動かせていない。
足まで動かす余裕がなかったというのは、いいわけになってしまうかもしれないが……。四方八方から囲まれて、ギリギリに迫られても足を動かせれるようになりたい。
わずかにかかとを上げて、姿勢前に傾ける。利き足を少し前にだして、剣は空気を裂くように真っすぐと振る。少しでも斜めっていたら空気抵抗で遅くなってしまう。
剣の持ち方は、握手をするような手の形で、握った状態からでは面が見えず刃が見える。これが基本の持ち方で、なかなか慣れにくいらしい。自分はずっとこの持ち方だったので、そこまで違和感を覚えないが、右から左に動かす動作に力を入れにくくなる。
あと、左手も重要だ。剣を持っている手だけに集中するのではなく、左手は体のバランスを支えるための役割を果たす。
「おい、小僧。あっちで俺とやらないか」
レオが基礎練習から考えていると、不意に青髪の男性に声をかけられた。大剣を背中に着けて、フィールドを指さしている。勝負しよう、と言っているのだ。
「いいですよ!」
彼は、声をかけられたことに嬉しくて、即答で返事をする。ちょうど、対人での勝負もやってみたかったので、わくわくと胸がはずむ。相手の男性も強そうなので、より期待してしまう。
誘導されるがままにフィールド上に上がると、男性は背中の剣を抜いた。木剣でやるのか、と思い腰を見たがさっきの練習の時に置いてきたのを忘れていた。レオが持っているのは木で、相手は金属、さすがに不利になりすぎているので、彼は剣を取りに行こうとした。
「おい、降りると負けだぞ」
「木剣は不利なので、自分のを取りに行くんです。
それか、危険なので木剣で勝負しませんか?」
「おや、小僧は知らないのか。初心者狩りっていうのは、木剣じゃなくてもいいんだぜっ」
すると、急に男性はレオに飛び掛かった。大剣を振り上げ、彼に迫っていく。ただのお手合わせではなく、初心者であるレオを追い出そうとしているのだ。このまま直撃すれば、ひとたまりもないだろう。
レオは状況を察すると、フィールドから出ない程度に逃げた。負けたくはないからだ。とりあえず、距離をおいてから考えようと思った。
「なぜ初心者狩りを?」
「逃げるな小僧! 男なら正面かむかえ」
「男なら、ずるしないで勝負しましょうよ」
しかし、男性は聞く耳を持たない。話せばなんとかなるかなと思ったらが、話を聞くどころか自分の話しかしない。
「あ……はい」
「ほ、本当に、あの伝説の本屋に?」
「え、どういうことですか?」
受付人のペルさんに、昨日の本屋について話したところ、ずいぶん驚いていた。
今日は、昨日のゴブリンとの課題点を中心に、訓練場で練習しようと思った。そのために、受付で何の訓練を何時間やるか、の名前を記入した。
どこで何をしても、ギルドは冒険者達の状況ややる事に、記録をとりたがる。訓練場の使用も、名前を書かなければならない。
管理がしっかりしている意味では、良いことなんだけど、ちょっと面倒な感じがなぁ……。
そこで、昨日のことを会話の一部として、ペルさんに本屋の話をしたが、話を聞いたところ珍しい本屋らしい。
転移魔法とタイムマシンは現実上不可能。異世界だからできそうな気がするが、今の技術では地に足もついていない状態なんだとか。言い伝えでは、未来から来た本屋、世界を旅している本屋、と考えられている。
昔からこの不可思議書店はあるそうだが、幸運な人しか入ることができない。購入し終わって外に出ると消えている、その本はその人の人生を変える、とペルさんは話していた。
「良いですね。私にもチャンスが訪れて欲しいです。
ちなみに、買った本はどんな本ですか?」
「魔法に関する本です。
魔法試験もありますので、参考書を買おうと書店を探していたら、不可思議書店を見つけました」
魔法が全くできないレオでも、この本で魔法が使えるようになるのだろうか。その人の人生を変えるって、それほどの影響を与えるぐらい、僕には魔法が……。
「頑張って下さいね」
消極的な考えになっていると、ペルさんは応援してくれた。それが、なんだか嬉しくて、そう言われたら頑張れそうで、できそうな気になってくる。
彼は、受付人との会話を終えると、訓練場に向かった。
「訓練場では何をするの?」
「まずは、剣の振り方を見直して、連続で動く練習をしようかな。あと、足の踏み込みとか、バランスが崩れた時の対応とか、対人での動きもやりたい。
アメリアは、何しとく? 訓練場を眺めるだけじゃ暇でしょ」
「私は、うーん……。ギルドの中を歩いていようかな。
広いから、ぶらぶら探検しとくよ」
「オッケー」
レオは、ロビーを出ると訓練場に訪れた。正方形の石畳のフィールドが中央にあり、その端に木でできた人形や小さい的、壁に縄が吊るされていたり、などと様々な訓練施設があった。
練習に勤しむ冒険者は、十何人くらいで、的に魔法を命中させたり、木剣で人形を打ったり、腕だけで縄を上がったりと、練習内容には充実しているようだ。レオも参加しようと、準備されている木剣を手に取った。
まずは、振り方から見直して、動きの改善を考えようと思う。昨日のゴブリン討伐では、足の動きと腕の方向がよくなかった。フットワークが乱れていて、足の方向と腕の方向がバラバラだったのだ。無理矢理上半身ばかり動かして、足はあまり動かせていない。
足まで動かす余裕がなかったというのは、いいわけになってしまうかもしれないが……。四方八方から囲まれて、ギリギリに迫られても足を動かせれるようになりたい。
わずかにかかとを上げて、姿勢前に傾ける。利き足を少し前にだして、剣は空気を裂くように真っすぐと振る。少しでも斜めっていたら空気抵抗で遅くなってしまう。
剣の持ち方は、握手をするような手の形で、握った状態からでは面が見えず刃が見える。これが基本の持ち方で、なかなか慣れにくいらしい。自分はずっとこの持ち方だったので、そこまで違和感を覚えないが、右から左に動かす動作に力を入れにくくなる。
あと、左手も重要だ。剣を持っている手だけに集中するのではなく、左手は体のバランスを支えるための役割を果たす。
「おい、小僧。あっちで俺とやらないか」
レオが基礎練習から考えていると、不意に青髪の男性に声をかけられた。大剣を背中に着けて、フィールドを指さしている。勝負しよう、と言っているのだ。
「いいですよ!」
彼は、声をかけられたことに嬉しくて、即答で返事をする。ちょうど、対人での勝負もやってみたかったので、わくわくと胸がはずむ。相手の男性も強そうなので、より期待してしまう。
誘導されるがままにフィールド上に上がると、男性は背中の剣を抜いた。木剣でやるのか、と思い腰を見たがさっきの練習の時に置いてきたのを忘れていた。レオが持っているのは木で、相手は金属、さすがに不利になりすぎているので、彼は剣を取りに行こうとした。
「おい、降りると負けだぞ」
「木剣は不利なので、自分のを取りに行くんです。
それか、危険なので木剣で勝負しませんか?」
「おや、小僧は知らないのか。初心者狩りっていうのは、木剣じゃなくてもいいんだぜっ」
すると、急に男性はレオに飛び掛かった。大剣を振り上げ、彼に迫っていく。ただのお手合わせではなく、初心者であるレオを追い出そうとしているのだ。このまま直撃すれば、ひとたまりもないだろう。
レオは状況を察すると、フィールドから出ない程度に逃げた。負けたくはないからだ。とりあえず、距離をおいてから考えようと思った。
「なぜ初心者狩りを?」
「逃げるな小僧! 男なら正面かむかえ」
「男なら、ずるしないで勝負しましょうよ」
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