賭けで付き合った2人の結末は…

しあ

文字の大きさ
3 / 22

3

しおりを挟む




先輩を見て切なくなったり、「好きです」なんて間違っても言ってしまわないように。明日から学校ですれ違えば会釈する様な先輩後輩の関係に戻らないと。
そうしないと、きっと先輩を困らせてしまう。
好きな人を困らせたくないし、この気持ちは涙を拭いたティッシュと一緒にゴミ箱に捨ててしまおう。


寝そべりながら魔法でティッシュを浮かせてゴミ箱まで移動させれば綺麗に中に入った。


「やった…」


浮遊魔法はあまり得意ではなかったのに、こんなに上手くコントロール出来るなんてやるじゃん私。
こんなに綺麗に魔法でティッシュを捨てられたんだから、きっとこの気持ちもすぐに綺麗に捨てられるはず。



なんて思っていたけど…思いの外恋慕の情は消えてくれず、先輩を見れば胸が傷んで無意識に足が先輩から離れていき、気付けばあれから2週間ほど先輩を避け続けてしまった。
といっても、きっと先輩は私と会わなかったとしても何とも思って居ないだろうから、私から避けられている事なんて気付いていないだろうな。


今日も今日とて、先輩を視界の端で捉えれば、一緒にいる友達に教室に忘れ物をした、なんて嘘をついてその場から離れる。
そうやって避け続けて気付いた事がいくつかある。


私と先輩は学年が違うはずなのに、高確率で廊下をすれ違いそうになる。
付き合う前は先輩のことを全く意識していなくて気付かなかったけど、学年が違ったとしても同じ廊下を使う事があるんだと知った。
そのおかげで教室を移動する時は高確率で遠回りをする羽目になる。学年が変われば使う校舎も変わるって聞いたけど、あれは違ったのかな。


それと、先輩はチャラそうな見た目で中身も違わずチャラいのに、放課後によく図書室で本を読んでいることが多い。
お付き合いしている時も、よく図書室で勉強を教えてくれたけど、あれは私の為にわざわざ来てくれたんじゃなくて、単にここに来慣れてるってだけだったんだと気付いた。


他にも、ランチは購買派ではなく食堂派だということ。
食堂は人が多いからあまり利用しないと、初めてランチを奢ってもらった時に言っていた気がするけど、案外そうでもなかったのかもしれない。
それとも、私と毎日のように利用するようになって食堂の良さに気付いたのかもしれない。


図書室とランチに関しては意外だなぁ。
なんて思いながらも、図書室と食堂が使えないので地味に辛い。


借りようと思っていた本は借りられないし、食堂が使えないので割高な購買で適当なものを買って、友達と別れて1人で寂しく外のベンチで食べるしかない。
きっと先輩は私の事なんて何も気にしていないだろうから、今まで通り図書室も食堂も利用すればいいのだろうけど、無意識に足が動いてしまうのだからしょうがない。


一体いつまで避け続ければ、この厄介な気持ちと不可解な行動は止まるんだろうか…。


今日も放課後に図書室へ入れずとぼとぼと自室へと向かっていると、スマホが通知を伝えるために振動する。
画面を見れば、部活があるからとさっき別れた友達のミラから。


『今日の夜は外に食べに行かない?』


夜に外食か、たまにはいいかもしれない。
最近は先輩に会わないように朝も晩もミラに食堂から部屋にご飯を持ってきてもらって一緒に食べてるし、ミラも部屋でばかり食べるの飽きたのだろう。


今日は金曜日で明日は休みだから、門限を過ぎない程度に遅くまで外に行ってもいいかもしれない。そう思って手早く返事をする。


『いいね!何時くらいに行く?』


送ればすぐに集合時間と場所を書かれたメッセージが返ってくる。


学校の外に出るのは先輩と別れた日以来だな。と悲しい記憶を思い出しかけて頭を横に振る。
あの日の事を思い出すのはやめよう。
せっかくミラとの楽しい外出なのに感傷に浸りたくない。


あれはもう終わったこと。
あの日のことは忘れて出かける用意をしよう。


服はどうしようかな…。
私が持っている服の中で1番可愛いのは先輩に貰ったワンピースだけど、これはもう着られないかな。


手に取ったワンピースを置いて、いつも通りのパーカーとジーズというかなりラフな格好に着替え、化粧もせずに待ち合わせ場所へと向かう。


待ち合わせ場所は転移門前。
少し早めに着きそうだけど、ミラは先輩と違っていつも10分前には待ち合わせ場所で待ってるからそんなに待つことはないだろう。
そう考えてから、先輩を引き合いに出して考える自分に苦笑する。


別れた日から先輩のことを考える時間が長くなって来たというか、何をしても先輩はこうだったとか、先輩ならこうするかな。なんて考える自分は本当に末期なのかもしれない。
気持ちを捨てようとしているのに、会ってさえいないのに、ますます先輩のことが気になってしまうなんて意味がわからない。自分から別れを告げたのに未練がましいな。


「はぁ…今日は限界まで食べてみるかな…」


そうすれば少しでも先輩のことを考えずに済むかもしれない。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

私の旦那様はつまらない男

おきょう
恋愛
私の旦那様であるロバート伯爵は、無口で無愛想な仕事バカ。 家庭を返り見ず仕事に精を出すのみのつまらない男である。 それでも私は伯爵家の妻として今日も面倒な社交の場に出なければならないのだ。 伯爵家の名を落とさないために。あぁ面倒くさい。 ※他サイトで投稿したものの改稿版になります。

処理中です...