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幸せな結婚式でした。

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結婚式が始まる前のニコル様はとても元気そうに見えたのだけど、疲れてしまったのかしら。なれない行事で予定とは違うことが起きたから、きっと驚かれたわよね。


「ユリアナ嬢」
「あら、カーライル様、どうされました?」


ヘレナとニコル様を見つめていると、カーライル様に話しかけられる。


「そのドレス、とても似合っていて綺麗ですね」
「まぁ、ありがとうございます」


まさか褒められるとは思っていなくて照れてしまう。


「そういえば、メガネを外されたのですか?」


さっきまで、いつも通りメガネをかけていたはずなのに、いつの間にか外されている事に気付く。


それに、今日は結婚式だからかいつもメガネに被るほど長い前髪を短く切りそろえられ、しっかりと目が見えるようになっている。


今まで前髪とメガネで顔のほとんどが隠れていたけど、カーライル様の顔はこんなにも整っていらしたのね。


「ちょっと雰囲気を変えてみたのですが、どうでしょうか?」
「とても素敵だと思います」
「そうですか?それってどのくらいでしょう?結婚したいと思う程、ですか?」


にこにこと笑って冗談を言うカーライル様に、こちらもつられて笑ってしまう。


「ふふふ、そうですね。今のカーライル様に結婚を申し込まれて断る方などいないと思いますわ」
「それは良かったです。では、私と結婚していただけますか?」
「はい、………はい?」


今のは私の聞き間違いかしら?
突然プロポーズをされた気がしたのだけれど…?


「プロポーズを受けて下さりありがとうございます!嬉しくて胸が張り裂けそうです」


あら、どうしましょう。
本当に私の聞き間違いではなく、プロポーズされたみたい。真剣に考えずに頷いてしまったのだけれど、私でいいのかしら?


でも、カーライル様はとても喜んでくださっているみたいだし…。


「私で良ければ、末永くよろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。幸運にも今は結婚式場で、貴女はとても素敵な花嫁姿をされている。なので、私達も今結婚しませんか?」
「今、ですか…?」


確かに私は今日結婚する予定ではあったけど、今日の主役は妹とニコル様なのだから、私は遠慮するべきではないかしら。


「兄弟で同じ日に結婚をするなんてとても目出度いと思いませんか?きっと忘れられない結婚式になると思いますよ」
「それも…そうですね。ですが、結婚する組が増えて、皆様驚かれると思うのですが…」
「それなら大丈夫だと思いますよ、ね?」


そう言ってカーライル様が周りを見渡せば、あちらこちらから拍手が上がる。


「皆様、私達の結婚を祝福してくださるみたいですよ」
「まぁ…」


本当にいいのかしら…?
妹に申し訳なくなってしまうわ。
だけど、姉妹で同じ日に結婚だなんてなんだか少しワクワクするわね。


愛する可愛い妹と同じ日に結婚なんて、あまり経験できることでは無いものね。
たまには私の気持ちを優先させてもらおうかしら。


そう思っていると、お父様がこちらに歩いてきて腕を出してくれる。


「さぁ、前の2人が終わったから、今度はお前の番だ」
「お父様…ありがとうございます」
「いや、お前が幸せならそれでいい。カーライル様、ユリアナをどうかよろしくお願い致します」
「もちろんです。こちらこそ、ユリアナ嬢との結婚を許して下さり、感謝しています」


穏やかに笑い合う2人に首を傾げてしまう。


お2人は、元々面識があったのかしら?
カーライル様とお父様が会われている所を見た事がなかったのだけれど、私の知らないところで親しくされていたのかもしれないわね。


私とカーライル様は、私がニコル様のお屋敷にお邪魔した時に世間話をする程度の間柄だったのに、まさか結婚してしまうだなんて本当に驚きだわ。


それに、元々結婚なんて家と家のためのもので、そこに愛なんてものは必要ないと思っていた。


だけどーーー。


「ユリアナ、眠いならまだ寝てていいよ」
「ううん、今日中に仕上げなければいけない書類があるから…」
「ふふ、ユリアナは本当に頑張り屋さんだね」


ベッドで目を擦る私に、カーライルがおでこにキスを落とす。そんな行動に頬が勝手に緩む。


「カーライルはキスが好きよね」
「そうだね、ユリアナ限定で好きかな」


そう言って今度は口にキスをしてくる。


「ユリアナ、大好きだよ」


結婚相手と愛し合えるなんて、おとぎ話の中だけだと思っていたけど、カーライルと一緒に過ごせば過ごす程、彼への気持ちが大きくなっていく。


「ふふふ、私もよカーライル。愛しているわ」


結婚して以来、ヘレナとニコル様には会えていないけれど、カーライルのおかげで全く寂しくなんてない。


それどころか、これまでに感じたことの無い程の幸福を感じている。


きっと、あの時カーライルが私にプロポーズをしてくれなければ、こんな幸福を知ることはなかったでしょうね。
プロポーズをしてくれたカーライルには、本当に感謝しかないわ。


私がこんなに幸せなのだから、きっとヘレナとニコル様もどこかで幸せに暮らしているわよね。


便りがないのはよい便り、なんて言うものね。


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