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しおりを挟む「大体こんな感じかな。どう思う?」
なにも感じないぬいぐるみになりきろうと思っていると、エリオット様が私が書いた電卓の周りに文書を色々書いたものを見せてくる。
「どう、とは?」
「構造はだいたいこんな感じだと思うんだけど、発案者のエマの意見も聞きたいんだ」
「構造…ですか」
ハッキリ言ってそんなものは分からない!
電卓見て構造がどうなってるのかなんて気にした事なんて1度も無いのに分かるわけが無い。
それなのにこの人は絵で描かれた物を見て構造まで思い付くなんて控えめに言っても天才では?いや、天才だったわ。
そしてそれを本当に作り上げちゃうんだから凄いよなぁ。
「うん、このデンタクって、本当に便利でいいね。なんで今まで開発されなかったのか不思議なくらいだ」
わぁ、すごい。
電卓の構造を考えた後すぐにお抱えの魔道具師を呼んで3日で作らせ、実物を触ったのはついさっきなのにもうブラインドタッチをマスターされている…。
「そういえば、なんでこの魔道具はデンタクって名前なの?」
え、なんでだろう…?
電卓、電卓って言ってたから考えたこと無かった。
そもそも電卓自体が略語だよね。
電卓…電動卓上計算機…とか?
わからん!前世ならすぐに検索エンジンで調べられたのに…それがないから正確な名称が分からない…。
いや、分かったとしてもそのまま伝えられるわけが無い。
電気の代わりに魔石を使って道具を動かしているこの世界で電動なんて通じるわけも無いし。
「ゆ、夢で、そう言っていたので、どうしてかまでは、私にも分かりません」
ここは必殺 "夢で見たイッツアドリーム" を使うしかない!
こう言えば、ふーん。そう。としかいいようが無いものね!
「ふーん。そう」
ほらね!
「でも、デンタクじゃ売り出す時分かりにくいし、なんて名前がいいと思う?」
「そうですねぇ…。計算魔道具、とか?そのまま過ぎます?って、販売するんですか!?」
「うん、これは仕事で計算する必要がある人間には喉から手が出るほど欲しいものだろうからね」
そ、そんなに?
でも、紙に書いて計算するよりは断然早いから、確かに欲しくはなるかも。
この世界に電卓という物は存在しないから、今なら独占販売でかなり儲けられるだろうな。
流石エリオット様、仕事が楽になったという事で終わらずに販売の事まで考えるなんてできる人。
そして電卓、改め、計算魔道具は無事ルバーム家が独占販売することになり、騎士家系でありながら商業ギルドも運営してがっぽり儲けたそうです。
そして私は発案者という事で、売上の30%支払うと言って頂いた。
だけど、私はただ前世の知識を意図せず伝えてしまっただけなので、私が発案したとバレなければ何も要らないと丁重にお断りした。
はずだったんだけど、エリオット様に壁に詰められ、逃がさないと言わんばかりに壁ドンをされ、目を見ろも顎クイをされ「俺の気持ち、そんなに迷惑?」と鼻同士ががくっつきそうなほど近くで言われて売上の5%を受け取らせていただくことになりました。
いや、いろいろおかしいよね!?
どうしてあんなシチュエーションに追い込まれたの!?
エリオット様がヒロイン一筋だって知らなきゃ私の事が好きなのかって勘違いしそうになるところだったわ!
何も要らないって言ったんだから、売上を全てエリオット様が受け取ればよかったのに…。
家が貧乏だから気を使ってくれたのかな。
だけど、元々の売上30%を頂いても、家にお母様と妹が居る以上貧乏からは抜け出せないと思うけど…。
「売上の一部を渡されるのはそんなに不服?」
今日も今日とてエリオット様の膝の上に乗せられて書類を眺めていると、突然頭上から声が降ってくる。
「へ?いえ、そんな事はありません。頂けるのは嬉しいです。ただ、そのお金があるとバレると、少々面倒くさいことになるので」
「面倒なことってなんだ?」
「それはーーー」
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