異世界転生、魔法のできない欠陥品は逃走。実は霊が見えるので最強を目指します。

ラニーニャ

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魔獣戦争

42話 病院

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 あー、悔しい。どうしてこうも終わった後に、もうちょっとできていたかもしれないと後悔するのだろうか。もっとやれることがあったはずなのに……。

「おっつかれー!」

 剣士訓練が終わり、レオが休んでいるのを見て、セスキが声をかけに来た。ギルド長の厳しい訓練で、皆ヘトヘトだというのに、セスキはまだまだ元気そうだ。一緒に居ていて、その活力に盛んな様は助けになっている。

「なあなあ、あの俺の手本、惚れ直しただろー?」

 セスキがふざけた口調で、レオを肘でぐいぐいおした。レオは「あー、いや?」と否定して、顔を少しニヤつかせる。その返答を待ってましたと言わんばかりに、わざとらしく「ガーン」と口にしてケラケラ笑った。
 レオも一緒になって笑い声をあげる。

「でもさー、マジですごかった。琉円斬って、結構難しいんだせ? レオ、すぐにできたから、マジですげーよ」

「ハハ、ありがとう」

 すると、休んでいるレオ達の所にアメリアがやってきた。手をクイクイと動かし、ここにくるよう促している。それを見て、レオは休憩をやめて立つと「ごめん、用事あったの忘れてた。バイバイ」と言ってその場から離れた。

「レオ、病院」

「どうだったの? 見つかった?」

 アメリアは、少し唸っていまいちな表情をしていた。見つからなかったのだろうか。それなら、なかったといえばいいのに、なんで答えるのに躊躇するの?

「あったんだけど……それがね……」

 話によると病院は見つかった。しかも、患者さんは少ないので、すぐに入って診察を受けることができる。しかし、その病院は、評判が良くないそうだ。ヤクザ、闇ギルドと裏であっている、人体実験を行なっている、金銭をぼったくられるとの噂が相次ぎ。
 正直、そんな病院に行かせたくないのがアメリアの本望で、言うのに迷ったそうだ。

 その病院に行ってみたところ、院長一人と看護師三人と少ない。その院長は、右目に傷があり、物凄い怖い顔をしていたらしい。怒ったウルフみたい、とアメリアが言っていた。

「一応聞いとくけど、それ噂?」

「うん。けど、そんな噂があるなら行かない方がいいよ。私だって、顔見た時怖くてすぐ出て行ったもん」

「うーん。このまま鼻が治らないのは……。試しに、行って見ようかな……」

 その発言に、彼女は首をブンブンと振る。表情から拒絶していて、「嫌だー。行きたくなーい」と大きな声でぐずっている。

「いやいや、アメリアが診断受ける訳じゃないんだから……」

 注射の嫌がる子供のような態度に、レオは「何で?」と思いながら焦って落ち着かせた。そんなに嫌がるのは、それだけ病院が信頼を得られない見た目を示している。アメリアは診断やその病院の評価を直接感じとっていないため、表面的なものでしか判断できない。しかし、その表面的な見た目や印象が、相当悪かったということになる。
 レオは心配になったけれど、やっぱり行くことにした。

「噂は噂。本当か分からないよ」

 ここから一歩も動かなさそうな彼女に、そう言って説得させようとした。そして、それでもなお動かない様子なので、そのままここに置いて病院に向かう。どうせ、結局着いてくると思ったからだ。
 本当か分からないよって、正直自分を正当化したかったからだ。もしかしたら、本当にやばい病院かもしれないのだから、行きたくないというのはレオも本心。しかし、もっと嫌なのは鼻が治らないこと。
 それだけは、避けたかった。だから、唯一の希望を持ちながら信頼のない病院にも、試しに行って見なければ。
 噂通りではないかもよ。たぶんね……。

「全然違うよ。道分かんないのに、勝手に進んだよね?」

「あー、わざと。アハハ」

 アメリアは少し怒った表情で、ちゃんと着いてきていた。レオは自分のドジを指摘されると、下手な嘘で笑って見せた。すると、「こっちだよ」とやれやれと言った態度で、アメリアが道案内をしてくれた。

「ありがとう。本当、ごめんね」

 ◇◆◇◆◇

 三十分かかって病院に着いた。もう六時をすぎていて、外が完全に暗くなっている。目の前には、壁を石灰で白塗りした病院が、聳え立っていた。
 建物自体は白に塗装されているが、傷や汚れで少し灰色みがかかっていて、昔からあるような古い印象を持った。中から光が溢れ出て、レオはドアを押して開いた。

 キィィ……バタン……。

 中はシンと静まって、人は誰もいなさそう。「あの……!」と声を出してみたが、室内に響いただけで返事はない。灯がチカチカと不規則に点滅している。院長も看護師もどこにいるのか、見た感じでは分からない。
 そのまま、中に入って辺りをキョロキョロと見た。受付の方に行ってみる。もしかしたら、看護師がいるかもしれない。

「あの……誰かいますか……?」

「患者さん?」

 すると、薄暗い廊下の方から声が聞こえた。振り返って目を凝らすと、そこにはナース服を着た水色の髪の女性が立っている。
 女性は目を擦ると、「幻覚か……」と言いながらレオの横を通り過ぎた。彼は幻覚扱いされたことに驚いて、最初ばかりはフリーズしてしまったが、看護師の肩を掴むと現実であるとことを伝えようとした。

 肩を触られたことで、ビクッと振り返った看護師は目を見開く。幻覚かと思っていた人が、自分に触れているのだ。しかも、急に触れられて驚いた。

「患者さん……ですか?」

 彼女の目の下には、暗くなったクマがある。顔色も少し悪そうに見え、はっきり見えたその様子に、レオは心配になった。
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