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子犬の王子
21・運命の番
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侯爵邸の森の中をかけて、こじんまりとした離れの屋敷を見つけた。
暗い森の中にそこだけ陽だまりが出来ているような光景に私は興味を惹かれて、探検気分で入っていった。
背後から私を追いかける声も聞こえていたし、黒い毛に紫の瞳の子犬なんて私以外にはいない。
皆に正体はバレていたみたいだったね。
小さな館を笑いながら全速力で逃げていると、少しだけ扉が開いている部屋を見つけた。
私はそこに誘い込まれるように入っていったんだ。
そこに、君が居た。
小さな人間の女の子。
僕が走り込んで来たものでびっくりさせてしまったんだね。
大きな水色の瞳を見開いて、体を硬直させていた。
でも驚いたのは私も同じだった。
こんなに可愛い子を見たことがなかった。
小さな手にピンクのほっぺ、金色のサラサラの髪。
私だってほんの幼児みたいな小さな子供だったけれど、この特別な感覚は、特別好きな感覚は恋だと思った。
実際あの頃の私に恋なんてものが何なのか、具体的に分かってはいなかったと思うけれど。
私はラフィが陽だまりで、緊張した顔を解いて、私に向けて微笑んだ瞬間に、この子と結婚するんだ。
と、そう思った。
君がなんでこんなところに居るのか分からなかった、侯爵邸ではあるけど、その部屋はあまりにも質素で、とても行き届いていると言い難いような環境だと感じた。
私は、子犬の格好で出会ったことを後悔したよ。
だって、子犬から人間に戻ったら洋服が無いし、君をびっくりさせる。
私がメイドから隠れるために、クッションの中に隠れた時に、メイドたちが君に取る態度で、君がどんな状況に居るのかが分かった。
本当にショックだった。
私はあんな悪意がこの世にあるなんて、考えもしないくらいに幸せだけを浴びてきた。
幼い私には理解が追い付かなかった。
君が涙を流した瞬間。
私も本当に心が潰されるような気持ちになった。
絶対にこの子を守ろうと思った。
君は悲しくて、悔しくて涙を流しているのに、私に微笑んでくれた。
かわいい声で笑って、世界一可愛い笑顔を私に向けてくれた。
その時本当に、私は幸せになった。
飛び跳ねるくらいはしゃいだ。
君の笑い声、笑う顔で春が来たみたいだったよ。
君は私を好きだと言って、君は分かっていなかったかもしれないけど、心底愛する人にだけする儀式をした。
頭と頬にキスするのは永遠に愛するという誓い。
愛を誓った後鼻を合わせるのは、恋人の永遠の愛の誓いだ。
私は本当にびっくりして、頭が真っ白になったよ。
ふふふ。
こんな幸せな事、この世にあってもいいのかと思った。
君に愛の告白をされたと思って、本当に天にも昇る気持ち、ふわふわ浮いたみたいな気持ち。
幸せが体の奥からあふれ出して、世界中を染め上げたような、本当に幸せな気持ちだった。
君の瞳がウルウルして、僕は同じ気持ちだと話せないのが歯痒かったけど、どうしても心を示したくて。
私の魔力を譲渡する、番の儀式をした。
私の番ともなれば君は色々なものから守られる。
守護の魔法も発動する。
本当は勝手にしていいものではなかったのだけれど。
なんたって王になる人間の番の儀式、本来ならそれ相応の形式と式典がある。
でも私は、君意外とは結婚はしない。
これ以上ないくらい浮かれていたし。
それに、今思ってもあの時の行動は正しかった。
誰にも言わずに君と番の儀式をしたことで、君の命を守れたと思うから。
君と離されずに済んだから。
時に小さな恋の無鉄砲も正しいことをする。
あの日私は間違えなく世界一の幸せ者だったから。
今までの幸せが偽物に感じるくらい、特別な気持ちだった。
早くこうして君に話せるのを、願っていた。
でも、状況は一筋縄ではいかなかったんだ。
暗い森の中にそこだけ陽だまりが出来ているような光景に私は興味を惹かれて、探検気分で入っていった。
背後から私を追いかける声も聞こえていたし、黒い毛に紫の瞳の子犬なんて私以外にはいない。
皆に正体はバレていたみたいだったね。
小さな館を笑いながら全速力で逃げていると、少しだけ扉が開いている部屋を見つけた。
私はそこに誘い込まれるように入っていったんだ。
そこに、君が居た。
小さな人間の女の子。
僕が走り込んで来たものでびっくりさせてしまったんだね。
大きな水色の瞳を見開いて、体を硬直させていた。
でも驚いたのは私も同じだった。
こんなに可愛い子を見たことがなかった。
小さな手にピンクのほっぺ、金色のサラサラの髪。
私だってほんの幼児みたいな小さな子供だったけれど、この特別な感覚は、特別好きな感覚は恋だと思った。
実際あの頃の私に恋なんてものが何なのか、具体的に分かってはいなかったと思うけれど。
私はラフィが陽だまりで、緊張した顔を解いて、私に向けて微笑んだ瞬間に、この子と結婚するんだ。
と、そう思った。
君がなんでこんなところに居るのか分からなかった、侯爵邸ではあるけど、その部屋はあまりにも質素で、とても行き届いていると言い難いような環境だと感じた。
私は、子犬の格好で出会ったことを後悔したよ。
だって、子犬から人間に戻ったら洋服が無いし、君をびっくりさせる。
私がメイドから隠れるために、クッションの中に隠れた時に、メイドたちが君に取る態度で、君がどんな状況に居るのかが分かった。
本当にショックだった。
私はあんな悪意がこの世にあるなんて、考えもしないくらいに幸せだけを浴びてきた。
幼い私には理解が追い付かなかった。
君が涙を流した瞬間。
私も本当に心が潰されるような気持ちになった。
絶対にこの子を守ろうと思った。
君は悲しくて、悔しくて涙を流しているのに、私に微笑んでくれた。
かわいい声で笑って、世界一可愛い笑顔を私に向けてくれた。
その時本当に、私は幸せになった。
飛び跳ねるくらいはしゃいだ。
君の笑い声、笑う顔で春が来たみたいだったよ。
君は私を好きだと言って、君は分かっていなかったかもしれないけど、心底愛する人にだけする儀式をした。
頭と頬にキスするのは永遠に愛するという誓い。
愛を誓った後鼻を合わせるのは、恋人の永遠の愛の誓いだ。
私は本当にびっくりして、頭が真っ白になったよ。
ふふふ。
こんな幸せな事、この世にあってもいいのかと思った。
君に愛の告白をされたと思って、本当に天にも昇る気持ち、ふわふわ浮いたみたいな気持ち。
幸せが体の奥からあふれ出して、世界中を染め上げたような、本当に幸せな気持ちだった。
君の瞳がウルウルして、僕は同じ気持ちだと話せないのが歯痒かったけど、どうしても心を示したくて。
私の魔力を譲渡する、番の儀式をした。
私の番ともなれば君は色々なものから守られる。
守護の魔法も発動する。
本当は勝手にしていいものではなかったのだけれど。
なんたって王になる人間の番の儀式、本来ならそれ相応の形式と式典がある。
でも私は、君意外とは結婚はしない。
これ以上ないくらい浮かれていたし。
それに、今思ってもあの時の行動は正しかった。
誰にも言わずに君と番の儀式をしたことで、君の命を守れたと思うから。
君と離されずに済んだから。
時に小さな恋の無鉄砲も正しいことをする。
あの日私は間違えなく世界一の幸せ者だったから。
今までの幸せが偽物に感じるくらい、特別な気持ちだった。
早くこうして君に話せるのを、願っていた。
でも、状況は一筋縄ではいかなかったんだ。
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